語釈1.
ガラスの湿式粉砕とのことですが、粒径はどの程度なのでしょうか?粒系が小さいものの場合、表面エネルギーが高く、水にも溶解しやすい状態になります。ですので、スラリーを乾燥させたものでも、すでに粒子間で焼結したのと似たような状態になっている可能性もあります。
乾燥させたものをまた小さくするということで、たぶん、昔あったカルメ焼き?だかのように、発泡させたものを作りたいという発想かと思います。不純物が問題になると面倒かもしれませんが、発泡剤を使うという手もあるかもしれません。
水の沸点は、気体側の全圧力と水の飽和蒸気圧が等しくなったときの温度ですね。この条件の時に沸騰が起ります。このとき、水の中に何か溶けているようなものがある場合は、純水の場合と異なり、水が液体側にいるほうが居心地が良い(エネルギーが低く安定になっている)ので、沸点は高くなります(沸点上昇という)。逆に、気体側のほうも、水が居心地が良い気体だと、純水の中にいるよりは気体に移ったほうが居心地が良いので、沸点は下がります。このように、条件によって沸点や飽和蒸気圧は変わるのですが、純水と水蒸気のみの系について調べてみると、化学便覧(日本化学会編、丸善が出版)にそのデータが出ています。手持ちの化学便覧改訂3版では基礎編IIの117ページに『表8.14 水(液)の蒸気圧』としてデータが出ています。そこから何点か抜粋すると以下のようになります。
温度/℃ 蒸気圧/mmHg=133.322Pa
0 4.581
10 9.208
20 17.536
30 31.827
40 55.33
50 92.55
60 149.44
70 233.77
80 355.26
90 525.87
100 760.00 ←1気圧(1atm)の大気圧のとき
110 1074.6
120 1489.1
130 2026.0
140 2710.4
150 3570.1
です。地表では気体(大気)の圧力は1気圧(=760.00 mmHg)ですから、水は100℃で沸騰します。これが高い山の頂上などになると気圧が低くなるので、沸騰する温度(沸点)が低くなります。逆に深海の底のような圧力が高いところでは、飽和蒸気圧も高くなるので、かなり高温になっても沸騰しません。
ガラスの粉体の粒径が小さい場合、あまり温度を高くすると、表面が溶解しやすくなるでしょうから、低い温度で沸騰させることをお考えでしょうか?そのための減圧沸騰ということかと推測しています。