匠
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シラバス・テキストは次回までに製本・印刷と配布をすること。
「高等学校学習指導要領解説―理科編」を元に単元を決めます。教員個人の裁量はある程度まで認められていますが、著しい指導要領の逸脱は認められていません。単元を決めたら、単元のねらいに沿って実験テキストを作成します。「視覚でとらえる フォトサイエンス理科」に記載のある内容は改めて実験テキストに記載する必要がありません。生徒が積極的に「視覚でとらえる フォトサイエンス理科」を見るよう仕向けるため、実験テキストの記述は最小限に抑えます。
理科における理解とは自然の事物や現象の分類です。物理における測定値の分類、化学における物質の分類、生物における生物の分類、地学における岩石の分類。いずれの複数の自然の事物や現象を分類、整理することによって体系的な理解が得られます。したがってまずは基準となる事物や現象を選び、それに対して他の事物や現象がどのように違うかを確かめるための観察や実験を設計します。
実験テキストには予めレポートの書き方と評価基準を示します。評価は学習の意欲を高めるために行うものですので、どうしたら評価が高まるかを記述します。理科のレポートは複数の自然の事物や現象をいかに体系的に分類や整理できたかが評価の対象となるべきです。文章表現や文字の稚拙を評価の対象とすることは避け、できるだけテーマに沿った理科本来の評価基準を定め、それを示します。基本的に再提出は避けますが、単位認定のための救済措置として止むを得ず再提出を実施する場合は、その基準を明確に示しておきます。理科という科目の性質上、実験結果をすなおに受け入れる姿勢を育むため、実験の成否を評価の対象にすることは絶対にやめてください。
生物における植生の観察や地学における地層の観察などを設定する場合は、実際に現地に足を運んで観察しますので集合場所や雨天順延などの場合も実験テキストに記述しましょう。また化石の採取を取り上げる場合などで、直接的な巡検が行えない場合、科学館などの利用も考えられます。その場合も実験テキストにその旨を記述しましょう。
生物におけるハツカダイコンの栽培や地学における日没時刻の変化など、長期間にわたるテーマを設定する場合には生徒が長期間にわたって取り組めるように実験テキストを記述し、そのうち授業時間に取り上げられる内容を授業時間に設定します。家庭の事情も配慮し、内容を作りましょう。
星座の観察など夜間にしか行えないテーマは正規の授業時間外に授業を設定する必要があります。天文台のプラネタリウムなどの利用も考えられます。その場合も実験テキストにその旨を記述しましょう。旅費や交通に対して生徒は保護者が負担可能な範囲で内容を作りましょう。
理科実験教室を出前している団体が数多くります。授業の一環として受け入れるのか、放課後教室や学年行事と受け入れるのかはっきり区別する必要があります。授業で受け入れる場合は指導要領を逸脱しないように先方の団体と交渉します。予算の出所も明らかにして適正な会計を心がけます。学年行事などでＰＴＡが予算を組んで行うにあたり助言を求められた場合は、あくまで学年行事であることを周知します。
授業としての理科実験は、やりました、できました、レポート出しました、で終わるべき性質のものではありません。達成度が維持されているかフォローアップする必要があります。フォローアップ計画もシラバスに盛り込みましょう。
©2024 Kazuhiro Tachibana
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准教授
伊藤智博山形大学 大学院 理工学研究科Ｃ１ラボラトリー 〒992-8510 山形県 米沢市 城南4丁目3-16 ３号館（物質化学工学科棟） 3-3301 Tel: 0238-26-3753 URL: http://c1.yz.yamagata-u.ac.jp/ |
