真空管を応用して作られるマグネトロンは、それまで発生することができなかったマイクロ波を発生できるようになった。波長の短い電波を発することで、直進性が高くかつ分解能の高いレーダーが開発可能になった。小さい標的を遠くから探査できるようになったのである。
戦後はむしろ波長を長くして雲を通過して遠くまで探査できる気象レーダーの開発となった。また電子レンジとして食品加熱に使われるようになった。
軍事技術の平和利用である。弱電を中心としたA科では、しばらくレーザーによる雲の観察や超音波によりセンシングの研究がおこなわれていた。それらはやがて情報処理技術とくみあわさって画像診断の研究に発展してゆく。探査の対象が海洋の軍艦、大空の航空機、台風の雷雲、体内の病変と変遷してゆくのは、いかにも時代の価値観の変化がわかるようである。
1921年(大正10)、ハル(米)マグネトロンを開発。
大正時代1)