000.  原子価制御


無機固体化学 の単元です。

小単元

概要

酸化ニッケル半導体ではあるが導電率極めて低いこの導電率制御する方法がある
 酸化ニッケル中のケルリチウムで置換する具体的には酸化ニッケル酸化リチウム粉末混合空気中で1000℃以上で加熱してLiイオン酸化ニッケル中に拡散させるLiイオンNiOの結晶格子の中に組込まれる現象固溶いう
   Ni20.83Li0.88LiNi2サイズそれほど違わないので置換することができる
 ここでは酸化ニッケル不定比無視して考えることにする(1-2x)モルNiOとxモルLi2Oの混合物空気中で加熱すると


              


       

 上図のようにLiイオン2個NiO結晶格子に組み入れられるごとにNi3イオン2個できる
 これはもとのNiOのイオンイオン不定比無視であるためその比守りつつ電荷総和ゼロ保とうとする傾向の結果であるこの過程の化学反応式は以下のようになる

 (上の過程は酸化リチウム酸化ニッケル加える操作であるが見方変えるとリチウムケル置換する操作と考えることもできる
 上の操作はLiイオン固溶することによってNi2Ni3変化させていることになるこのようにして異種イオン固溶することによってもとの物質の構成イオン酸化数変化させること原子価制御いう本当は酸化数制御とでも言うべきであるが古い言葉がそのまま定着しているLiイオンNi2イオン15%程度まで置換させることができるすなわち自然発生する不定比ではNi31000分の1程度しかないのに対し原子価制御方法よりNi3濃度飛躍的に高めることができるようになる

  原子価制御効果
   LiなしのNiOの導電率室温10-6Sm-1
   Li:Ni=15:85酸化ニッケル固溶体の導電率室温103Sm-19桁上昇する
補足Li代わりに同じアルカリ金属NaやK用いようとしてもイオンサイズ異なるので
     固溶しない→原子価制御には有効ではない
    AlドープしたSiのような外因性半導体場合には温度高くなると「電荷担体濃度
     える」ことによって導電率が上昇するしかし酸化ニッケル場合には電荷担体濃度温度よらず定であり温度高くなると電荷担体動きやすさ移動度高くなることにより導電率が上昇する
    NiOの他にも番安定な酸化数よりもひとつ高い酸化数でもまずまず安定な金属の酸化物はp型半導体なり原子価制御可能括弧内は固溶イオン例えばCoO(Li)MnO(Li)
     Bi2O3(Ba2)Cr2O3(Mg2)など

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