BF4- PF6- ClO4-
Al ◎不働態化 ◎不働態化 ▲腐食
38 19 21
Nb ▲腐食 ▲腐食 ○不働態化
3.2 3.8 6.5
Ta ▲腐食 ▲腐食 ○不働態化
3.0 4.0 6.5
Ti △溶媒の分解 △溶媒の分解 △溶媒の分解
4.6 4.6 4.6
Zr △溶媒の分解 △溶媒の分解 △溶媒の分解
4.6 4.6 4.6
Hf ○不働態化 ○不働態化 ▲腐食
8 8 3.5
1)各金属毎の行の上段は反応の種類、下段は反応電圧[V vs. Li/Li+]である
2)表中の◎や△等は、集電体としての安定性に関する評価を示しており、(優れている)◎、○、△、▲(劣る)の序列になっている。
すなわち、水溶液中ではアルミニウムが溶媒と反応するのに対し、有機電解液中ではアルミニウムが溶解している電解質アニオンと反応する。そして生成する不働態皮膜も水溶液中で生成するAl2O3からなる酸化皮膜とは異なり、不働態皮膜はAlOx/2F3-xからなるフッ化皮膜である4)。表 2に他のバルブメタルと比較検討した結果を示す。チタン、ジルコニウムはどのアニオンに対しても4.6V付近で溶媒の酸化分解が起こる。ブレークダウン電圧以降は通常電子なだれが起きていると考えられるのでチタン、ジルコニウムのブレークダウン電圧と捉えることもできる。タンタル、ニオブはBF4-、PF6-に対して耐食性を持たずに腐食が進行する。ClO4-に対して不働態化しているように見えるがブレークダウン電圧は6.5Vである。ハフニウムはアルミニウムと類似の挙動を示した。アルミニウムは水分を含むClO4-から遊離した塩化物イオンで腐食が進行するが、それでもClO4-に対して21Vのブレークダウン電圧となる。そしてアルミニウムはBF4-、PF6-に対してそれぞれ38V、19Vのブレークダウン電圧となる。このようにアルミニウムはフッ素を含む電解液中でフッ化物を主成分とする緻密なバリア型の不働態皮膜を生成する他に例のない元素であることがわかった。
(1) 5V級リチウムイオン二次電池用正極集電体のアノード皮膜特性
佐藤幸裕,○坂本裕輔,立花和宏,仁科辰夫,遠藤孝志,尾形健明,第42回電池討論会, (2001).
(2) 有機電解液中におけるバルブメタルのアノード皮膜特性
坂本 裕輔, 卒業論文, (2002).
佐藤幸裕,○坂本裕輔,立花和宏,仁科辰夫,遠藤孝志,尾形健明,第42回電池討論会, (2001).
(2) 有機電解液中におけるバルブメタルのアノード皮膜特性
坂本 裕輔, 卒業論文, (2002).