X線回折とは 「結晶構造という”指紋”を既存データと照合して、物質を同定する実験的手法」 ・結晶構造という”指紋”とは何か: →「結晶構造とその中の原子間距離はひとつの物質に特有である。異なる複数の物質が全く同じ結晶構造と原子間距離を持つことなはい。 →「結晶面の間隔の組合せも物質特有である」 例)面心立方構造をもつような物質があるとする。 すると、結晶構造の中には右図のように、(a)(100)面、(b)(200)面、(c)(111)面などさまざまな面がある。ところで、原子の大きさは元素に特有だから、同じ「面心立方構造」をとる複数の物質であっても、(100)面どうしの間隔は異なるはずである。KCl(NaCl型構造)の(100)面の間隔は6.293Å、(110)面の間隔は4.450Å、(111)面なら3.633Åであることがすでにわかっている。同じ構造のLiClの場合、(100)面の間隔は5.130Åであり、他の面の間隔もすべてKClとは異なる。従って、結晶面の間隔の組合せを調べれば、物質が同定できる。