二次電池では正極はアノード分極される。したがって集電体は強く酸化される状態となる。通常の金属は酸化されるとカチオンとなって電解液に溶解し、腐食現象として観察される。腐食反応は電池に不可逆な変化をもたらと共に、集電体から導電助材の剥離を助長し、集電体表面における接触面積を減らし、電池の内部抵抗を増加せしめる。これは電池としてはすこぶる不都合であるので、リチウムイオン二次電池の集電体にはアルミニウムが使われる。アルミニウムが有機電解液中でアノード分極されるとBF4やPF6などのフッ素を含む複アニオンと反応してバリア型の不働態皮膜を生成する1)。この皮膜は緻密にアルミニウム集電体を覆い、電子を絶縁して電解液の分解を抑制するとともに、集電体を腐食から保護し耐食性を与える。(1) リチウム電池駆動用電解液中におけるアルミニウムの不働態化立花和宏、佐藤幸裕、仁科辰夫、遠藤孝志、松木健三、小野幸子, Electrochemistry, Vol. 69, No.9, pp.670-680, (2001).