大学院に進学したばかりの松木健三は、ヒーターを載せる台ができたことに満足していた。薄緑色の4段で、キャスターつきの台だった。
(これでポテンショスタットを作れる)
と松木健三はほくそ笑んだ。
でもこのヒーターは、教室ではなく、真空管のカソードを暖めた。
真空管はカソードから熱電子を放出するため、ヒーターが必要だった。
電気化学の実験のためのポテンショスタットでは、増幅器を使った帰還回路を構成しなければならない。そのためにはいくつもの真空管が要る。そしてそれらを温めるためのヒーターも。
かなり大掛かりな装置になる。それらの装置を載せるための頑丈な台が、出来上がったのだ。
2000年 松木先生退官1)
この説明文は、故松木健三先生の口頭伝承により構成したものです。確認しようもないので、事実と異なるかもしれませんが、温かく寛大な心をもってお楽しみいただければありがたく存じます。
卒業研究(C1-電気化学2004〜):2000年 松木先生退官. https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/@Lecture.asp?nLectureID=3011. (参照2000-03-17).