語釈1.
分子の持っているエネルギーが、反応の障壁のエネルギーΔGよりも大きいものが反応が進行するという概念で反応速度の理論を考えたものがアレニウスの式と呼ばれるものです。ある温度Tで、障壁のエネルギーΔGを超える分子の数は、
N = No exp[ - ΔG/(RT)]
で表現されます。これをボルツマン分布と言います。このN個の分子のうち、反応は分子同士が衝突したときに正面衝突するか、カスるかで衝突のエネルギーが変わりますから、この衝突のときに有効に機能する割合を頻度因子Aという定数で表現して、反応速度定数kが以下のように表されるわけです。これをアレニウスの式と呼ぶのです。
k=A exp[ - ΔG/(RT)]
ここで、両辺の対数を取りますと、
ln k = ln A - ΔG/(RT)
となり、反応速度の対数値が温度の逆数(1/T)に比例するという関係が得られます。これをアレニウスプロットというわけです。ここで、障壁のエネルギーΔGは反応に関する活性化エネルギーと呼ばれるものです。
この関係は自動車用ゴム材料なんかの熱劣化にも適用できるもので、ゴム分子の切断も、その反応速度が関係しているからです。疲労破壊試験なんかで寿命推定するときに使うマイナー則なんかも、同じ原理に基づいていますね。