次式によれば集電体面積あたりに塗布できる活物質量の上限[g・cm-2]は、活物質の充放電電位が、接触抵抗によるiRロスによって電解液の分解電位よりも大きくなってはならないという制約条件のもとでオームの法則とファラデーの法則を組み合わせて求めることができ、電解液の分解過電圧と、集電体/導電助材の間の接触抵抗で決まり、次の式によって与えられる。 ここでηは電解液が分解しない過電圧の上限[V]であり、活物質の可逆反応電位と電解液の分解電位の差として定義する。σは集電体/導電助材の接触抵抗[Ωcm2]、Qは理論容量[Ah/g]であり、CはCレート[h-1]である。例えば理論容量Q=148mAh/gのマンガン酸リチウムを、充電過電圧上限η=0.5Vの電解液に、接触抵抗σ=50Ωcm2の集電体で、1Cで充電するときの、集電体単位面積あたりの活物質量の上限は、70mg/cm2となる。 以上より、電池のレート特性を上げるには、電解液の分解過電圧ηを大きくし、接触抵抗1)σをできるだけ小さくするように集電体アルミニウムの皮膜を制御することが望まれる。しかしながら、ηを大きく取ることは、iRロスによるジュール熱の発生が大きくなることを意味し、電池温度の上昇を招くことになるため、安全性、長寿命化の点で好ましくない。従って集電体/炭素導電助材界面での接触抵抗をいかに小さく抑えるかが、高性能リチウムイオン二次電池の開発における鍵となると結論することができる (1) R, 接触抵抗, , オーム平方メートル, (物理量).