本間の修士論文 タイトル未定

山形大学大学院理工学研究科博士前期課程 物質化学工学専攻
仁科・立花・伊藤研究室
20521100 本間史将

本間の修士論文URL

https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/auth/54299/2020_R02/thf77716/honma_syuron.asp

緒言


背景


1.2リチウムイオン電池について

電池は正極と負極と電解液で構成される。 リチウムイオン電池の正極はマンガン酸リチウム等の活物質,アセチレンブラック等の炭素導電助剤,ポリフッ化ビニリデン等の バインダーをスラリー状に混ぜ、アルミニウムなどの集電体金属に塗布して作られる。 負極ではカーボンと,ポリフッ化ビニリデン等のバインダーをスラリー状にして金属集電体に塗布して作ります 1 ) 図に正極にマンガン酸リチウムを使用した時のリチウムイオン電池の反応の様子を示します。

正極では導電助剤が、集電体とマンガン酸リチウムまでの電子の導電パスを形成します。そして、マンガン酸リチウムは導電助剤と電解液が接触する三相界面 2 ) でリチウムイオンの脱挿入反応が行われます。 リチウムイオンが抜けると充電し、リチウムイオンが入ると放電します。

負極ではリチウムイオンが、カーボン粒子内に入り充電し、リチウムイオンが抜けると放電します。

正極 負極 電解液 LiMn2O4⇄xLi++Li(1-x)Mn2O4+e- C6+Li++e-⇄C6Li
  1 リチウムイオン電池の反応の様子

リチウムイオン電池の正極にはアルミニウムが使用されている理由としては 以下が挙げられる。 1)正極集電体として使用される電位領域ではリチウムイオンがアルミニウム箔にドープしない。
2)導電性が良好である。
3)強固な自然酸化被膜に覆われている。(5~10nm)
4)電池内でさらに耐食性の高い皮膜が形成される。
5)アルミニウム箔表面に導電性がある。
6)入手しやすく,低コストである。
7)加工性に優れる。 等がある。 負極集電体には銅が使用されている理由を下紀に上げる 1)リチウムイオンが銅箔にドープしない。
2)導電性が良好である。
3)入手しやすく,低コストである。
4)加工性に優れる。 3 )


1.1.3.マンガン酸リチウム

マンガン酸リチウムはスピネル型構造を取る。

              

1.1.4.リン酸鉄リチウム

リチウムイオンの活物質としてリン酸鉄リチウムがある。このリン酸鉄リチウムは3.3Vで平坦な放電プロファイルを持っている。リン酸鉄リチウムは下記の特徴を備えている。 ①レアメタルフリーであること ②比重量エネルギー密度がマンガン酸リチウム(LMO)より凌いでる。LMOが110 mAh/g LFPが170 mAh/g ③酸素脱離が少なく、熱安定性に優れている。 ④満充電相が化学的に安定 ⑤Fe3+,Fe2+と共にヤンテラーイオンでない上、Mn3+→Mn2+ + Mn4+のような不均化反応が起きない。 などがある。N.Ranetの特許ではLFPにポリプロピレンやより安価な糖類を添加し、Ar中700 ℃で焼成しており、添加物の炭化による正極粒子表面に炭素をコートが導電性付与と炭素の還元作用による鉄3価不純物の発生防止、双方の効果をもたらす。 4 )

Daniel Gordon らによると水がリン酸鉄リチウムの表面にコーティングしてる カーボンを通り越して、リン酸鉄リチウムを攻撃すると述べられている。電解液の濃度が低いほど溶出反応が大きくなり、サイクリックボルタモグラムも電解液中のリチウムイオ ンの濃度が低くなると、ピークが卑な方向にシフトすると述べられている。 5 )


1.1.5.接触抵抗

アルミニウムを正極集電体にすると、アルミニウムの酸化被膜とマンガン酸リチウムが接触し、接触抵抗が発生します。 接触抵抗は被膜抵抗と集中抵抗の和です。 集中抵抗はマンガン酸リチウムとアルミニウムの接触点で酸化被膜の破壊が起こり、 電流密度が他の部分より大きくなる事で発生する抵抗です。 被膜抵抗は 金属導体の表面に酸化膜などの皮膜が形成された場合、電流は皮膜を介して流れる。 皮膜の抵抗率は金属導体よりも一般的に大きく、この部分の抵抗を言います。 6 )

小野寺らは、アルミニウムの酸化被膜と電極合材との被膜抵抗は下の式で表されると述べています。活物質の誘電率が大きくなると、接触抵抗が大きくなります。 7 )

接触抵抗=集中抵抗+被膜抵抗 Rc = ( ρ0i Ci Xe,i+ρ0’ ) ( d + d0 ) i Ci = 1 χ =ε r - 1
  2 アルミと活物質の接触抵抗

加藤らは、小野寺らの理論を掘り進め、表面処理を施したアルミニウム集電体を用いて、電極合材との接触抵抗の発現要因を論じて おり、炭素材料や相互拡散層で遮蔽することで、接触抵抗を低減できると述べています 8 )

本発表の事例を使って式から求め、具体的な抵抗の値を例示してみませんか?

オーミック接触とショットキー接触

金属では温度が上昇すると共に導電率が小さくなる。

半導体は絶対零度では導電性を示さない。しかし、 バンドギャップが小さい真性半導体は温度を上げると、充満帯にある電子が励起されて、伝導体に入り、自由電子になる。また、充満帯では正孔ができる。どちらもキャリアーとなり 導電性が出てくる。 9 )

絶対零度 常温
  3 温度が上がった時に伝導帯に電子が入る様子

金属と半導体を接触すると、整流性が現れる場合と、整流性のないオーム性電電流が流れる場合がある。前者をショットキー接触,後者をオーミック接触と呼びます 10 )

j E j E 整流性がないオーム性電流 オーミック接触 整流性がある ショットキー接触
  4 金属と半導体の接触による電圧-電流密度曲線

半導体に高電界を印加すると、キャリア濃度が急激に増加する現象がある。この機構には、なだれ効果とツェナ効果がある。

なだれ効果は高電界中でキャリアが加速されて運動エネルギーが増大して、そのエネルギーを格子に与えて新しく電子-正孔対が形成され、この過程を繰り返してキャリアが増大し導電率が大きくなる。

ツェナ効果の前に量子力学的トンネル効果について説明する。エネルギー障壁の高さが十分に高くて、電子のエネルギーよりも大きいとする。 電を粒子とすると、電子はこの障壁を超える事ができず、境界で反射されてしまう。しかし、電子を波動と考えると この障壁中にしみこんで行くことが可能になる。この効果をトンネル効果と呼ぶ。

このトンネル効果で、伝導帯中へにじみ出て電気伝導現象が現れる現象をツェナ効果と呼ぶ。

一般に降伏電圧が大きい場合はなだれ機構、小さい場合はツェナ機構による。

なだれ効果は電子の散乱確率が上昇と共に大きくなり、電子のドラフト速度は小さくなる。その結果同じ運動エネルギーを得るには電界を大きくしなければならない。従ってなだれ効果による降伏電圧の温度係数は図のように正になる。

ツェナ効果は禁制幅が小さいほど大きくなるが、一般に温度が高くなると禁制帯幅は小さくなる。そのため図に示すようにツェナ効果による降伏電圧の温度係数は負になる。 11 )

  5 温度と降伏電圧

福永ら、Cr/Au電極をスパッタした状態の電圧-電流特性を調べた。するとオーミック特性を示した。温度が上昇とともに電圧-電流直線の傾きが小さくなった。 12 )


等価回路

西らが作成したセルの予想される等価回路図を示します。 セルにおける電気的特性を支配する主な要素は、4つと考えられます。 ひとつめは 集電体と粒子の接触抵抗Rcです。こちらは固体同士の点接触です。 点接触では圧力による接触状態の変化が、接触抵抗を変化すると予想されます。 ふたつめは 粒子と粒子の接触抵抗Rpです。固体同士の点接触です。 みっつめは 結晶と結晶の界面抵抗Riです。こちらはいわゆる結晶子どうしの面欠陥であり、面接触の接触抵抗と考えられる。 よっつめは マンガン酸リチウム結晶のバルクの電気抵抗Rbです。これはマンガン酸リチウムの電子伝導機構そのものに起因します。

集電体と粒子間 接触抵抗Rc 接触容量Cc 粒子間抵抗Rp 粒子間容量Cp  結晶間の 界面抵抗Ri 結晶内の バルク抵抗Rb
  6 予想されるセルの等価回路図

サイクリックボルタンメトリー

電極電位を直線的に掃引し、応答電流を測定する手法であり、電気化学測定法の主要な一つの方法としてよく使われようになってきている。この方法は、電気化学反応特性を調べるのに、最初に行う。 13 )


クロノアンペロメトリー

電極反応が生じる電位まで電位をステップさせて、電流の時間的な変化を見る方法をクロノアンペロメトリーという。 14 )


クロノポテンショメトリー



参照電極

3電極方式によるボルタンメトリー測定おいて注目してるの作用電極の電位がどこに設定されてるかは、重要な事柄の一つである。電位の基準になる電極が参照電極(基準電極、照合電極ともいわれる) 理想的な参照電極として、次の性質が必要である。 1 参照電極表面での反応が可逆で電解液中のある化学種とNernstの平衡電位式に従って応答すること。 2 その電位は時間に対して安定であること 3 その電位は微小電流が流れたとしても、すぐ最初の電位に戻ること 4 Ag/AgClのような場合には、固体層が溶解しないこと 5 温度が変化しても、一定の温度になれば一定の電位を出すこと 現在よく使われてる参照電極は、次の3種類に分類される。 1 金属層や溶解してる化合物がそのイオンと平衡になってる系 2 金属層が、わずかに溶けているその金属と平衡になってる系 3 その他の系 がある。
銀・塩化銀電極は取り扱いが容易で、電位の再現性もよく、しばしば使われる参照電極の一つである。 電位発生反応は次式である。     AgCl+e-→Ag+Cl- 電解液中のKClの濃度によって電位は変化する。25℃において 飽和KClで0.199 V (vs.NHE) 15 ) (電気化学測定法 p96)


実験方法

準備物

使用した試薬の一覧を表に示す.   1 使用試薬

試料名 ID Cabinet ID 提供元 備考
高速マンガン酸リチウム 14342 359 共同研究先 LiMn2O4
比較用マンガン酸リチウム 14273 321,359 共同研究先 LiMn2O4
L191111 14426 359 共同研究先 LiMn2O4,2019/11/11作成
L191114 14427 359 共同研究先 LiMn2O4,2019/11/14作成
L191118 14428 359 共同研究先 LiMn2O4,2019/11/18作成
L191121 14429 359 共同研究先 LiMn2O4,2019/11/21作成
L191122 14430 359 共同研究先 LiMn2O4,2019/11/22作成
L191125 14431 359 共同研究先 LiMn2O4,2019/11/25作成
L191206 14434 359 共同研究先 LiMn2O,2019/12/06作成
L191209 14435 359 共同研究先 LiMn2O4,2019/12/09作成
高速マンガン酸リチウム 粗粉 14447 359 共同研究先 LiMn2O4
高速マンガン酸リチウム 微粉 14448 359 共同研究先 LiMn2O4
高速マンガン酸リチウム 900℃処理 14449 359 共同研究先 LiMn2O4
リン酸鉄リチウム 10016 329 LiFePO4
Au線 13635 322
アルミの相互拡散箔 13999 213
アルミ箔(JIS規格の範疇ではA1085材に近いもの)13932 213
アルミの炭素担持箔14334 214
アルミのカーボンコート 13535 213
プラチナ線 110
銀線 110
硝酸リチウム 14437 327 和光特級
水酸化リチウム‐水和物 7078 80 和光特級
硫酸ナトリウム 7086 80 和光特級
塩酸 13386 80 和光特級
硝酸 13996 80 和光特級
塩化カリウム 14000 80 和光特級
スチーブンサイト2wt%/水分散液 14478
モンモリロナイト2wt%/水分散液 14483
モンモリロナイト-Li4wt%/水分散液 14457
スチーブンサイト-Li2wt%/水分散液 14480

マンガン酸リチウム

実験の準備


銀塩化銀電極の作成

銀・塩化銀電極の作成方法は電気化測定法上を参考にして作った。 使用した実験試薬を表1に示す。

使用試薬
名前数量ID備考 銀線1本備考 白金1本備考 硝酸/td>1ml備考 塩酸/td>5ml備考 塩化カリウム/td>多量備考

使用した使用器具を表2に示す。

使用器具
名前数量ID備考 100ml ビーカー2つ4792備考 10mlビーカー1つ4791備考 ディスポスポイト1つ備考 30ml ディスポカップ1つ備考 薬さじ1つ4800備考 紙やすり1枚大創産業 保存便1枚14506備考 ガラス棒1本備考

ドラフト中で 0.1M 塩酸と3M 硝酸を調整した。 銀電極の表面を紙やすりで磨き、硝酸で60秒洗浄した後、純水で60秒洗浄した。 塩酸が入ったディスポカップ中に、白金と銀を入れた。白金電極をカソード、銀電極アノードに接続した。  ガルバノスタットで0.8mA/cm2の定電流で15分間通電した。 同様の手順で2本目の銀塩化銀電極を作成した。2本の銀塩化銀電極を飽和KCl溶液中に入れて、電圧を測定した。 。

100mlビーカーに純粋を30ml注ぎ、飽和するまで塩化カリウムを入れた。マイクロピペットに1mm角に切ったろ紙を詰め込み、飽和塩化カリウム溶液を入れた。 マイクロピペットに銀塩化銀を入れて、シールテープで開口部をふさいだ。


セロハンテープクリップセルの測定

セロハンテープに皮ポンチで穴Φ10の開けた。集電体を約1.5×1.5 cm2の大きさで切り出し、2枚準備した。集電体に穴を開けたテープを集電体に張り付けた。 集電体の上に活物質を載せ、集電体で挟んだ。テープ部をしっかりと重ね合わせたら、余分な部分をはさみで切った。 最後に、集電体が露出してる部分にゼムクリップを当て、セロハンテープでゼムグリップを固定した。

セルの概略図      セルの正面図と断面図 15 15 Φ10 2.1
  7 郡山セルの図面

作成したセルを一覧表に示す。

セルの略称 ID Cabinet ID 電池式 備考
Al-比較用セル Al|比較用マンガン酸リチウム|Al
b箔-比較用セル Al|b|比較用マンガン酸リチウム|b|Al
Al-高速セル Al|高速マンガン酸リチウム|Al
b箔-高速セル Al|b|高速マンガン酸リチウム|b|Al

3.1.4.セロハンテープクリップセルの測定

使用するセルの一覧を表に示す。

  2 材料
セルの略称 ID Cabinet ID 個数
Al-比較用セル 1 14575 125
b箔-比較用セル 1 14577 125
Al-高速セル 1 14576 125
b箔-高速セル 1 14578 125

使用する装置を表に示す

装置名 ID Cabinet ID 個数
ポテンショガルバノスタット 2
インキュベーター 2
X-Yレコーダー 1
ファンクションジェネレーター 2
画びょう付き洗濯ばさみ 4

作製したセルを画鋲が付いた洗濯ばさみで挟み圧力を加え、ゼムクリップを定電圧源に接続し、掃引速度100 mV/s、掃引範囲-5 V ∼+5 Vで、電圧-電流密度曲線を測定した。

掃引速度100 mV/s 掃引範囲-5 V ∼+5 V
  8 回路図

接触抵抗と温度の関係性を見るために、インキュベーターを使用した。 1台を-2℃に、もう一台を40℃に設定した。

40℃に設定したインキュベーターの中にAl-比較用セル,b箔-比較用セルを入れた。-2℃に設定したインキュベーターの中にAl-高速,b-高速のセルを入れた。インキュベーターの外で図の回路を組んだ。インキュベーターの穴から、to-cell-outコードを入れて、セルのゼムクリップにワニ口クリップを噛ませる。

掃引速度100 mV/s、掃引範囲-5 V ∼+5 Vで、電圧-電流密度曲線を測定する。2~3サイクルを取ったら、ペンを上げて掃引速度を500mV/secに変えて、電圧-電流密度曲線を2~3サイクル取った。測定し終わったら、インキューべーターから取り出し,-2℃に設定したインキュベーターに入れ10分間静置した後、同様の測定を行った。 同様の操作をb箔-比較用セルで行った。

高速マンガン酸リチウムのセルは-2℃を測定し終えた後、40℃のインキュベーターの中に入れ測定した。

キャパシタCVシミュレーション

3.実験結果

3.1.マンガン酸リチウムの単体評価?

3.1節では、マンガン酸リチウム単体の評価をまとめたものである。水系電解液におけるマンガン酸リチウムの高速性を検証し、高速マンガン酸リチウムの高速性を発揮できる集電体の模索し、 マンガン酸リチウムの活性化過電圧を求めた。また、マンガン酸リチウムの粉体と集電体との抵抗の発現要因をまとめたものである。

3.1.1.マンガン酸リチウムの高速性について

結果

表に,使用したマンガン酸リチウムの観察記録を示す。

    
  3   4 マンガン酸リチウムのロット番号ごとの観察記録
試料名 ID 気が付いたこと 写真・スケッチ
L191111 14426 他のマンガン酸リチウムよりも色が青かった
L191114 14427
L191118 14428
L191121 14429
L191122 14430
L191125 14431
L191206 14434
L191209 14435
高速マンガン酸リチウム 粗粉 14447 微粉程粘着力がない。ビンを振ったら粉が少しガラス瓶の壁面に付く
高速マンガン酸リチウム 微粉 14448 粘着力がかなりあり、ビンを振っただけでガラスビンの壁面にくっ付いた。
高速マンガン酸リチウム 900℃処理 14449 他のLMOをと違い、ガラス瓶を振るとガラスの壁面と当たってカランと音が鳴った
高速マンガン酸リチウム 850℃処理
高速マンガン酸リチウム 14342
KF-5 14273

高速マンガン酸リチウム,比較用マンガン酸リチウム,900℃処理,微粉,粗紛の粒度分布を図に示す。 高速マンガン酸リチウムは比較用マンガン酸リチウムに比べて、粒子径が小さいのが多い。 900℃処理を施した高速マンガン酸リチウムの粒子径は比較用マンガン酸リチウムより大きい。

高速のメジアン径=4.86μm 比較のメジアン径=6.39μm 微粉のメジアン径=4.38μm 粗粉のメジアン径=5.90μm 900℃のメジアン径=10.06μm
  9 マンガン酸リチウムの粒度分布

オシロスコープでピークが観測できた最大掃引速度とセルの内部抵抗を表に示す。高速マンガン酸リチウムのピークの見えた最大の掃引速度は比較用マンガン酸リチウムより、10倍の掃引速度でもピークが観測できた。     また、900℃処理を施した高速マンガン酸リチウムのピークが見えた掃引速度は10V/secで、他の高速マンガン酸リチウムと比べると掃引速度が遅い。     同様に微粉と粗紛でも違いは分からなかった。

最大掃引速度の結果,CVからの内部抵抗の概数算出

  5 マンガン酸リチウムの電池反応に伴う反応ピークが観測できた最大掃引速度とセルの内部抵抗
試料名 ID n 最大掃引速度 vmax /mV⋅s-1 セルの内部抵抗 Ri
L191111 14426 1 20 V/sec 1000 mV/s で55.5Ω
L191114 14427 1 20 V/sec 1000 mV/s で50Ω
L191118 14428 1 20 V/sec 1000 mV/s で120 Ω
L191121 14429 1 20 V/sec 1000 mV/s で24Ω
L191122 14430 1 20 V/sec 1000 mV/s で50Ω
L191125 14431 1 20 V/sec 1000 mV/s で60Ω
L191206 14434 1 20 V/sec 26Ω
L191209 14435 1 20 V/sec 75Ω
高速-LMO-003 粗粉 14447 1 20 V/sec 40 Ω
高速-LMO-003 微粉 14448 1 20 V/sec 33 Ω
高速-LMO-003 900℃処理 14449 1 10 V/sec 42 Ω
高速マンガン酸リチウム 14342 1 20 V/sec 26 Ω
比較用マンガン酸リチウム 14273 1 2 V/sec 18 Ω

水に浸漬した高速マンガン酸リチウムのサイクリックボルモグラムと高速マンガン酸リチウムのサイクリックボルタモグラム示す。1000mV/secの時、水の浸漬にしてないマンガン酸リチウムで観測できたカソードピークが消えた。

  10 高速マンガン酸リチウムと水に浸漬した高速マンガン酸リチウムのサイクリックボルタモグラム(下書き版)

水に浸漬した比較用マンガン酸リチウムのサイクリックボルタモグラムと水に浸漬してない比較用マンガン酸リチウムのサイクリックボルタモグラムを示す。 1000mV/secの時、両方のセルでサイクリックボルタモグラムのピークが確認できなかった。

  11 比較用マンガン酸リチウムと水に浸漬した比較用マンガン酸リチウムのサイクリックボルタモグラム(下書き版)

考察

高速マンガン酸リチウムは比較用マンガン酸リチウムに比べて、10倍の速度で対応できる。また、高速マンガン酸リチウムをふるい分けしても、マンガン酸リチウムの速い掃引速度に対応できる高速性に影響は少ない。しかし、水に浸漬したら、高速マンガン酸リチウムの高速性が損なわれる。


3.1.2.マンガン酸リチウムと集電体の電解液中での相性???

この項では、マンガン酸リチウムと電解液中での相性をCVで模索した。


3.1.3.マンガン酸リチウムの活性化過電圧

結果

顕微鏡観察の結果高速性は金に対して6割り近く付いており、比較用は金に対して3~5割り程度付いていた。

10μAで充電したとき、1.2Vにまでに掛かった時間は比較用が80sで高速性では320sだった。モニターを見ていたが、両方とも自己放電してなかった。

過電圧と電流密度のターフェルプロットのデータを図aに示した。高速性マンガン酸リチウムのSOC=90%で放電時のターフェルプロットの傾きが-になっていた。充電時を比べると高速性と比較用では高速性の傾きが比較用よりも2倍大きかった。放電時も90%のターフェルプロットを除けば同様である。切片は充電時は高速性の方が小さく、放電時はSOC=50%の時は高速性は小さく、SOC=70%の時は比較用のほうが小さかった

  12 図a金と硝酸リチウムとターフェルプロット(20200710)(訂正 放電の時、縦軸が-ηで横軸log(-i)です)

充電時のターフェルプロットから求めたマンガン酸リチウムの傾きと切片を示す。 高速マンガン酸リチウム打ち込み電極の傾きはSOCによって大きく変化するのがわかる。 一方、KF-5はSOCによっての変化は小さく、高速と比べて、傾きも小さいのが分かる。

充電による切片aと傾きb
SOC a(mV) b(mV)
比50% -4.1 15.6
比70% -0.1 12.4
比90% -0.1 12.4
高速性50% -5.2 27.6
高速70% -10.7 45
高速性90% -25.5 120.6

放電時のターフェルプロットから求めたマンガン酸リチウムの傾きと切片を示す。SOCが90%の時、高速マンガン酸リチウムの傾きが、比較用マンガン酸リチウムに 比べて低い。しかし、SOCが70%,50%の時は傾きが比較用のほうが小さい。

放電による切片aと傾きb 
SOC a(mV) b(mV)
比50% 3.1 10
比70% 0.9 9.2
比90% -0.4 32.8
高速性50% -1.5 22.2
高速性70% 2.2 22.8
高速性90% 11.1 -1.8

3.1.3.セロテープクリップセルによる集電体と活物質の接触状態の評価

結果

比較用マンガン酸リチウムを集電体で挟んだセルの電圧-電流密度曲線を図に示す。
アルミニウム箔の集電体では、電圧-電流密度曲線が S 字曲線になり、非直線性を示した。相互拡散箔や炭素担持箔、炭素コート箔の集電体を使用したセルでは、電圧-電流密度曲線が直線になった。

マンガン酸リチウムとアルミニウム箔の面積当たりの抵抗 Rcは、電圧によって変化した。2V の面積当たりの抵抗 Rcは 1.7MΩ·cm2 であった。4Vの Rcは 0.2 MΩ·cm2 であった。

マンガン酸リチウムと相互拡散箔の面積当たりの抵抗 Rcは 2V でも 4V でも、接触抵抗率 Rcは0.04MΩ·cm2 で同じであり、変化しなかった。

マンガン酸リチウムの電流電圧曲線 左の図の中央拡大図
  13 マンガン酸リチウムの電流電圧曲線

アルミニウム箔の集電体では、電圧と電流密度の関係が S 字曲線になり、非直線性を示した。相互拡散箔や炭素担持箔、炭素コート箔の集電体では、木の葉型になった。 このことから、高極性マンガン酸リチウムは容量性があることが分かる。

マンガン酸リチウムとアルミニウム箔が接触すると面積当たりの抵抗 Rcは、電圧によって変化した。2V の面積当たりの抵抗Rcは 1.5MΩ·cm2 であった。4Vの Rcは 0.13MΩ·cm2であった。 相互拡散箔では、2V でも4Vでも面積当たりの抵抗 Rcは0.24MΩ·cm2となり、電圧によって抵抗に変化はしなかった。

高極性マンガン酸リチウムの電流電圧曲線 左の図の中央拡大図 S字
  14 高極性マンガン酸リチウムの電流電圧曲線

電圧-電流密度曲線の傾きから求めた、 2Vの時の各マンガン酸リチウムとアルミニウム箔と相互拡散箔の抵抗を表に示す。

アルミニウム箔使用した時、高極性マンガン酸リチウムとマンガン酸リチウムの面積当たりの抵抗に差は殆どなかった。 しかし、相互拡散箔使用した時は高極性マンガン酸リチウムの方が抵抗が大きかった。

  6 2Vでの面積当たりの抵抗
集電体 マンガン酸リチウム
との面積当たりの抵抗
 MΩ·cm2
高極性マンガン酸リチウム
との面積当たりの抵抗 
MΩ·cm2
アルミニウム 1.7 1.5
相互拡散箔 0.04 0.24

アルミニウムを集電体にした時の電圧-電流密度電圧曲線から 求めた接触コンダクタンスと電流密度の関係をプロットした図を示します。 コンダクタンスは、電流密度とともに増加した。

G とj の関係から傾きa を求めると、 マンガン酸リチウムでは、1.1 S/Aだった。 高極性マンガン酸リチウムでは1.2 S/A と傾きはほぼ同じだった。

  15 アルミニウムを集電体にした時のマンガン酸リチウムの接触コンダクタンスと電流密度の関係

表に測定したセルの電圧-電流曲線を示す。アルミニウム箔で挟んだセルは温度が上昇すると、電流が流れやすくなった。-2℃を破線、40℃を実線で示す。

b箔-高速セルは温度の影響はほぼ無かった。しかし、比較用-セルでは温度が高くなると電流の傾きが小さくなった。

  7 温度による電圧-電流密度曲線の変化
比較 高速
Al -2℃の時OCVが0.00V
b箔
-2℃の時OCVが0.00V

考察

図に整流性が現れる電圧-電流密度曲線を示します。アルミニウムとマンガン酸リチウムは整流性と思われる曲線が現れたので、アルミニウムとマンガン酸リチウムはショットキー接触 と考えられる。 相互拡散箔や炭素担持箔やカーボンコート箔は電圧-電流密度曲線は直線になったので、オーミック接触すると考えられる。

図に集電体による電流の流れるイメージを示す。矢印は電流の様子です。 アルミニウムに表面処理を施したとき、接触抵抗は高極性マンガン酸リチウムの方がマンガン酸リチウムより大きい。 なので、接触抵抗は小野寺の式に従うので、マンガン酸リチウムとアルミニウムの接触抵抗は被膜抵抗に支配されており、

しかし、アルミニウムと電流密度とコンダクタンスの傾きでは高極性マンガン酸リチウムとマンガン酸リチウムの傾きは殆ど同じだった。 アルミニウムとマンガン酸リチウムの間の接触抵抗はショットキー接触が支配的と考えられる。

表面処理を施した集電体は 高極性の方が接触抵抗が大 きい 電流 接触抵抗が 小野寺の式 に従うので 被膜抵抗が 支配的 アルミニウムを集電体にすると Gとjの傾きが極性に関係無く、 同じだった。 接触抵抗は ショットキ ー障壁が支 配的
  16 電流の流れる予想図,
左が表面処理,右が表面処理なし

アルミニウムとマンガン酸リチウムのセルは、温度上昇と共にキャリアが増えたのでこれは半導体の挙動だと考えられる。また、降伏電圧の範囲が温度と共に狭くなった事から、ツェナ効果によるものだと推測する。 高速マンガン酸リチウムが温度上昇と共に電流が大きくなるのは、高速マンガン酸リチウムのエネルギーギャップを超えるキャリアが多い。

b箔-比較セルは福永らと同じく温度と共に傾きが小さくなったので、b箔-比較セルはオーミックコンタクトらしい挙動になった。


3.1.4セロテープクリップセルの

結果

図にセロテープクリップセルのクロノアンペロメトリーの測定結果を示す。高速LMOをb箔で挟んだセルを黒の四角でプロットし、未処理箔で挟んだセルを白の四角でプロットし、近似曲線を黒の実線で示した。 比較用LMOをb箔で挟んだセル黒の丸でプロットし、未処理箔で挟んだセルを白の丸でプロットし、近似極線を黒の破線でプロットした。 高速マンガン酸リチウムは時間と共に電流が流れなくなった。2sで1400μAまで電流を流したが、急速に下がっていき、6時間半後で19μAになった。 未処理のアルミニウムで挟んだセルは、印加した2秒後のセルは100μAで流れた。60s後に237μA流れた。その後、下がっていき、24300s後には9.0μAまで下がった。 比較用マンガン酸リチウムを比較用LMOをb箔で挟んだ比較用bは流したら一瞬で347μAから直線に上昇してき、直線で下がっていった。 未処理のAl箔で挟んだセルは印加直後は30μAの電流が流れ、60s後に52μAまで上昇し、24300s後には23μAまで下がった。

時間 t / s電流 密度j / µA5000100001500020000250001,5751,3501,1259006754502250 L 532.663316582914 284.8261783594 L 532.663316582914 288.342062176449 L 532.663316582914 285.109792640058 L 532.663316582914 284.8261783594 L 532.663316582914 288.342062176449 L 532.663316582914 285.109792640058Al|b|TN|b|AlAl|b|KF-5|b|AlAl|TN|AlAl|KF-5|Al

クロノアンペログラムの結果から、各セルの始まりの面積当たりのコンダクタンスと一番電流が流れた時のコンダクタンスと終わりのコンダクタンスを表に示す

表3 セルの抵抗値
電池式印加直後の抵抗 mS/m2ピーク時の抵抗 mS/m2実験終了時の抵抗 mS/m2
Al|比較用|Al274620
Al|b|比較用|b|Al308338216
Al|高速|Al892108
Al|b|高速|b|Al1270なし17.8

6時間30分程印加してから、実験を終了してからの電圧の変化を表に示す。高速マンガン酸リチウムを使用したセルが電気を溜めてるのが分かる。

表8 電流遮断による電圧変化
セル名印加前の電圧(OCV)V電流遮断後の電圧 V電流遮断から3分後の電圧 v
比較用-a0.000.6 0.3
比較用-b0.000.09 0.03
高速-a0.003.1 1.5
高速-b0.001.8 1.13

考察

相互拡散箔を使用したセルの接触抵抗を被膜抵抗支配と考える。アルミニウムの酸化被膜の厚みを5nmと仮定し、アルミニウムの酸化被膜の抵抗率を5×1010Ωm(←教科書で確認)と仮定し、 小野寺が提唱したRc=(ρ0Χe+ρ0)(d+d0)で計算すると 相互拡散箔と高速性マンガン酸リチウム(εr=50と仮定)の接触抵抗Rc=12.5KΩ・m2だった。 実験終了時の相互拡散箔と高速性マンガン酸リチウムの抵抗は56KΩ・m2だった。 被膜抵抗以外の抵抗は51KΩ。 また、相互拡散箔と高速性マンガン酸リチウムの印加直後の抵抗は0.79KΩ・m2だった。 等価直列回路を考えた時、最初にコンデンサー側に電流を流れたと考えると、結晶間の界面抵抗とバルク抵抗は低いと考えられる。 この事から高極性マンガン酸リチウムは粒子間による抵抗が大きいと考えられる。

比較用マンガン酸リチウム(εr=13と仮定)では小野寺の式で求めた被膜抵抗Rcは3.5KΩ・m2だった。 実験終了時の相互拡散箔と比較用マンガン酸リチウムの接触抵抗は4.6KΩ・m2だった。 被膜抵抗以外の抵抗は1.1KΩだった。また、相互拡散箔と比較用マンガン酸リチウムの印加直後の抵抗は3.2KΩ・m2だった。 このことから、比較用マンガン酸リチウムの粒子間抵抗はかなり小さいと考えられる。


粘土水分散液のリチウムイオン電池への応用

3.2節では粘土水分散液による水の電気分解への影響や、粘土水分散液の不思議な特徴について纏め。 リチウムイオン電池材料への可能性について検討した。


3.2.1.粘土水分散液のリチウムイオンの輸率の上昇

結果

図に電解液にモンモリロナイトLi水分散液を使用したセルのサイクリックボルタモグラムを実線、水酸化リチウム水溶液を使用したセルのサイクリックボルタモグラムを破線で示す。作用極にはリン酸鉄リチウムを使用した。 縦軸に電流 I/μAをプロットした。横軸に銀塩化銀電極に対する電位 E/ Vをプロットした。 導電率はモンモリロナイトLi水分散液が低いのにも関わらず、ピーク電流はモンモリロナイトLi水分散液の方が大きかった。

モンモリロナイトLiLi水分散液を 自然電位 0.1Vからアノード掃引を行うと、電位が0.3Vで電流値71.6uAのピーク電流を示した。 さらに、アノード掃引を続け、0.8Vでカソード掃引に反転した。 電位が-0.09Vでカソードピークとなり、電流値は-56.8uAであった。

電解液に、水酸化リチウム水溶液を使用したセルのサイクリックボルタモグラムを破線で示す。導電率は6.0mS/cmだった。 自然電位 0.09Vからアノード掃引を行い、電位が0.25Vで電流値63.8uAの電流ピークを示した。 さらに、アノード掃引をつづけ、電位が0.8Vで反転した。 電位が-0.05Vでカソードピークとなり、電流値は-46.9uAであった。

  17 モンモリロナイトLi水分散液と水酸化リチウム水溶液のサイクリックボルタグラム

図に電解液にスチーブンサイト水分散液を使用したセルのサイクリックボルタモグラムを実線、水酸化リチウム水溶液のサイクリックボルタモグラムを破線で示す。作用極にはリン酸鉄リチウムを使用した。 縦軸に電流 I、単位 uAをプロットした。横軸に銀塩化銀電極に対する電位 E,単位 Vをプロットした。

スチーブンサイトの導電率が低いのにも関わらず、流れたピーク電流は同じくらいだった。

スチーブンサイト水分散液の導電率は1.4mS/cmであった。 自然電位 0.06Vからアノード掃引を行い、電位が0.18Vで電流値2.5uAのピーク電流を示した。 さらに、アノード掃引を続け、0.6Vの電位で反転した。 電位が0.02Vでカソードピークとなり、電流値は-2.0uAであった。

電解液に、水酸化リチウムを使用したCVを破線で示す。導電率は6.0mS/cmだった。 自然電位 0.062Vからアノード掃引を行い、電位が0.15Vで電流値2.5uAのピーク電流を示した。 さらに、アノード掃引を続け、0.8Vの電位で反転した。 電位が0.00Vでカソードピークとなり、電流値は-2.4uAであった。

  18 スチーブンサイトLi水分散液と水酸化リチウム水溶液のサイクリックボルタグラムの比較

図に電解液のリチウムイオンを含まないモンモリロナイト水分散液を使用したセルのサイクリックボルタモグラムを実線、硫酸ナトリウム水溶液のサイクリックボルタモグラムを破線で示す。

モンモリロナイト水分散液を使用したセルはリチウムイオンを含まないのにも関わらず、カソードピークが確認できた。しかし、硫酸ナトリウム水溶液ではカソードピークが確認できなかった。

電解液に、モンモリロナイト水分散液の導電率は0.8mS/cmであった。 自然電位 0.08Vからアノード掃引を行い、電位が0.55Vで電流値250uAのピーク電流を示した。 さらに、アノード掃引を続け、0.8Vの電位で反転した。 電位が-0.10Vでカソードピークとなり、電流値は-60uAであった。

硫酸ナトリウム水溶液の導電率は未測定。 自然電位 0.081ボルトからアノード掃引を行い、電位が0.38Vで電流値70uAのピーク電流を示した。 さらに、アノード掃引を続け、0.8Vの電位で反転したがカソード側にピークは見られなかった。

  19 リチウムイオンを含まない電解液の比較

粘土水分散液および水酸化リチウム水溶液中の活物質 のサイクリックボルタモグラムのアノードピークの拡大図を示す。 縦軸に1サイクル目と2サイクル目のアノードピークの電流増加率、横軸に銀塩化銀電極に対する電位をプロットした

どちらの電解液も2サイクル目のピーク電流が1サイクル目のピーク電流より大きくなった。しかし、粘土水分散液は水酸化リチウムに比べて電流増加率が2倍になった。

>

考察

田邉らの報告によるとヘクトライト2wt%水分散液を分極すると、高い粘性を有する層の生成を制御できると述べている。 16 )

スチーブンサイトやモンモリロナイトでもこの層ができると考えると、この層が活物質から抜けたリチウムイオンを電極近傍に留めていると考えられる。


3.2.2.粘土水分散液による酸素発生の抑制

結果

考察

水酸化リチウム溶液では活物質が付着している部分が、付着してない部分より気泡の発生が早かった理由としては 活物質が触媒となって水の電気分解を促進していると考えられる。 粘土水分散液で分極した電極では、電極に層を形成し、電気分解の発生を抑える事が考えられる。

この粘土層はリチウムイオンの輸率を上げて、水酸化物イオンの輸率を下げる可能性がある。


3.2.3.粘土水分散液と粘性変化と導電率の上昇

3.2.3.粘土水分散液と粘性変化と導電率の上昇

図にサイクリックボルタンメトリーで測定した後のスティーブンサイト-Li2wt%/水分散液の場所と導電率を示す。 電極近傍の導電率が上がり、バルクの導電率が下がった。 電極近傍の導電率が1.6 mS/cm、バルクの導電率が0.9 mS/cm、SUS電極に付着していたスティーブンサイト-Li2wt%/水分散液だった。

スティーブンサイト-Li2wt%/水分散液の場所と導電率イメージ図

表にスチーブンサイト-Li2wt%/水分散液を時間毎による導電率と観察記録を表に示す。 時間が経つに連れて、流動性がなくなり、導電率が上昇した。 スティーブンサイト-Li2wt%/水分散液の時間毎による導電率と観察結果
時間導電率 κ/mS/cm観察記録
0分,No.11.6水混入
5分,No.11.85水混入
20分,No.11.87水混入
30分,No.12.09(実験方法変更、放置),水面だけ動く感じ
80分,NO.12.14、60度傾けても動かない
130分,NO.12.22、90度傾けても動かない
210分,NO.12.38、180度傾けても動かない
240分,NO.12.51、180度傾けても動かない
0分,NO.22.05
60分,NO.22.12,水面の上部だけが動く感じ
105分,NO.22.17,水面の上部だけが動く感じ
190分,NO.22.29,水面の上部だけが動く感じ

参考文献

文献

  • 1) 芳尾真幸,小沢昭弥.リチウムイオン二次電池-材料と応用-.日刊工業新聞社.2010.p174
  • 2)Zhichuan J.Xu .From Two-Phase to Three-Phase: The New Electrochemical Interface by Oxide Electrocatalysts. Nano-Micro letters. 2018. Article number: 8
  • 3)芦澤公一.;山本兼滋.リチウムイオン電池用アルミニウム箔.2009.
  • 3)吉野彰.二次電池材料の開発.普及版.シーエムシー出版..p68~p69
  • 4)Daniel Gordon.;Michelle Yu Wu. et al." Enhancing Cycle Stability of Lithium Iron Phosphate in Aqueous Electrolytes by Increasing Electrolyte Molarity.Advanced Energy Materials". November 2015.Vol.6 Issue 2
  • 5) Ragnar Holm (1967),Electric Contacts,p8-10
  • 6)Onodera S., Kato, N., Ito, T., Ito, T., Tachibana, K. and Nishina, T. (2015). The Effect of Dispersion Degree of Positive Electrodes Containing Carbon Nanotubes with Identical Composition on Contact Resistance in Lithium Ion Secondary Batteries. Electrochemistry, 83(5), 386-388(2015
  • 10)小沢昭弥.,現代の電気化学. p8
  • 11)高橋清.半導体工学(第2版)-半導体物性の基礎-.森北出版株式会社. p25,p70,p110
  • 12)福永徹.日暮栄治.須賀唯知 "低温接合のためのn-GaNのCr/Au室温オーミックコンタクト"第24回エレクトロニクス実装学術講演大会. 2010
  • ???)FBテクニカルニュース

学会発表