多賀谷英幸教授に聞く 超臨界流体で循環型社会を実現する新技術 石油をはじめとする化石資源の枯渇は,もう目の前に迫った問題ですが. 石油はあと50年ほどで無くなると言われています.私たちは石油を原料に膨大なプラスチック材を生産し廃棄してきました.しかし,この廃プラスチック材は,ゴミではなく21世紀の重要な資源です.これをリサイクルし循環型社会を実現することが必要です. この問題を解決する超臨界流体とはどんなものですか. 超臨界流体は,気体,液体に次ぐ第三の流体と呼ばれています.身の回りに存在するどの物質も高温・高圧では超臨界状態になります.例えば,水を箱に閉じ込め,高温・高圧にすると超臨界流体になります.この状態では,水の性質が著しく変化し,油と溶け合うようになります.私の研究室では,超臨界状態の水の特異な性質を利用し,プラスチック材料の分解により原料をリサイクルする技術の基礎研究を行っています.無害な水を利用しているので地球環境にもやさしい新技術なのです.この他にも超臨界流体は,食品,化学製品,医薬品などの分野で使われてきた有機溶媒に代わる無害なものとして応用できます. これから物質化学工学科を目指す高校生へメッセージをお願いします. 教育や研究には,環境,エネルギー,素材,バイオ,健康など,21世紀の社会に要求されるキーワードの全てが,ちりばめられています.クラブ活動や研究室生活では,貴重な出会いや経験があり,多くの思い出ができることでしょう.大学で潜在能力を開花させ,また新たな潜在能力の目を養ってください.待っています. http://chemistry… http://bio.yz.ya… 物質化学工学科1) バイオ工学科2) 【関連書籍】 サイエンスビュー化学総合(目次)3) 物質の反応4) 物質の変化5) 反応速度6) 反応速度と反応機構7)(1) 物質化学工学科, 所属.(2) バイオ化学工学科, 所属.(3)  > サイエンスビュー化学総合(目次)実教出版, サイエンスビュー化学総合資料, 実教出版, (2005).(4)  > 物質の反応数研出版編集部, 視覚でとらえるフォトサイエンス化学図録, 数研出版, (1998).(5)  > 物質の変化佐野博敏、花房昭静, 総合図説化学, 第一学習社, (1995).(6)  > 反応速度P. W. Atkins [著]/千原秀昭, 稲葉章訳, 物理化学要論, 東京化学同人, (1998).(7)  > 反応速度と反応機構井上 勝也 著, 現代物理化学序説 改訂版, 培風館, (198).