紙おむつの秘密 吸水性ポリマーを調べてみよう!! 1 はじめに 水を吸収する材料として、脱脂綿、パルプ、布などが古来より知られており、またこれら材料を用いたおむつや生理用品など多数の商品が生産・使用されてきました。これらの材料は毛細管現象によって基材の間隙に水を吸収するのみで、吸水力も低くかつ圧力をかけると水が簡単に吐き出されてしまいます。 これに対して、1980年頃からポリアクリル酸ナトリウムなどの合成高分子電解質を橋かけ(架橋)した吸水性ポリマーが次々と開発され、高い吸収力と圧力を加えても水を離さないといった性質を持ったポリマーが登場しました。現在、吸水性ポリマーは、紙おむつや生理用品に代表される医・衛生材料から園芸、砂漠緑化、土木建築にいたる様々な分野で活用されています。 本実験では、吸水性ポリマーがどの位の水を吸収することができるのかを実験で確かめ、さらに吸水のメカニズムについて考えてみます。 話をもとに戻しましょう。少し専門的になりますが、ポリアクリル酸ナトリウムは、水に溶解して多数のマイナスイオンを有する巨大な高分子イオンと多数個のナトリウムイオンとに解離します。水で膨潤したゲルに食塩を加えたところ、捕まえていた水を離してしまいました(実験③)。以上の実験観察から吸水力には何かイオン(水に溶けて正、負に帯電したもの)が重要であることが推論されます。実は、この高分子イオンと多数のイオンが水を吸収する推進力であり、専門用語で言うと大きな“浸透圧(イオンの濃度を薄めようとする作用)が作用することになります。 1) 生理用品とか熱さまし用シート、植木鉢の保水剤とか、食べ物を冷やす保冷剤、エチケット袋、携帯トイレ・・・インクジェットプリンタの用紙とか2)。 サイエンス劇場スペシャル―化学への招待3)吸水性ポリマー,その他のアイテム泉 多恵子, 科学ゼミⅡ, 講義ノート, (2007).サイエンス劇場スペシャル―化学への招待,四丁目サイエンス劇場立花 和宏, 四丁目サイエンス劇場, 講義ノート, (2007).(1) バス・トイレの中で上野景平, これが正体身のまわりの化学物質 電池・洗剤から合成甘味料まで, 講談社ブルーバックス, (1991).(2) 吸水性ポリマー,その他のアイテム泉 多恵子, 科学ゼミⅡ, 講義ノート, (2007).(3) サイエンス劇場スペシャル―化学への招待,四丁目サイエンス劇場立花 和宏, 四丁目サイエンス劇場, 講義ノート, (2007).