TRPG 風味の ブレーンストーミング
準備
午前の部
午前の部
基本的なルールは下記にありますが、 ゲームマスターによるルールの改変・追加は自由です。 テーブルを盛り上げ、楽しくプレイすることを目標にしてください。
ダイスロール 1D10またはゲームマスターの指名で、自分が演じるキャラクターを設定します。 ステータスはPCもNPCも0~100の数値のみ。能力値など細かな設定はありません。GMの判断で細かな設定を追加するのはありです。 紙に下記のようなキャラクターシートを作ります。ゲームマスターはNPCのキャラクターシートを作って下さい。
キャラクターシートの例
名前 | プロフィール |
ハルノリ | 主人公です。 |
ラウンド | ステータス | 特記事項 |
1 | 60 | |
2 | 62 | |
3 | 49 | チサカに論破される |
タイムキーパーをやってください。 発言から行動判定まで一人当たりの一回のラウンドが3分を超えないように調整してください。 必要応じて物語世界の中断、再開の宣言をしてください。 物語世界でのプレイ中のメタ発言は禁止。 特に老害がメタ発言をした場合は、即刻老害の負けを宣言してください。
GMはNPCの操作をしてください。
現実世界と区別するため、物語世界の人名、地名などの固有名詞は、カタカナで表現してください。
テーブルを上(天井)から見て時計回り順。原則、飛ばしはなし。GMが敏捷度を設定したり、それに基づく行動順を決めてもかまいません。
1ラウンドでは最低全員が行動する。1ラウンド内で1つの行動が行えます。 制限時間内では何ラウンド行ってもかまいません。
プレイヤーキャラクターがハルノリに対して提案したことについて老害が反対します。 ディベートの勝敗判定はダイスロール1D100を使って判定します。 下位桁が上位桁を上回れば、プレイヤーキャラクターの勝ちです。プレイヤーキャラクターとハルノリのステータスに下位桁を加算します。 負けた場合、プレイヤーキャラクターとハルノリのステータスから上位桁を減算します。
基本的に武力の行使は禁止。 特に登場人物を殺戮したり、あるいはそれをそそのかす発言。
地域の課題に直面し、将来に不安を抱えるハルノリに、出会いが訪れる。 彼らは2020年夏の 東京オリンピック へ向けて前向きに取り組んでいた。 ハルノリは、最初乗り気でなかったものの、無邪気に夢を語る彼らに背中を押され新しい取り組みへの一歩を踏み出す。 公共交通や商店街に山積する課題を、学んだ成果を活用して切り抜け、局面ごとにでしゃばる老害を論破し、ついにハルノリは地域の仲間とともに新しい条例の提案にこぎつける。そしてハルノリはヨシコとともに幸せな生活を手に入れる。
ダイスロール 1D10で相手を選ぶ
山形で生まれ育つ。タクシー運転手を経て、介護士に。 恋人のヨシコとの結婚も考えているが、将来に不安を抱え戸惑っている。 結婚を諦め、地元を離れ、都会に転職しようか迷っている。
両親は幼い頃に離婚。病弱の母を抱えて、看護士を目指して看護学校に通っている。 学費を捻出するため、夜はスナックで酔客の相手をして稼いでいる。 ハルノリをメンタル面でサポート。 ヨシコに伝えれば、ハルノリの背中を押してくれる。
情熱溢れる新進気鋭の議員秘書。時に強権を発動しすぎて、反感を買うこともある。 ハルノリを資金や政策でサポート。 タケマタに提案すれば、議員を通して議会を動かし、予算承認も可能。
老害とは人生の或る期間を言うのではなく、心の様相を言うのだ。
才能をうらやむ嫉妬心、上にへつらい下を見くだす態度、
冷め切った無関心、過去に拘る依存心、
現実を受け入れず既得権益にしがみつく怠惰心、こう言う様相を老害と言うのだ。
年を重ねただけで人は老いない。若くても理想を見失えば心が老害に冒される。
古い価値観にのみ生きているため、現代社会が抱える問題に気づけない。 問題解決の具体的提案の協力を仰ごうとしても「わからない」と拒否し、「自分たちでよく考えなさい」と丸投げし、「私たちはいずれ退職するから」と責任逃避する。
根拠のない屁理屈を高尚な自説とカンチガイし、それを押し付ける時間だけ、若者の労働時間を奪う。 しかも頼んでいないのに「君たちのために言ってるんだ」と恩着せがましく、正直に遠慮しようとすると怒る。
「昔はこうだった」と話すばかりでこれからどうするかを提案せず時間つぶしする。
前例や慣例にこだわり何かというと「前例がない」ことを理由に会議をこう着状態に引き戻す。
そのくせ「悩みがあったらいつでも相談にきなさい」と言って若者を邪道に引き込む。
「近頃の若者のマナーはなっていない」といいながら、公共の場所でスマホの呼び出し音を鳴らし、 自分のやらかしたヘマは笑ってごまかす。 具体的な示唆はなく、態度が悪いとか誠意が感じられないとか、返答に窮する発言で相手を窮地に追い込み自分が優越感に浸る。 そのくせ相手によってころころ態度を変える。 周囲にイエスマンだけを集めて、さも全体の総意であるかのように話す。
「こんな商品売っていいと思っているの?上司を呼びなさい」と些細なことを大きく荒立てる理不尽なクレーマー。 自分の意見が不利になるのを見てとると「そんなこと言ってどうなるかわかってるの?」と無闇に不安を煽り立て、「おぼえておきなさい」と捨てゼリフを吐いて逃げていく。
子供が泣くのは当たり前なのに、「近頃の母親は子どももしつけもできないの?」と子育てママを追い詰める意地悪。何かと人のせいにして悪者探しに終始する。 手ごろな敵役が見つからず、責任転嫁できないときは、「世の中が悪い」などとまったく生産性の無いぼやきを連発して周囲をげんなりさせる。
「それには大きな問題がある」と問題点の指摘だけして人生を後ろ向きに猛ダッシュさせる。
肩書きが大好きで目上の人間にはへつらうのに、目下に対しては常に上から目線。
後出しじゃんけんが大好き。
そして何かにつけて、権威を持ち出す虎の威を借る狐。
下記のキャラクタークラスから選んでください。自分でオリジナルのキャラクタークラス(ゲーム内の役割)を作ってもかまいません。 物語世界での名前(カタカナ)をつけてください。
フランチャイズコンビニの店長。地域の情勢に詳しい。 人手不足でほとんど休む暇がない。理不尽なクレームは日常茶飯事。少しでもこのブラックな環境が改善されることを願っている。
世間知らずだが、専門分野だけは豊富な知識がある。任期付きの研究者をやっているが、任期が終われば高学歴ニート になることが必至。上が期待する結果を出すよう強要され、研究に嫌気がさし、研究者を辞めたいと思っている。
いずれ地元の寺を継ぐことになっているが、親にわがままを言って学生時代だけの唯一の自由を謳歌している。ほんとうに親の跡を継ぐだけでいいのか、将来に漠然とした不安を抱えている。
東京の大学に通学していたが、在学中に零細企業を経営していた親が急逝。 大学を退学してヤマグァタに帰郷。従業員のために親の跡を継ぐことを決意。 零細企業ながらも、顧客のニーズに応えて堅実に売り上げを伸ばしている。 従業員の生活を預かる責任感からいつも新規事業について考えている。
フリーターで食いつなぎながら、アーティストを目指してがんばっている。食える仕事ならなんでもやる。土木から新聞配達まで経験豊富。自然豊富なヤマグァタはクリエーターにとって宝の山。生きることに直結する生活が与える心の豊かさをよく知っている。
駅の改札で電子マネーが使えないことに驚き、コンビニでラインペイが使えないことに驚き、タクシーの運転手が英語が話せないことに驚いている。 日本の文化については日本人より造詣が深い。
ハルノリとヨシコの幸せな結婚・老害の浄化。公共交通機関のキャッシュレス化、マルチランゲージ化。商店街・観光地のマルチランゲージで、地方の魅力を東京オリンピック来訪者に発信する力。
ハルノリは、ヤマグァタに生まれ育った。 少子高齢化が進む地域に少しでも貢献できればと思い、介護職についた。 実際にはそんなきれいごとではなかった。
「怒れるジジィのケツ拭いてはや三年。給料があがんねぇし、もうやってらんねぇ」
ハルノリは、職場から取るように言われた資格の本を放り出し、頭の後ろに手を組んで硬くて冷たいアパートの床の上に寝転がった。 ハルノリは、学生時代から住んでいる狭いアパートから引越しもできずにいた。 寒いのにファンヒーターは使えない。建物が傷むからと大家さんが禁止しているからだ。 備え付けのエアコンは電気代が嵩むわりには暖房の効きが悪い。
転職しようにも、地域では待遇が悪く、きつい仕事が多い。人を呼び込む魅力的な商業施設も少ない。 その上、交通の便も悪く、車なしでは通勤できない。
ハルノリは、いきつけの喫茶店の窓際の席に座り、ぼんやり空を仰いでいた。
「日は暮れるし、腹は減るし、雪は降るし、その上もうどこへ行っても、転職先もなさそうだし――こんな思いするぐらいなら、いっそヨシコとの結婚を諦めて故郷を見捨ててしまった方がましかも知れない。」
ハルノリはひとりさっきから、こんな取りとめもないことを思い巡らしていた。
そんなハルノリに、気さくに声をかけてきた若者たちがいた。
ハルノリは、その若者たちと打ち解けていろいろ話をしているうちに、自分でも何かできることがあるような気がしてきた。
ヨシコは看護学校の実習を終え、スナックに出かけるため入念に化粧を始めた。
「いまごろハルノリは、カップラーメンでも食べているのかしら」
たまには彼のアパートに行って何か作ってあげたいと思っても、ヨシコにはその時間がとれなかった。
酔客の相手を終えて、スナックから帰宅する前にコンビニに立ち寄った。
「帰ったら国家試験の勉強しなきゃ」
とチルドの棚からおにぎりを買い、レジで温めてもらうと、イートインに腰掛けて、それをほおばった。
「お疲れさん!」
と背中から聞き覚えのある声がした。振り返るとハルノリとその仲間たちが立っていた。
ヨシコは、ハルノリの仲間たちと話をしているうちに、やはりこの故郷で子どもを産み育てたいと強く願うようになった。
ハルノリは東京に出てきて、そこがつくづく結婚や子育てに不向きなまちだということを実感していた。 東京の未婚率の高さ、出生率の低さが、全国トップレベルなのがその証拠だ。 高い家賃と生活費。 ハルノリはドーナツ化現象を目の当たりにした。
もし、ハルノリがヨシコと結婚してヤマグァタを出て新生活を営むとするなら、やはり東京の中心街ではなく東京の郊外を選ぶだろう。東京に通勤できて、生活の基盤は東京の周辺。 その際もポイントになるのが、通勤のための交通手段だ。
ハルノリは、東京のチェーン店に入った。そこで、ヤマグァタで知り合った仲間と落ち合うことになっていた。
舌足らずな日本語で運んでくる外国人従業員の多さを実感していた。 大量の人口流入により、求人倍率は低下し、より安い労働力を求めた結果、外国人従業員に頼らざる得ないのだ。 そういえば、コンビニの従業員も外国人ばかりだった。
ハルノリは、アンテナショップを歩いた。 日本全国の地域からさまざまなグルメや観光案内があった。
アンテナショップを歩きながら、気づかされた。 地域に行くのは客の求める「何か」があるからで、地域の名前ではないということ。 そして客の求める「何か」を、その客に伝えるのは地域の責任だということ。
自分たちだけの地域の課題ではない。 日本という国の構造を全体として
ハルノリはヤマグァタへのチケットを買った。 それまで、電車もバスもゆりかもめもSUICAで決済していたので、急に不便な世界に引き戻された気がした。
ヤマグァタでSUICAが使えるのは、新幹線のみ。在来線はその都度チケットを買わなければならない。 バスもタクシーもほとんど現金。 LINEペイなどが使えるコンビニも少ない。 店舗が使える環境にあったとしても、従業員が使ったことがないため、かえって決済に戸惑うこともしばしばだ。
自分たちだけの目先の利益を考えると全体が破綻する。 かといって自分が犠牲になるのはいやだ。 この構図を打破するには、ルール作りが必要だ。 皆が幸せになるルール作り。
「それが国会で定める法律であり、地方自治体で定める条例なんだ」
タケマタは口角に泡をため唾を飛ばしながら熱く語った。
「条例のあの長ったらしい文章は、俺がなんとかする。まずは、魅力的で皆が幸せになるにはどんなルールがあればいいか、それを言ってくれ」
新たな条例を議会にかけるには、有権者(住民ら)の50分の1以上の署名を知事に提出するか、議会の議員で条例制定を要求するかしかない。
ハルノリは仲間といっしょに有権者の署名を集め始めた。 新たな条例を説明するのは骨が折れた。
そして、今日は定例議会の日だ。
議員の過半数で可決されれば、条例が制定される。 ハルノリとヨシコは、固唾を呑んでタケマタからの連絡を待っている。
そして、ハルノリのスマホの着信音が鳴った。
あれから、数年がたった。 ハルノリは、ヨシコと結婚して二人の子どもに恵まれていた。 子どもがかけよってきた。 ハルノリは、この子どもたちの幸せそうな顔を見るたびに思い出す。 あのとき、ハルノリに___を与えてくれた、地域の仲間たちのことを。 学んだことを、地域の人々の幸せに役立てた彼らのことを。 ハルノリは、今も同じこの地で暮らしている彼らを思って微笑んだ。 そして、かつての仲間たちに向かってつぶやいた。
上記は、すべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
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