アルミニウムは不働化してバリア型の絶縁性皮膜を生成するが、電解液の自己修復機能によってその絶縁性を維持していると考えられている。諸説があるもののアルミニウムの酸化物にはアニオン空孔があり、このアニオン空孔が表面に露出している表面欠陥サイトに電解液のアニオンが吸着して見かけ上の絶縁体となっていると言われている1)。ここでいう表面欠陥サイトとは固体結晶における電子的な欠陥であって2)、花びら状などの形状欠陥とは異なる。このような表面欠陥サイトに電池活物質や炭素導電助材が接触することでオーミック接触が成立し、集電体の本来の機能が発現する。
アルミニウム集電体に接触する物質によってオーミック接触が成立するかしないかが異なる。電池の正極活物質に使われる金属酸化物は概ねオーミック接触が成立するかしない。したがってオーミック接触を成立させるのに炭素導電助材が使われる3)。炭素導電助材の歴史は古く、乾電池の発明の際には既に用いられている。
アルミニウム集電体と炭素導電助材の接触抵抗は、アルミニウム酸化皮膜の欠陥濃度、厚みなどで支配される。皮膜が存在しない金や、皮膜が電子伝導性のチタンなどは接触抵抗が小さくなるが4)、電解液分解保護が期待できない。皮膜の欠陥が少ないタンタルなどは接触抵抗が非常に大きくなる5)6)。
アルミニウムの前処理は、アルミニウム酸化皮膜に大きな影響を及ぼす。アノード酸化は皮膜の厚みを厚くして接触抵抗を増大させる。熱処理も皮膜の厚みを厚くするが接触抵抗の増大はわずかである。沸騰水処理は接触抵抗を著しく増大させる7)。
アルミニウムの拡面処理は、面積増加に対して接触抵抗低減の効果が少ない。逆にアルミニウムに突部を設けるのは若干接触抵抗を小さくする。
【寄稿】リチウムイオン二次電池8)
リチウム二次電池の内部抵抗と正極アルミニウム集電体/炭素導電助剤の接触条件の関係立花和宏,○鈴木智統,遠藤孝志,仁科辰夫,尾形健明,
2001年電気化学秋季大会講演要旨集 (
2001).
リチウムイオン二次電池のためのフーリエ解析による金、チタン、アルミニウム正極集電体/炭素導電材界面の内部抵抗比較○西川幸秀,立花和宏,仁科辰夫,遠藤孝志 ,
第49回電池討論会講演要旨集 (
2008).
電気二重層キャパシタの内部抵抗と集電体表面処理○佐藤和美,立花和宏,仁科辰夫,遠藤孝志,足高善也,Patrice Simon,尾形健明,
電気化学会第72回大会講演要旨集 (
2005).
バルブメタルの非水電解液中における不働態化と表面欠陥○立花和宏,仁科辰夫,遠藤孝志,田中良樹,木俣光正,楊立,尾形健明,
電気化学会第72回大会講演要旨集 (
2005).
リチウム二次電池正極アルミニウム集電体の腐食抑制による電池サイクル特性の向上佐藤幸裕,
第41回電池討論会講演要旨集 (
2000).
【寄稿】リチウムイオン二次電池立花和宏,
研究ノート, (
2009).
(
1) 
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電解液陰極アルミニウム電解コンデンサ(目次)永田伊佐也,
電解液陰極アルミニウム電解コンデンサ, 日本蓄電器工業株式会社, (
1997).
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2) 
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不定比性と格子欠陥齋藤安俊・齋藤一弥,
金属酸化物のノンストイキオメトリーと電気伝導, 内田老鶴圃, (
1987).
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3) 
リチウム二次電池の内部抵抗と正極アルミニウム集電体/炭素導電助剤の接触条件の関係立花和宏,○鈴木智統,遠藤孝志,仁科辰夫,尾形健明,
2001年電気化学秋季大会講演要旨集 (
2001).
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4) 
リチウムイオン二次電池のためのフーリエ解析による金、チタン、アルミニウム正極集電体/炭素導電材界面の内部抵抗比較○西川幸秀,立花和宏,仁科辰夫,遠藤孝志 ,
第49回電池討論会講演要旨集 (
2008).
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電気二重層キャパシタの内部抵抗と集電体表面処理○佐藤和美,立花和宏,仁科辰夫,遠藤孝志,足高善也,Patrice Simon,尾形健明,
電気化学会第72回大会講演要旨集 (
2005).
(
6) 
バルブメタルの非水電解液中における不働態化と表面欠陥○立花和宏,仁科辰夫,遠藤孝志,田中良樹,木俣光正,楊立,尾形健明,
電気化学会第72回大会講演要旨集 (
2005).
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リチウム二次電池正極アルミニウム集電体の腐食抑制による電池サイクル特性の向上佐藤幸裕,
第41回電池討論会講演要旨集 (
2000).
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8) 
【寄稿】リチウムイオン二次電池立花和宏,
研究ノート, (
2009).