アルミニウムを中性の水溶液中でアノード分極すると、溶媒の水が酸化物イオンの供給源となりアルミニウムの表面にバリヤ型の酸化皮膜を生成して不働態化する1)。したがって水分濃度が極めて低い有機電解液中でアルミニウムをアノード分極しても酸化物イオンの供給源がないのでバリヤ型の酸化皮膜は生成しない2)。しかし、フッ素を含むアニオンを持つ溶質を持つ有機電解液では溶質のアニオンがフッ化物イオンの供給源となりアルミニウムの表面にバリヤ型のフッ化皮膜を生成して不働態化する3)。水溶液中での皮膜生成機構は高電場機構として知られるが4)、フッ化皮膜を生成する場合も高電場機構に従う5)。このようなフッ化皮膜のリチウムイオン二次電池の正極集電体の耐食性に深くかかわる6)。とは言え製造プロセスでは微量水分の混入は避けられない。そこで、有機電解液中に水分が共存する場合のアルミニウムの不働態化ついて検討を行った7)。 8) アルミニウム正極集電体の特許立花和宏, 研究ノート, (2006).リチウム電池駆動用電解液中でのアルミニウムの不働態化-水分の影響-立花和宏,○佐藤幸裕,仁科辰夫,遠藤孝志, 2000年電気化学秋季大会, (2000).(1) 電解法による酸化皮膜(目次)馬場宣良, 電解法による酸化皮膜, 槇書店, (1996).(2) 無水に近い条件下の有機電解質中におけるアルミニウムのアノード酸化UE M, ASAHINA H, MORI S (Mitsubishi Chemical Corp., Ibaraki, JPN), Journal Full.(1995).(3) フッ素有機化合物アニオンの正極に対する影響金村聖志, Journal Full.(1998).(4) バルブ金属表面に生成するアノード酸化皮膜の構造と性質清水健一、幅崎浩樹、P.Skeldon, G.E. Thompson, G. C. Wood, Journal Full..(1999).(5) リチウム電池駆動用電解液中におけるアルミニウムの不働態化立花和宏、佐藤幸裕、仁科辰夫、遠藤孝志、松木健三、小野幸子, Electrochemistry, Vol. 69, No.9, pp.670-680, .(2001).(6) アルミニウム正極集電体の特許立花和宏, 研究ノート, (2006).(7) リチウム電池駆動用電解液中でのアルミニウムの不働態化-水分の影響-立花和宏,○佐藤幸裕,仁科辰夫,遠藤孝志, 2000年電気化学秋季大会, (2000).(8) リチウム二次電池正極集電体アルミニウムの不働態皮膜形成に及ぼす水分の影響立花, Journal Full. In press.....(2000).