界面とバルク
卒業研究(C1-電気化学2004〜)
の単元です。
小単元
概要
のように電流は界面とバルクを通過する。バルクを頂点にした場合と、界面を頂点にした場合のグラフを図 7に示す。それぞれのグラフは双対グラフの関係にある。バルクを頂点にした場合は辺の界面抵抗[Ωm2]が重みとなるラベルつきグラフに相当し、界面を頂点にした場合は辺の比抵抗[Ωm]が重みとなるラベルつきグラフに相当する3)。それぞれの頂点ではキルヒホフの法則(第1法則)が成立する。図 7からわかるようにバルクを頂点にした場合の方がよりクリティカルであり、実際、活物質に対する導電助材の混合量を減らしてゆくとパーコレーション挙動を示す6)。したがってバルクの物性を表す比抵抗[Ωm]などの物性値より、界面の特性を示す界面抵抗[Ωm2]などの特性値が支配的であると考えられる。
界面の特性を示す特性値として、界面電位差E [V]のほか、界面抵抗[Ωm2]、電気二重層容量[F m-2]などがある。また界面の寸法を示す数値として接触面積[m2]などがある。界面を電流が横切ると界面電位差E [V] は平衡電極電位E0 [V]よりずれる。この差は電圧η[V]と呼ばれ、電流密度[Am-2]に対して指数的に増大する7)。界面抵抗[Ωm2]は過電圧η[V]の電流密度[Am-2]に対する近似的な比例係数である。界面での相間の剥離や結着材などの被覆でみかけの界面面積[m2]より接触面積[m2]が小さくなることがある。その結果、みかけの電流密度[Am-2]に対して局所的な電流密度[Am-2]は大きくなり結果として抵抗が増加したように観察される。このような抵抗を集中抵抗と呼ぶ5)。
集電体は板であり、活物質も導電助材も粉体であり、電解液は液体である。したがってそれぞれ粉体|固体界面、粉体|粉体界面、粉体|液体界面となる。粉体|液体界面では電解質や結着材が競争吸着しており、粉体表面の特性を変化させていると考えられる8)。結着材のような高分子では分子内の吸着点の数が粉体表面の被覆率に大きく関与すると考えられ、界面に沿って起きる二次元伝導にも大きく影響すると思われる。