020.  有機電解液中におけるアルミニウム不働態皮膜の生成


リチウムイオン二次電池の正極集電体 の単元です。

小単元

概要

不働態皮膜生成速度論
不働態皮膜生成しくみ
電池おける不働態皮膜の生成の役割
不働態皮膜キャラクタリゼーション
皮膜組成
皮膜厚み



リチウム二次電池1)では電解液有機電解液使われるためアルミニウム反応するのは溶質でありッ化物生成する反応高電場機構よって進行し緻密なバリア型の不動態皮膜生成するこのバリア皮膜絶縁性電解液電気分解から保護するが後述のように電池活物質への伝導経路も確保するため事情は複雑である

アルミニウムアジピンアンモニウムなどの水溶液中でアノード酸化したとき緻密なバリア型の不働態皮膜生成するバルブメタルして知られている3)般に水溶液中におけるアルミニウムアノード酸化次のような反応で進行しAl2O3酸化皮膜生成するこのときアルミニウム溶媒酸化物イオン供給源としている

2Al + 3H2O  Al2O3 + 6H+ +6e- (1)

このようなアルミニウムじめとするバルブメタルアノード酸化関する研究は古くからありそれらの要点は不働態皮膜中横切るイオン電流密度jと皮膜に印加される高電場eとが非線形な関係にあるということでそれに類した理論は高電場機構呼ばれているそのもっとも典型的な関係として(2)示したのがA. GunterschulzeとH. Betzであり1934年のことである4)

(2)

リチウムイオン次電池に使われる有機電解液溶媒水ではないから水溶液ちがって酸化物形成するための酸化物イオン供給源がない有機電解液中で生成した不働態皮膜分析したところッ素多く含んでいたまた表 2示すように有機電解液中でのアルミニウム不働態化水溶液中同様に高電場機構従っていたがそれらの速度論的パラメータ水溶液中の値とは大きく異なっていたこれらのこと考慮するとアルミニウムLiBF4LiPF6(C2H5)4NBF4などのッ素系アニオンからなる電解質含む有機電解中で次のような反応より不働態化が進行し耐食性与えられると考えられる

Al + 3BF4-  AlF3 +3BF3 + 3e- (3)
Al + 3PF6-  AlF3 +3PF5 + 3e- (4)


リチウムイオン二次電池,電池
仁科 辰夫, 卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2006).

(1リチウムイオン二次電池,電池
仁科 辰夫, 卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2006).

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