☆我々の使っている半導体製品(Siが主体)は、多少温度が変化してもちゃんと働く。真性半導体のSiは、 室温付近では導電率が低すぎる。そのため、導電率を自由に変えるための工夫がなされている。 7-4-1 固体Siの中のSiのごく一部を15族元素(Pなど)ですりかえる PはSiよりも電子を1個余分に持っている。Si(白丸)結晶の中に P(横線の丸)が混じりこめば、結合に関与しない電子(斜線の小さな 丸)が1個できてしまう(女性4人と男性5人がコンパしたら、 孤独な男性が一人できる)。結合にあずからない電子は、少しのエネル ギーをもらっただけで、結晶中を動き回れる(いじけてどこかにいく)。 このような物質のエネルギーバンドは右下のようになり、禁止帯の中の 伝導帯に近いところに、余分な電子のための「準位」ができる(この電子 は結合にあずかれないため、他の4個よりも高いエネルギー状態にある。 その分、伝導帯に近いところにいる)。 余分な電子は、少しのエネルギーで伝導帯に飛び移り、結晶中を移動。 このような物質では、主として「伝導電子」が電気を運ぶ。伝導電子の電荷は負(negative)なので、 これを「n型半導体」という。Pによってもたらされる電子の準位を「ドナー準位」という。 少量のPを混ぜるだけで、Siの電気的性質が大きく変化する。そのような目的で加えられる元素(こ こではP)をドーパントといい、その操作をドーピング(ドープする)という。 7-4-2 固体Siの中のSiのごく一部を13族元素(Alなど)ですりかえる AlはSiよりも電子が1個少ない。すると、結合を4個完成することが できない場所(×)が生じる。ただし、ここには外から電子が入って 来ることはできる(少し居心地は良くないが)。(女性4人、男性3人 でコンパをすると、空席ができて、隣のテーブルから見知らぬ男が 入る余地ができる)。 このような物質のエネルギーバンドは右下のようになり、電子が 入れる空席が価電子帯に近いところにできる(「アクセプター準位」 という)。アクセプター準位には、価電子帯の電子が少しのエネルギー で入りこめるようになり、正孔ができる(隣の男が入りこめば、その 人間がいた席は空席になる)。 このような物質では主として正孔(電荷が正(positive))が電子を運ぶ のでp型半導体という。この場合のAlも、ドーパントである。 ドーパントの濃度が高くなれば、それだけ電荷担体も増えやすくなる。ドーパント濃度で導電率を任意に変えられる。ドープした半導体を、「外因性半導体」と呼ぶ。