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🌡️ 📆 令和6年3月28日

ポリエチレン28gが気体になった場合の体積は?

1.

物質の気化について調べているのいるのですが、
ポリエチレンの分子式は-[CH2CH2]n-と思います。
ということは式量(分子量)28となり、これが気化する場合、0℃ 1気圧(実際はこの温度では気化しないが・・・)
なら、ポリエチレン 28g が気体になった場合、 22.4リットルに体積が膨張すると考えるのは間違いでしょうか?

というご質問ですが、間違いです。

ポリエチレンの分子式は-[CH2CH2]n-
と表現しますが、これは高分子というもので、1つの分子が
とても巨大なものです。エチレン鎖([CH2CH2])の繰り返し数をnという記号で表現しているのが上記の分子式で、分子量は数万以上になったりします。その巨大な分子の末端に何が付加しているかは、高分子の合成反応によってまちまちですが、あまりにも繰り返し数が大きすぎるため、末端基が何かは、高分子の物性にほとんど影響を与えないようです。

ちなみに、末端基として水素が付加しているとすれば、H-[CH2CH2]n-Hとなりますね。これは、メタン、エタン、プロパン、ブタン、…と炭素数が続いていくアルカン類(CnH2n+2)の炭素数が膨大に大きくなったものと同じことになります。アルカン類の沸点や融点は、炭素数が増えれば増えるほど温度が高くなります。

ということで、ポリエチレンの場合、気化する前に燃焼して分解してしまうでしょう。完全燃焼すれば、CはCO2に、HはH2Oになります。

ちなみに、22.4リットルというのは理想気体での場合で、分子間に引力や凝集力などの相互作用が何もないとした場合のものですが、実際の分子には分子間力が働きますので、理想気体の状態方程式からはズレが生じます。分子量が大きくなればなるほど、圧力が高くなればなるほど、分子間力が大きくなればなるほど、このズレの程度は大きくなります。

標準状態での理想気体では、確かに、気体1 mol
は22.4Lです。

エチレンが28 gの場合、28 g/(エチレンの分子量)=1 molなので,気化すればほぼ22.4 Lになります。エチレンの場合は、問題なく気化しますね。

しかし,ポリエチレンの場合、28 g/(ポリエチレンの分子量)なので、ポリエチレンの分子量を求めることが必要です。例えば n=1000 の場合、ポリエチレンの分子量は28X1000=28000となります。すると、28 gのポリエチレンは、28 g/28000=0.001 molですので、気化したと仮定すれば、22.4 LX0.001=
0.0224 Lとなります。しかし、このような大きな分子量のポリエチレンはまず気化することができないでしょうね。
#完全燃焼