語釈1.
イオン化ポテンシャルのグラフで、同周期で最大は18族なんですけど、その同周期で族の大きさとイオン化ポテンシャルが逆転してるとこがあって、何で逆転してるのか不思議ですよね!例えば、窒素(N)は15族で酸素(O)は16族なのにイオン化ポテンシャル値は窒素の方が大きいですよね。その理由はね・・・コットン・ウィルキンソン・ガウスの基礎無機化学の中で、イオン化エンタルピーを索引から検索して、読んでみて下さい。私が持っている第2版では54,55ページに記述があります。そのうちにパウリの禁制則というものを勉強すると思いますが、電子の満たされ方に関する法則です。要するに、電子は全く同じ量子状態を取らないということです。
電子の充填のされ方は、エネルギー順位が低い軌道から順番に詰まっていきます。そして、一つの軌道にはスピン量子数が+1/2と-1/2のものが二つ入ります。各主量子数につき、s軌道は1つで、このスピン量子数が異なる2個の電子が入ることができます。p軌道は3つあり、スピン量子数が異なる6個の電子が入ることができます。NとOの違いは、このp軌道への電子の入り方にあるのです。
Nは1sに2個、2sに2個、2pに3個入ります。Oは1sに2個、2sに2個、2pに4個入ります。2pへの電子の入り方に違いがあるのです。Nの2p軌道に入っている電子は+1/2のスピン量子数の電子が3つ、夫々異なる3つの2p軌道に入っています。2p軌道は3つですから、これで空間的な対象性が良くなるため、電子のエネルギーレベルは低く安定になります。ところが、さらにもう一つ余分な電子が入るOでは、既に安定な状態になっている2p軌道にさらに余分に-1/2のスピン量子数の電子1個を入れなければなりません。この状態はもう一つ電子を入れることができる3つの2p軌道のどれか一つに入ることになり、空間的な対象性
が悪いものになります。その為に、NよりもOのほうが第1イオン化ポテンシャルが小さくなるのです。
同じことはs軌道、d軌道、f軌道にも言えます。第1イオン化ポテンシャルの原子番号による変化をグラフ化したものが、上記の教科書に出ていると思うので、それを見ていただくと、s軌道からp軌道へ代わる点、s軌道からd軌道に変わる点、d軌道からp軌道に変わる点でも同様に不連続点が現れるんです。