準備
午前の部
午前の部
基本的なルールは下記にありますが、 ゲームマスターによるルールの改変・追加は自由です。 テーブルを盛り上げ、楽しくプレイすることを目標にしてください。
自分が演じるキャラクターを設定します。 ステータスはPCもNPCも0~100の数値のみ。初期値は60。能力値など細かな設定はありません。GMの判断で細かな設定を追加するのはありです。 紙に下記のようなキャラクターシートを作ります。ゲームマスターはNPCのキャラクターシートを作って下さい。紙のかわりに表計算アプリを使ってもかまいません。
キャラクターシートの例
名前 | プロフィール |
ハルノリ | 主人公です。 |
ラウンド | ステータス | 特記事項 |
1 | 60 | |
2 | 62 | |
3 | 49 | チサカに論破される |
キャラクターのイメージを紙に書いてください。 アバターのフリー素材を利用してもかまいません。
GMはタイムキーパーをやってください。
発言から行動判定まで一人当たりの一回のラウンドが制限時間を超えないように調整してください。
GMがダイスロール 1D10で行動判定し、その数値をPCに伝えます
必要応じて物語世界の中断、再開の宣言をしてください。
物語世界でのプレイ中のメタ発言は禁止。
特に老害がメタ発言をした場合は、即刻老害の負けを宣言してください。
GMはNPCの操作をしてください。
現実世界と区別するため、物語世界の人名、地名などの固有名詞は、カタカナで表現してください。
ひとつのエピソードに対して、各PCが発言するラウンドと、選ばれた一人のPCが老害と1:1でディベートする場面があります。
1ラウンドでは最低全員が行動します。1ラウンド内で1つの行動が行えます。 制限時間内では何ラウンド行ってもかまいません。 行動内容は発言によって行います。 かっこいいセリフや面白いセリフは大歓迎です。 GMが認めた PCの1回の行動につきダイスロール1D10で判定されます。 判定結果を各PCのステータス値に加算してください。
テーブルを上(天井)から見て時計回り順。原則、飛ばしはなし。GMが敏捷度を設定したり、それに基づく行動順を決めてもかまいません。
その時点でもっともスタータス値の大きいPCが老害とのディベートに臨みます。 老害はそれまでの流れに対して感想や批判を述べてください。 PCはそれに対して反論し、老害の論破を試みてください。 かっこいいセリフや面白いセリフ は大歓迎です。 ディベートの勝敗判定はダイスロール1D100を使って判定します。 下位桁が上位桁を上回れば、PCの勝ちです。プレイヤーキャラクターとハルノリのステータスに下位桁を加算します。 負けた場合、PCとハルノリのステータスから上位桁を減算します。
発言が多いPCがステータスが高くなる確率が上がります。そのかわり老害とディベートする確率が上がります。 老害に勝つと、ハルノリのステータスが高くなります。ハルノリのステータスがハルノリの地元活性化へのモチベーションを表します。
厳密なステータス値の計算より、プレイロールを楽しむことを優先してください。 全ての判断はGMの柔軟な裁量によります。
基本的に武力の行使は禁止。 特に登場人物を殺戮したり、あるいはそれをそそのかす発言。そのほか一般的に公序良俗に反する発言。
地域の課題に直面し、将来に不安を抱えるハルノリに、出会いが訪れる。 彼らは2020年夏の トーキョーオリンピック を地域の活性化につなげようと前向きに取り組んでいた。 ハルノリは、最初乗り気でなかったものの、無邪気に熱く夢を語る彼らに背中を押され新しい取り組みへの一歩を踏み出す。 公共交通などの山積する課題を、都会を見聞した知識を活用して切り抜け、局面ごとにでしゃばる老害を論破し、ついにハルノリは地域の仲間とともに新しい条例の提案にこぎつける。そしてハルノリはヨシコとともに幸せな生活を手に入れる。
登場人物のハルノリ、ヨシコ、タケマタは、ノンプレイヤーキャラクター(NPC)としてゲームマスター(GM)の大学生がロールプレイします。
ヤマグァタで生まれ育つ。地元の介護士。 恋人のヨシコとの結婚も考えているが、将来に不安を抱え戸惑っている。 結婚を諦め、地元を離れ、都会に転職しようか迷っている。
両親は幼い頃に離婚。病弱の母を抱えて、看護士を目指して看護学校に通っている。 学費を捻出するため、夜はスナックで酔客の相手をして稼いでいる。 ハルノリをいつも思いやっている。
情熱溢れる新進気鋭の議員秘書。時に強権を発動しすぎて、反感を買うこともある。 ハルノリに社会の仕組みについてアドバイスしてくれる。 大学を卒業して一旦は都会の大企業に就職。 一生懸命いいものをつくっても安く買いたたかれ、粗悪な原料で単価を下げたものや中身を変えずにデザインやパッケージなどの見栄えだけを良くしたものが売れる現実に疑問や苛立ちを覚え、地元にUターン。
老害は、ノンプレイヤーキャラクター(NPC)として主催側スタッフ(教員や県庁職員)がロールプレイします。
老害とは人生の或る期間を言うのではなく、心の様相を言うのだ。
才能をうらやむ嫉妬心、上にへつらい下を見くだす態度、
冷め切った無関心、過去に拘る依存心、
現実を受け入れず既得権益にしがみつく怠惰心、こう言う様相を老害と言うのだ。
年を重ねただけで人は老害にならない。理想を見失えば若くても老害になり下がる。
古い価値観にのみ生きているため、現代社会が抱える問題に気づけない。 問題解決の具体的提案の協力を仰ごうとしても「わからない」と拒否し、「自分たちでよく考えなさい」と丸投げし、「私たちはいずれ退職するから」と責任逃避する。
根拠のない屁理屈を高尚な自説とカンチガイし、それを押し付ける時間だけ、若者の労働時間を奪う。 しかも頼んでいないのに「君たちのために言ってるんだ」と恩着せがましく、正直に遠慮しようとすると怒る。
「昔はこうだった」と話すばかりでこれからどうするかを提案せず時間つぶしする。
前例や慣例にこだわり何かというと「前例がない」ことを理由に会議をこう着状態に引き戻す。
そのくせ「悩みがあったらいつでも相談にきなさい」と言って若者を邪道に引き込む。
「近頃の若者のマナーはなっていない」といいながら、公共の場所でスマホの呼び出し音を鳴らし、 自分のやらかしたヘマは笑ってごまかす。 具体的な示唆はなく、態度が悪いとか誠意が感じられないとか、返答に窮する発言で相手を窮地に追い込み自分が優越感に浸る。 そのくせ相手によってころころ態度を変える。 周囲にイエスマンだけを集めて、さも全体の総意であるかのように話す。
「こんな商品売っていいと思っているの?上司を呼びなさい」と些細なことを大きく荒立てる理不尽なクレーマー。 自分の意見が不利になるのを見てとると「そんなこと言ってどうなるかわかってるの?」と無闇に不安を煽り立て、「おぼえておきなさい」と捨てゼリフを吐いて逃げていく。
子供が泣くのは当たり前なのに、「近頃の母親は子どももしつけもできないの?」と子育てママを追い詰める意地悪。何かと人のせいにして悪者探しに終始する。 手ごろな敵役が見つからず、責任転嫁できないときは、「世の中が悪い」などとまったく生産性の無いぼやきを連発して周囲をげんなりさせる。
「それには大きな問題がある」と問題点の指摘だけして人生を後ろ向きに猛ダッシュさせる。
肩書きが大好きで目上の人間にはへつらうのに、目下に対しては常に上から目線。
後出しじゃんけんが大好き。
そして何かにつけて、権威を持ち出す虎の威を借る狐。
下記のキャラクタークラスから選んでください。自分でオリジナルのキャラクタークラス(ゲーム内の役割)を作ってもかまいません。 物語世界での名前(カタカナ)をつけてください。
フランチャイズコンビニの店長。地域の情勢に詳しい。 人手不足でほとんど休む暇がない。理不尽なクレームは日常茶飯事。少しでもこのブラックな環境が改善されることを願っている。
世間知らずだが、専門分野だけは豊富な知識がある。任期付きの研究者をやっているが、任期が終われば高学歴ニート になることが必至。上が期待する研究結果を出すよう強要され、その雰囲気に嫌気がさし、研究者以外の道を模索している。
いずれ地元の神社を継ぐことになっているが、親にわがままを言って学生時代だけの唯一の自由を謳歌している。ほんとうに親の跡を継ぐだけでいいのか、将来に漠然とした不安を抱えていて、本当の自分を見つめなおしたいと思っている。
東京の大学に通学していたが、在学中に零細企業を経営していた親が急逝。 大学を退学してヤマグァタに帰郷。従業員のために親の跡を継ぐことを決意。 零細企業ながらも、顧客のニーズに応えて堅実に売り上げを伸ばしている。 従業員の生活を預かる責任感からいつも新規事業について考えている。
フリーターで食いつなぎながら、アーティストを目指してがんばっている。食える仕事ならなんでもやる。土木から新聞配達まで経験豊富。自然豊富なヤマグァタはクリエーターにとって宝の山。生きることに直結する生活が与える心の豊かさをよく知っている。
駅の改札で電子マネーが使えないことに驚き、コンビニでラインペイが使えないことに驚き、タクシーの運転手が英語が話せないことに驚いている。 日本人より日本語が流暢で、日本人より日本の文化について造詣が深い。日本人に本来の日本の良さを思い出して欲しいと願っている。
ハルノリとヨシコの地元での幸せな結婚。老害の浄化。ヤマグァタ県の公共交通機関のキャッシュレス化。トーキョーオリンピックの活用。それを実現するための条例の制定。
ハルノリは、ヤマグァタに生まれ育った。 少子高齢化が進む地域に少しでも貢献できればと思い、介護職についた。 実際にはそんなきれいごとではなかった。
「怒れるジジィのケツ拭いてはや三年。給料があがんねぇし、もうやってらんねぇ」
ハルノリは、職場から取るように言われた資格の本を放り出し、頭の後ろに手を組んで硬くて冷たいアパートの床の上に寝転がった。 ハルノリは、学生時代から住んでいる狭いアパートから引越しもできずにいた。 寒いのにファンヒーターは使えない。建物が傷むからと大家さんが禁止しているからだ。 備え付けのエアコンは電気代が嵩むわりには暖房の効きが悪い。
転職しようにも、地域では待遇が悪く、きつい仕事が多い。人を呼び込む魅力的な商業施設も少ない。 その上、交通の便も悪く、車なしでは通勤できない。
ハルノリは、いきつけの喫茶店の窓際の席に座り、ぼんやり空を仰いでいた。
「日は暮れるし、腹は減るし、雪は降るし、その上もうどこへ行っても、転職先もなさそうだし――こんな思いするぐらいなら、いっそヨシコとの結婚を諦めて故郷を見捨ててしまった方がましかも知れない」
ハルノリはひとりさっきから、こんな取りとめもないことを思い巡らしていた。
そんなハルノリに、気さくに声をかけてきた若者たちがいた。
若者たちはトーキョーオリンピックでやってくるわくわくしそうな何かを期待していた。
ハルノリは、その若者たちと打ち解けていろいろ話をしているうちに、自分でも何かできることがあるような気がしてきた。
そんなとき、後ろの席から一人の年配の男が立ち上がって近づいてきた。 男の名はチサカと言った。
ヨシコは看護学校の実習を終え、スナックに出かけるため入念に化粧を始めた。
「いまごろハルノリは、カップラーメンでも食べているのかしら」
たまには彼のアパートに行って何か作ってあげたいと思っても、ヨシコにはその時間がとれなかった。
ヨシコは未成年だ。学費を稼ぐために母の知り合いのつてでスナックで働いているものの、まだ飲酒できない。
「二十歳になってお酒が飲めたら、もっと稼げるのになあ」
そんなことを思いながら、乱痴気騒ぎをする酔客の相手を終えて、スナックから帰宅する前にコンビニに立ち寄った。
「帰ったら国家試験の勉強しなきゃ」
とチルドの棚からおにぎりを買い、レジで温めてもらうと、イートインに腰掛けて、それをほおばった。
「お疲れさん!」
と背中から聞き覚えのある声がした。振り返るとハルノリとその仲間たちが立っていた。
ヨシコは、コンビニのイートインでハルノリの仲間たちと話をしているうちに、やはりこの故郷で子どもを産み育てたいと強く願うようになった。
突然コンビニの入り口のチャイムが鳴って、中年の男が入ってきた。男はセルフレジで弁当の会計を済ませるとイートインにやってきた。そしてシキベと言うその男は頼みもしないのに講釈をしはじめた。
なぜ老害は話が長いのだろう。そんなことはどうでもいい。 ただハルノリは地方を知るには、都会を知らねばならないということに気がついた。
ハルノリはトーキョーに来た。 地方と都会の違いを自分の目で確かめるためだ。 何とか仕事を休んで、旅費を捻出して夜行バスでやってきた。
ハルノリはトーキョーがつくづく結婚や子育てに不向きなまちだということを実感していた。 トーキョーの未婚率の高さ、出生率の低さが、全国トップレベルなのがその証拠だ。 高い家賃と生活費。 ハルノリはドーナツ化現象を目の当たりにした。
もし、ハルノリがヨシコと結婚してヤマグァタを出て新生活を営むとするなら、やはりトーキョーの中心街ではなくトーキョーの郊外を選ぶだろう。トーキョーに通勤できて、生活の基盤はトーキョーの周辺。 その際もポイントになるのが、通勤のための交通手段だ。
ハルノリは、トーキョーの外食チェーン店に入った。そこで、ヤマグァタで知り合った仲間と落ち合うことになっていた。 目につくトーキョー駅の周辺のレストランはメニューの値段はヤマグァタより高かった。 歩き回って見つけた外食チェーン店の値段も高く感じた。
それでも食事を運んでくる従業員は、ほとんど外国人だった。 大量の人口流入により、求人倍率は低下し、より安い労働力を求めた結果、外国人従業員に頼らざる得ないのだ。 そういえば、コンビニの従業員も外国人ばかりだった。
ヤマグァタで知り合った仲間たちが集まり始めた。 それぞれメニューから品物を選んでオーダーしはじめたので、 ハルノリも餃子定食をオーダーした。
「ゴユックリ、ドーゾー」
と舌足らずな日本語で外国人従業員が食事を運んできた。
ハルノリは、あつあつの餃子をほおばりながら、毎日片道三時間かけて通勤する自分の姿を思った。もしヨシコがこちらで子供を産んだら、託児所に送り迎えする時間と通勤時間を併せ考えると、ヨシコが仕事を続けることは難しいだろう。 そもそも少子化なのに保育園が足らない。保育士がブラック職業だからだ。
「待てよ。毎日片道三時間かけて通勤なら、ヤマグァタから新幹線で通勤しても大して変わらないではないか」
ヤマグァタの方が生活コストが安いし、 これからネットを活用した在宅勤務などが増えることを考えると、ヤマグァタをトーキョー通勤圏と捉えることは、そんなに非現実的ではないと気がついた。
ハルノリはヨシコの病弱な母のことを思い出した。やはり地元でヨシコと結婚して、地元を元気にすることを考えた方がいいのかもしれない。
そんなことを思いながら、ヤマグァタで知り合った仲間たちと話していたら、 スダと言うその男が話に割り込んできた。
2020年には、トーキョーで夏のオリンピック・パラリンピックが開かれる。 世界からたくさんの来訪客があるだろう。 地方がそのビッグイベンドを活用するはどうしたらいいのだろうか。
ハルノリは、トーキョー駅周辺のアンテナショップを歩いた。 日本全国の地域からさまざまなグルメや観光案内があった。
アンテナショップを歩きながら、ハルノリは気がついた。 地域に行くのは客の求める「何か」があるからで、地域の名前ではないということ。 そして客の求める「何か」を、その客に伝えるのは地域の責任だということ。
ハルノリは多くの地域のアンテナショップを見ることで、地域の課題は自分たちだけの地域の課題ではないことを再認識した。 自分たちだけの地域さえ良ければいい、というひとりよがりな考えは捨てねばならない、と思った。
いっしょにアンテナショップを見ていた男が横やりを入れた。セイノという名前だった。自分の地域の特産品を自慢気に話し、ほかの地域の特産品などどうでもいいという体であった。
ハルノリはヤマグァタへのチケットを買った。 それまで、電車もバスもゆりかもめもSUICAで決済していたので、急に不便な世界に引き戻された気がした。
ヤマグァタでSUICAが使えるのは、新幹線のみ。在来線はその都度チケットを買わなければならない。 バスもタクシーもほとんど現金。やっと一部のタクシーでペイペイの対応が始まったばかりだ。 それどころか、クレジットカードを使うときは専用車両を回すので予め連絡して欲しいというタクシーもある。 これでは折角トーキョーから二時間余りで来ることができても、駅で立ち往生してしまう。 LINEペイなどが使えるコンビニも少ない。 店舗が使える環境にあったとしても、従業員が使ったことがないため、かえって決済に戸惑うこともしばしばだ。
もし、キャッシュレスの交通インフラが整って、自宅からトーキョーの勤務先までストレスフリーの三時間で行けたらどんなにいいか。もちろん駅から駅ではなく、自宅から勤務先までストレスフリーの交通インフラだ。暮らしやすいヤマグァタと仕事があるトーキョーをつなぐことができる。ヤマグァタ-トーキョー通勤圏構想が現実のものとなる。
そこへ イモカワが現れた。
新幹線でヤマグァタに帰り、駅でなかなかやってこないバスを待ちながらハルノリはこう考えた。
「やはり、まずは自宅から駅へのキャッシュレスの交通インフラを何とかしたい」
自分たちだけの目先の利益を考えると全体が破綻する。 自家用車が便利だからと言って、バスの利用しなければバスの本数を減らさざるを得ない。 バスの本数が減ればバスは益々不便になる。 いずれ自分たちが自動車免許を返納するときになって、バスがなくて困るのは自分たちだ。 全体の破綻はこうして訪れる。
自分たちだけの目先の利益を考えると全体が破綻する。 かといって自分が犠牲になるのはいやだ。 この構図を打破するには、ルール作りが必要だ。 バスの本数が増えて収益が増えるルール作り。 皆が幸せになるルール作り。
ハルノリは、自宅に帰る前に、図書館で仲間たちに都会からUターンして議員秘書になったタケマタを紹介することにした。 タケマタはハルノリの幼馴染で大親友だ。
「それが国会で定める法律であり、地方自治体で定める条例なんだ」
タケマタはルールについて口角に泡をため唾を飛ばしながら熱く語った。
「条例のあの長ったらしい文章は、俺がなんとかする。まずは、魅力的で皆が幸せになるにはどんなルールがあればいいか、それを自由に言ってくれ」
一同に会したヤマグァタの仲間たちからは、魅力的で具体的かつ建設的な条例案が次々と提案された。 理想を目指すという目的の前では、地方も都会もなく、年齢も関係なかった。 老若男女全てに平等だった。
そこへ ヒラバヤシという男が現れた。図書館なのにやたら大きな声で話しかけてきた。
新たな条例を議会にかけるには、有権者(住民ら)の50分の1以上の署名を知事に提出するか、議会の議員で条例制定を要求するかしかない。
ハルノリは仲間といっしょに有権者の署名を集め始めた。 タケマタからたとえ議員から要求を出したところで、地域全体の理解と協力が得られなければ無意味であると諭されたからだ。 新たな条例を説明するのは骨が折れた。 ハルノリは町内会や商店街を足を棒にして歩き回った。
尋ねた町内会の会長のナガオというのが現れた。また老害かよ。ハルノリはもううんざりだった。ナガオは、最初から問題があったの、このやり方がまずいの、とすでにやっていることについても執拗に批判してきた。でもここまで来て引き下がるわけにはいかない。仲間たちがまた老害の説得に入った。
ハルノリたちの努力は実り有権者(住民ら)の50分の1以上の署名が集まった。 そして、ハルノリたちの条例案はヤマグァタ県知事に提出された。そしてついにヤマグァタ県定例議会の日を迎えた。
議員の過半数で可決されれば、条例が制定される。 果たしてハルノリたちの条例案は可決されるのか? 議会の様子はわからないが、結果が出次第タケマタが連絡してくれることになっている。 ハルノリとヨシコは、固唾を呑んでタケマタからの連絡を待っている。
そして、ハルノリのスマホの着信音が鳴った。
「 GMがタケマタになって条例案の可否を伝えてください 」
「 PCが全員でリアクションしてください。 」
あれから、数年がたった。 ハルノリは、地元ヤマグァタでヨシコと結婚して二人の子どもに恵まれていた。 子どもがかけよってきた。 ハルノリは、この子どもたちの幸せそうな顔を見るたびに思い出す。 あのとき、ハルノリに知恵と勇気と希望を与えてくれた、地域の仲間たちのことを。 学んだことを、地域の人々の幸せに役立てた彼らのことを。 ハルノリは、今も同じこの地で暮らしている彼らを思って微笑んだ。 そして、かつての仲間たちに向かってつぶやいた。
「 GMがハルノリのかっこいいセリフで物語をしめくくってください。 」
上記は、すべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。 万一、実在の人物・団体に心当たりがあったとしても、あくまでフィクションとして温かく寛大な心をもってお楽しみいただければありがたく存じます。