⇒#215@講義;
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000.
原子価制御
無機固体化学
では、
「
無機固体の半導体と原子価制御
」
の中で、
「原子価制御」について
述べられています
⇒#215@講義;。
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初版
酸化ニッケルは半導体ではあるが、導電率が極めて低い。この導電率を制御する方法がある。
例:酸化ニッケル中のニッケルをリチウムで置換する。具体的には酸化ニッケルと酸化リチウムの粉末を混合し、空気中で1000℃以上で加熱して、Li+イオンを酸化ニッケル中に拡散させる。Li+イオンがNiOの結晶格子の中に組込まれる現象を「固溶」という。
Ni2+:0.83Å、Li+:0.88Å。Li+はNi2+とサイズがそれほど違わないので、置換することができる。
ここでは、酸化ニッケルの不定比を無視して考えることにする。(1-2x)モルのNiOとxモルのLi2Oの混合物を空気中で加熱すると、
+
上図のようにLi+イオンが2個NiO結晶格子に組み入れられるごとに、Ni3+イオンが2個できる。
これは、もとのNiOの「陽イオン:陰イオンの比」が1:1(不定比を無視)であるため、その比を守りつつ、電荷の総和もゼロに保とうとする傾向の結果である。この過程の化学反応式は以下のようになる。
(上の過程は、酸化リチウムを酸化ニッケルに加える操作であるが、見方を変えるとリチウムでニッケルを置換する操作と考えることもできる。)
上の操作は、Li+イオンを固溶することによってNi2+をNi3+に変化させていることになる。このようにして、「異種イオンを固溶することによって、もとの物質の構成イオンの酸化数を変化させること」を「原子価制御」という(本当は酸化数制御とでも言うべきであるが、古い言葉がそのまま定着している)。Li+イオンはNi2+イオンの15%程度まで置換させることができる。すなわち、自然に発生する不定比ではNi3+は1000分の1程度しかないのに対し、原子価制御の方法によりNi3+の濃度を飛躍的に高めることができるようになる。
☆ 原子価制御の効果:
Li+なしのNiOの導電率(室温):約10-6Sm-1、
Li:Ni=15:85の酸化ニッケル固溶体の導電率(室温):約103Sm-1。約9桁上昇する。
<補足>・Li+の代わりに、同じアルカリ金属のNa+やK+を用いようとしても、イオンのサイズが異なるので
固溶しない。→原子価制御には有効ではない。
・AlをドープしたSiのような、外因性半導体の場合には、温度が高くなると「電荷担体の濃度が増
える」ことによって導電率が上昇する。しかし酸化ニッケルの場合には、電荷担体の濃度は温度によらず一定であり、温度が高くなると「電荷担体の動きやすさ(移動度)が高くなる」ことにより導電率が上昇する。
・NiOの他にも、「一番安定な酸化数よりもひとつ高い酸化数でも、まずまず安定」な金属の酸化物はp型半導体になり、原子価制御が可能。括弧内は固溶イオン。例えばCoO(Li+)、MnO(Li+)、
Bi2O3(Ba2+)、Cr2O3(Mg2+)など。
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<a id='yznl215' href='https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/@Lecture.asp?nLectureID=215'>
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<a href=''>
原子価制御
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<!-- 講義ノート 講義ノート 講義ノート -->
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<article>
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<a href='https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/@Lecture.asp?nLectureID=215'>
<q><cite>
原子価制御
</q></cite>
</a>.
山形大学,
<a href='https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/@Syllabus.asp?nSyllabusID=11058'>
無機固体化学
<a/a>
講義ノート, 2005.
<a href='https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/@Lecture.asp?nLectureID=215'>
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/@Lecture.asp?nLectureID=215
</a>
,
(参照 <time datetime="2024-11-21">2024-11-21</time>).
</article>
</li>
</article>
<!-- 講義ノート 講義ノート 講義ノート -->
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