導電助剤(導電助材)は、集電体と活物質を電子的につなぐ役割を果たす。したがって集電体と導電助剤の接続、集電体から活物質までの電子導電経路の形成、活物質と導電助剤の接続のみっつについて考察する。
正極活物質は酸化剤である。正極活物質を極論すれば酸素を金属カチオンでピン止めしたようなものである。当然イオン結合である。電子は流したとしても微々たるものだ。活物質が反応するには、活物質の表面が電解液に接して反応サイトが形成されるとともに、そこへの電子の供給路を持たねばならない。電子の供給路の機能を担うのが導電材だ。導電材としては炭素材料が使われる。反応サイトは、活物質の表面に接触した導電材料の稜線だ。コンタクトラインとも呼ばれる。コンタクトラインが十分な長さを持てば、導電材料の量は少なくてよい。活物質表面に導電材料が海島構造を持ちコンタクトラインが複雑にうねっていれば、コンタクトラインの長さは大きくなる。正極スラリーの分散・塗布・乾燥による自己組織化が期待される理由がここにある。コンタクトラインの長短による違いはあれど、おおむね活物質の表面積に応じた導電材料が必要だ。