スラリーの乾燥と電池性能

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卒業研究(C1-電気化学2004〜) の単元です。

小単元

概要

電極スラリー電極にするには塗布したのちに1)乾燥固着のプロセス経る必要があるそれに至ってはじめて電極の形状維持できるのである乾燥途中で溶媒は蒸発しそれまで分散していた粒子同士が凝集しバインダーによって結着しそして基板の上に接着されるこのプロセスは自己組織化ともいうべきプロセスであり乾燥条件も去ることながら電極スラリー配合よるところも大きい

ではどのような成分がどう影響するのだろうか?それ議論する前にスラリー乾燥途中で体何が起きているのか議論してみる

決して粉体の特性電極の特性ではないのである

般的な乾燥は材料に吸着混合溶解している水などの溶媒除去するために加熱したり減圧したりして材料含まれている液体蒸発させて気体にしたのちその気体物質輸送して除去する電極乾燥必要なことは溶媒除去すると同時に粉体粒子間の必要な電気的接触行って電気回路構成しなければならないことである

最終的には集電体導電助材活物質|電解液の電気回路構成するわけだが乾燥が終わった状態ではまだ電解液の含浸が終わっていないので集電体導電助材活物質|空隙の状態構成しなければならない集電体導電助材導電助材活物質スラリー中で液橋が維持されているうちは付着しているが液橋が破断されると付着も崩壊するので乾燥後にはバインダーによって接着状態維持しなければならない

したがって集電体導電助材は厳密には集電体バインダー導電助材なのであってバインダーが接触阻害するようなことがあってはならない

また導電助材も粉体であり粒子間の接触考えるとバインダー導電助材バインダー導電助材なのである2)

もっとも重要な活物質導電助材3)の接触はスラリー中の粒子の再凝集のもっとも初期の段階で行われる必要がある溶媒が蒸発とともに除去されて分散質濃度が次第に大きくなる中活物質安定して分散していなければならずこのことは活物質表面電荷失われることなく安定に存在してること意味する

最終的にはバインダーが炭素表面全体覆うことなく活物質導電助材結着している必要がある

乾燥が終わって溶媒が分に除去されたとしても最後の電解液の含浸の過程でそれぞれの粒子間で剥離が起こり電気的接続が失われてしまっては意味がない実際粒子間の空隙に対する電解液の含浸は必須のプロセスあって粒子間が酸素分子や水分子介して接着していたりすると電解液の含浸の過程でまさに剥離が起きてしまうつまり電解液の溶媒が水分ローリングアップして液体架橋崩壊しまうのである

スラリーキャピラリーファニキュラーペンジュラー

○柳沼雅章,…らは2009年に国立京都国際会館〒606-0001 京都市左京区宝ヶ池開催された第50回電池討論会においてリチウムイオン次電池合材スラリーin-situインピーダンス測定による乾燥プロセス解析ついて報告している4)

やぎぬまは2010年にそれまでの研究リチウムイオン電池合材スラリー最適化というテーマ修士論文してまとめ山形大学卒業した5)

ながせは2007年にそれまでの研究バインダ乾燥過程における電極表面の可視化というテーマで卒業論文としてまとめ山形大学卒業した6)

小原 大佑は2006年にそれまでの研究リチウムイオン次電池正極における炭素アルミニウム界面の接触抵抗低減させるバインダー塗布条件乾燥温度いうテーマ卒業論文してまとめ山形大学卒業した7)

○小原大佑,…らは2005年に東北大学 川内キャンパス宮城県仙台市青葉区川内開催された平成17年度 化学系学協会東北大会においてリチウムイオン次電池正極における炭素/アルミニウム界面接触抵抗低減させるバインダ塗布条件乾燥温度ついて報告している8)

○武田浩幸,…らは2009年に日本大学工学部福島県郡山市田村徳定字中河原1開催された平成21年度 化学系学協会東北大会においてリチウムイオン次電池の正極活物質集電体界面密着性について報告している9)

関連講義卒業研究-電気化学2004,合材の塗布乾燥10)


結果と考 > 考察と討 > 電極に内 > 導電助材|導電助材,電極に内在する界面
仁科 辰夫,卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2008).

結果と考 > 考察と討 > 電極に内 > 導電助材|活物質(界面),電極に内在する界面
仁科 辰夫,卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2008).

リチウムイオン二次電池合材スラリーのin-situインピーダンス測定による乾燥プロセスの解析
○柳沼雅章,立花和宏,仁科辰夫,第50回電池討論会講演要旨集 (2009).

リチウムイオン二次電池正極における炭素/アルミニウム界面の接触抵抗を低減させるバインダの塗布条件と乾燥温度
○小原大佑,立花和宏,仁科辰夫,尾形健明,平成17年度 化学系学協会東北大会講演要旨集 (2005).

リチウムイオン二次電池の正極活物質と集電体界面の密着性
○武田浩幸,柳沼雅章,渡邉貴太,仁科辰夫,立花和宏 ,平成21年度 化学系学協会東北大会講演要旨集 (2009).

実験方法 > 材料&試 > 合材 > 合材の塗布・乾燥,合材
仁科 辰夫,卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2008).

(1精密ウェットコーティングの基礎
山村方人, 表面技術,60,420(2009).
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仁科 辰夫,卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2008).
(3結果と考 > 考察と討 > 電極に内 > 導電助材|活物質(界面),電極に内在する界面
仁科 辰夫,卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2008).
(4リチウムイオン二次電池合材スラリーのin-situインピーダンス測定による乾燥プロセスの解析
○柳沼雅章,立花和宏,仁科辰夫,第50回電池討論会講演要旨集 (2009).
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(7リチウムイオン二次電池正極における炭素/アルミニウム界面の接触抵抗を低減させるバインダーの塗布条件と乾燥温度
小原 大佑, 卒業論文, (2006).
(8リチウムイオン二次電池正極における炭素/アルミニウム界面の接触抵抗を低減させるバインダの塗布条件と乾燥温度
○小原大佑,立花和宏,仁科辰夫,尾形健明,平成17年度 化学系学協会東北大会講演要旨集 (2005).
(9リチウムイオン二次電池の正極活物質と集電体界面の密着性
○武田浩幸,柳沼雅章,渡邉貴太,仁科辰夫,立花和宏 ,平成21年度 化学系学協会東北大会講演要旨集 (2009).
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参考文献書籍論文 ・URL)