アルミニウムはアジピン酸アンモニウムなどの水溶液中でアノード酸化したとき緻密なバリア型の不働態皮膜を生成するバルブメタルとして知られている。一般に水溶液中におけるアルミニウムのアノード酸化は次のような反応で進行し、Al2O3の酸化皮膜を生成する。このときアルミニウムは溶媒の水を酸化物イオンの供給源として不働態皮膜を生成する。 2Al + 3H2O → Al2O3 + 6H+ +6e- …(1) このようなアルミニウムをはじめとするバルブメタルのアノード酸化に関する研究は古くからあり、それらの要点は不働態皮膜中を横切るイオン電流密度jと皮膜に印加される高電場eとが非線形な関係にあるということで、それに類した理論は高電場機構と呼ばれている。そのもっとも典型的な関係として(2)式を示したのがA. GunterschulzeとH. Betzであり、1934年のことである1)。 立花和宏, …らは、1999年にアジピン酸アンモニウム水溶液中における微小電極を用いたアルミニウム陽極酸化について報告し、アジピン酸アンモニウム水溶液中で溶液抵抗の影響の少ない微小電極を用いてアルミニウム陽極酸化の反応速度について調べた。その結果、1000V/s以上の高速電位掃引にも追従する非常に高速な反応である…と述べている2)。 せんばは、1997年に、それまでの研究をアジビン酸アンモニウム水溶液中における微小アルミニウム電極の陽極酸化というテーマで卒業論文としてまとめ、山形大学を卒業した3)。 こまたは、1998年に、それまでの研究をアルミニウム陽極酸化における定電位電流絞り込み過程での皮膜成長機構というテーマで修士論文としてまとめ、山形大学を卒業した4)。 小又一義…らは、1997年に新宿で開催された電気化学会第65回大会においてアルミニウムの定電位陽極酸化時の皮膜厚みの変化-インピーダンス測定による検討とそのコンピュータシミュレーション-について報告している5)。 【関連講義】卒業研究(C1-電気化学2004~),サイクリックボルタンメトリー6)アルミニウムの定電位陽極酸化時の皮膜厚みの変化-インピーダンス測定による検討とそのコンピュータシミュレーション-小又一義,電気化学会第65回大会, (1997).実験方法 > 装置と器 > 測定と評 > サイクリックボルタンメトリー,測定と評価仁科 辰夫,卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2006).(1) 電流密度は電場強度の指数に比例(高電場機構)A. Gunterschulze, H. Betz, Z. Phys.,92,367(1934).(2) アジピン酸アンモニウム水溶液中における微小電極を用いたアルミニウム陽極酸化立花和宏, 仁科辰夫, 遠藤孝志, 松木健三, Electrochemistry, Vol.67, No.7, pp.774-779, (1999).(3) アジビン酸アンモニウム水溶液中における微小アルミニウム電極の陽極酸化仙波 浩二, 卒業論文, (1997).(4) アルミニウム陽極酸化における定電位電流絞り込み過程での皮膜成長機構小又 一義, 修士論文, (1998).(5) アルミニウムの定電位陽極酸化時の皮膜厚みの変化-インピーダンス測定による検討とそのコンピュータシミュレーション-小又一義,電気化学会第65回大会, (1997).(6) 実験方法 > 装置と器 > 測定と評 > サイクリックボルタンメトリー,測定と評価仁科 辰夫,卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2006).