2018年稲の水耕栽培のモニターカメラによる自動記録
著者:伊藤智博
現在の状況
ライブ映像
はじめに
日本の農業者人口は減少,高齢化が進んでいる.特に,米の買取価格の下落によって後継者不足になっている. 食糧統計年報によると,米の買取価格と高等学校卒業後の初任給の比は,1976年では5.1だったのが,2014年には14.6となっている(図1-1)1.
植物にはケイ酸を吸収する機構があり,稲も同様に計算を吸収する2. 特に稲ではケイ素が少ないと収穫量が減ることが知られており2,水耕栽培で与える肥料にはケイ素が必要である.
2015年5月に撮影した田圃写真には,左側に荒地になって現在耕作不可能な田圃が,右側に現在も耕作可能な田圃が写っている. 1970年から開始された米の生産調整により,米から麦や豆への転作がなされた. しかし,転作奨励金の減少などにより,耕地整理がなさえていない生産性の悪い田圃は,休耕田・耕作放棄が増え,現在はこのような荒地になった耕作不可能な田圃が増えつつある.
著者らは,イネの水やりをフロートスイッチによって実現した(引用文献(2016)). しかし,フロートスイッチは,接触不良により正常に動作しないことが多かった.
導電率計を使って水量を図ろう.水が無くなり,導電率計に水が降れていなければ,導電率σが0になる. 水道水の導電率σは10~20 mS/mである.セル定数a=100 m-1の導電率計では,7 mVrms(20mVp-p)の電圧を印加したとき,0.7~1.4 µAの電流が流れる. 水耕栽培用の肥料水の導電率σは,水道水の数倍程度の導電率を有すると予測される.
本研究では,導電率計を水量プローブとして使用した自動水やり装置の開発を試みる.
結果
参考文献
- 1.米穀 政府買入価格, 食糧統計年報, URL=http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001065026
- 2.山地 直樹, 馬 建鋒,"イネのケイ酸吸収機構",化学と生物, Vol. 44, No. 7 pp. 453-458 (2006). URL=https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/44/7/44_7_453/_article/-char/ja/