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🌡️ 📆 令和6年4月16日

極限

1.

f(x)=x+1という関数を考えてみましょう。
(xに1を足す)

x = 2 のとき、f(x) = 3
x = 1.1 のとき、f(x) = 2.1
x = 1.01 のとき、f(x) = 2.01
x = 1.001 のとき、f(x) = 2.001
x = 1.0001 のとき、f(x) = 2.0001

このようにxを限りなく1に近づけると、f(x)も限りなく2に
近づきます。このようなとき、
「xを1に近づけたときのf(x)の極限は2である」と
高校では教えます。

でも、この「限りなく」という言葉は数学的に見て
あまりに厳密性にかけます。

そこで、f(x)から2を引いた誤差、f(x)-2を±0.1以下にするには、
x-1をいくつ以下にすれば良いかを考えることにします。
そう、x-1を±0.1以下にすれば、f(x)-2も±0.1以下にできますね。

つまり、f(x)-2を±e以下にするには、
そう、x-1を±e以下にすれば良いのです。

f(x)=x+1では、最初からx=1の値が計算できてしまうので、
こんな議論は無意味なように思えます。

では、g(x)=(x*x-1)/(x-1)という関数を考えてみましょう。
(「xを自乗して1引いた値」を「xから1引いた値」で割る)

こちらの方は、x=1を代入しようとすると、「xから1引いた値」が
0になってしまい、0で割ることはできないので、
x=1の近傍で、g(x)がどんな値になるか直接答えが求まりません。
でも、

x = 2 のとき、g(x) = 3
x = 1.1 のとき、g(x) = 2.1
x = 1.01 のとき、g(x) = 2.01
x = 1.001 のとき、g(x) = 2.001
x = 1.0001 のとき、g(x) = 2.0001

となり、g(x)-2を±e以下にするには、
やはり、x-1を±e以下にすれば良いことが想像できます。

いかような誤差eを与えられようとも、
それに対応するxの範囲を決定できるとき、
その関数g(x)は極限値を持つ、と言います。

これが微積分の基礎をなす「ε-δ論法」です。
この論法では「限りなく」でごまかさず、
「誤差の程度」をきちんと議論するのです。

関数の値などが代入などによってダイレクトに評価できないとき、
誤差の範囲を狭めていって関数の性質を調べてゆく・・・

これが極限の考え方です。

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