このように電流は界面とバルクを通過する。バルクを頂点にした場合と、界面を頂点にした場合のグラフを図 7に示す。それぞれのグラフは双対グラフの関係にある。バルクを頂点にした場合は辺の界面抵抗1)が重みとなるラベルつきグラフに相当し、界面を頂点にした場合は辺の比抵抗2)が重みとなるラベルつきグラフに相当する3)。それぞれの頂点ではキルヒホフの法則(第1法則)4)が成立する5)。バルクを頂点にした場合の方がよりクリティカルであり、実際、活物質に対する導電助材の混合量を減らしてゆくとパーコレーション挙動を示す。 界面の特性を示す特性値として、界面電位差φ[V]のほか、界面抵抗[Ωm2]、電気二重層容量[F m-2]などがある。また界面の寸法を示す数値として接触面積[m2]などがある。界面抵抗[Ωm2]は電流密度[Am-2]に対する界面電位差φ[V]の比例係数であるが、界面での相間の剥離や結着材などの被覆でみかけの界面面積[m2]より接触面積[m2]が小さくなることがある。その結果、電流密度[Am-2]は局所的に大きくなり結果として抵抗が増加したように観察される。このような抵抗を集中抵抗と呼ぶ。 集電体は板であり、活物質も導電助材も粉体であり、電解液は液体である。したがってそれぞれ粉体|固体界面、粉体|粉体界面、粉体|液体界面となる。粉体|液体界面では電解質や結着材が競争吸着しており、粉体表面の特性を変化させている。 キルヒホフの法則(第1法則),原理と法則仁科 辰夫, 電気化学の庵, 講義ノート, (2007).(1) R, 界面抵抗, , オーム平方メートル, (物理量).(2) , 比抵抗, , オームメートル, (物理量).(3) 離散数学 コンピュータサイエンスの基礎数学(目次)Seymour Lipschutz、成嶋弘, 離散数学 コンピュータサイエンスの基礎数学, オーム社, (1995).(4) キルヒホフの法則(第1法則),原理と法則仁科 辰夫, 電気化学の庵, 講義ノート, (2007).(5) グラフ理論の基礎(目次)小野寺力男著, グラフ理論の基礎, 森北出版, (1968).