有機電解液中におけるアルミニウム陽極酸化皮膜に及ぼすリチウムイオンの影響
【結果と考察】 図1にTEMA・BF4/PC+DMEを用い200Vで陽極酸化済みのアルミニウムに炭素およびLiMn2O4を接触させた電極のサクリックボルタモグラムを示す。炭素の接触によって電流が流れた。LiMn2O4の接触でも若干電流が流れたが、炭素の場合より小さく、2V以下ではほとんど電流が流れなかった。アジピン酸アンモニウム水溶液中では、さらに2V以上でもほとんど電流が流れないので、有機溶媒中におけるH2Oの濃度が低いために、圧着による酸化皮膜欠陥部の修復が十分でなく、電解液の分解が起きると考えられる。このことは電解液の色の変化などからも見て取れる。
図2にLiBF4/PC+DMEを用いた場合の結果を示す。LiBF4/PC+DMEを電解液に用いた時は、電位が3Vを超えたところからノイズが生じ、電解液を観察したところ、気泡が生じていが、皮膜の破壊と修復が起きている可能性もある。しかし炭素とLiMn2O4の接触によるアルミニウム酸化皮膜の導電性の変化はTEMA・BF4/PC+DME電解液の場合と同様に見出された。このように、アルミニウム酸化皮膜の導電性はリチウムイオンの存在に関わらず有機電解液中でも異種接触界面によって変化する。ここで2V vs. Ag は、5V vs. Li/Li+ に相当し、リチウム電池において導電助剤として炭素を添加しない正極はほとんど電流が流れないことを裏付け、炭素の機能は単なる活物質間の電子伝導性の向上のみではないことが伺える。
けいこ1)
平成11年度化学系9学協会連合東北地方大会@福島県いわき市2)
◆1998(平成10)年度ノート3)
庄司 恵子, 山形大学 物質化学工学科, 卒業論文 (1999).
(2) 【学会】平成10年度化学系9学協会連合東北地方大会@福島県いわき市
立花
(3) ◆1998(平成10)年度ノート
立花