第2次世界大戦以降40年の間に、電池と電気化学デバイスの技術には目覚しい進歩が見られた。第2次世界大戦が始まった時点では、電池の主役はマンガン乾電池と鉛蓄電池、それにエジソン型ニッケル・鉄二次電池の3者であり、電池の用途も主として自動車、信号、ラジオに限られていた。しかし、半導体が発明されてから半世紀がたつ今日、過去にはとても考えられないスピードで電子機器が普及し、これら科学技術の進歩によって私たちの生活は著しく豊かになった。しかしその一方で、それにより、地球に存在する資源・エネルギーが浪費され、私達を取り巻く環境が損なわれようとしている。そのため、環境との調和のもとに資源エネルギーの有効な活用が計られる技術の開発が望まれている。電気エネルギーを化学反応によって、高効率で化学物質の形態で貯蔵し、その輸送も可能で、必要に応じて、貯蔵したエネルギーを高効率で電気エネルギーとして放出できる二次電池、つまり、蓄電池は、環境に調和した電気エネルギーの貯蔵・輸送のための装置として使用されている。
小型のものは携帯用のラジオ、シェーバー、電話機、ビデオカメラ、ノートパソコンなどの小型電子機器に内蔵する電源、大型のものは、環境保全のため、その開発が期待されている電気自動車に搭載する電源、さらには、深夜電力の貯蔵のみならず、太陽電池や風力発電などと組み合わせた電力貯蔵用電源の開発も急務である。
【関連講義】卒業研究(C1-電気化学2004〜),エネルギーデバイス1)
卒業研究(C1-電気化学2004〜):エネルギーデバイス(電池やキャパシタ). /amenity/Syllabus/@Lecture.asp?nLectureID=395. (参照2005-09-21).
エネルギー化学特論:化学工学とリチウム電池〜分散・スラリーの作成と塗布乾燥〜. /amenity/Syllabus/@Lecture.asp?nLectureID=4045. (参照2018-07-03).