もっとも配慮すべきことは正極と負極の短絡である。異物の混入によって初期不良となる物理短絡はもちろんのこと、スラリー中に含まれる金属などが溶解析出を繰り返すことで、導体がセパレータを貫通する化学短絡もある。短絡を起こせば起電力が低下することはもとより、最悪発火などの事故が起こりえる。化学短絡においては初期には観察されないことから劣化モードのひとつと捕らえることができる。物理短絡においては異物のサイズが大きいものがNGとなるが化学短絡においては異物の総量が多いことがNGとなる。 例えば炭素材料中に含まれる鉄などの元素が充電時のアノード分極時に電解液に溶解し、負極で徐々に析出するような化学短絡の場合、セパレータの孔径や曲路率などによって劣化の仕方が異なる。 【学会】リチウムイオン二次電池充放電時の炭素材料中の異物金属粒子の溶解と析出による化学短絡1) リチウムイオン二次電池充放電時の炭素材料中の異物金属粒子の溶解と析出による化学短絡(1) リチウムイオン二次電池充放電時の炭素材料中の異物金属粒子の溶解と析出による化学短絡伊藤知之、高林哲、本田千秋、立花和宏、仁科辰夫,第40回炭素材料学会 講演要旨集, p.137 (2013).>