集電体不働態皮膜/炭素導電助剤界面と電極の内部抵抗の関係


リチウムイオン二次電池の正極集電体 の単元です。

小単元

概要

サイクル特性の劣化には種類あるひとつの劣化はみかけの内部抵抗が大きくなる劣化であるこれは電流経路に対する直列等価抵抗が増大するように見えるこの場合は電流特性が悪くなり過電圧が大きくなるため充電電圧の上限や放電電圧の下限にすぐに達してしまうため充放電可能な容量も小さくなってしまうもうひとつの劣化はみかけの容量が減る劣化であるこれは等価並列容量が減少するように見える直列等価抵抗主な要因としてはアルミニウム集電体合剤接触抵抗1)電解液バルク溶液抵抗考えられる従って等価直列抵抗の増大の原因はアルミニウム集電体と合材の剥離などが考えられるまた等価並列容量の主な要因は活物質の容量が考えられる従って等価並列容量の減少の原因は有効な活物質量の減少すなわち活物質と導電助材の剥離などが考えられる実際サイクル特性劣化した電極再び混練圧着することで容量の復活が見られることがある
このように集電体と合材の接触抵抗は直列等価抵抗となり密着性が悪く剥離したりすると電流特性およびサイクル特性劣化つながるしたがって集電体と合材の密着性向上させることは電池性能向上させる上で重要である集電体合材密着あげるには集電体の表面処理合材混合する結着材の種類や混合比合材集電体への塗布や乾燥プレスなどの条件最適化する必要がある接触抵抗低減する効果だけ考慮すると集電体の表面の不働態皮膜は存在しない方が良いのであるがその不働態皮膜は前述のとおり集電体腐食から保護すると同時に電解液の酸化分解抑制する機能併せ持っている上真空中塗工しないかぎり必ず存在する密着向上させるために意図的にポーラスな皮膜生成行って合材とのアンカー効果期待することも可能であるが接触抵抗低減という視点では逆効果になるので設計には最適点見出す必要があるまたこの不働態皮膜は結着材に対しての接着効果減衰させてしまうため結着材も工夫が凝らされている結着材PVDFNMP溶解したものが多く使われているが接着効果高めるためにPVDFに様々な化学修飾が施されているようだがその詳細はメーカーノウハウどまっているまた結着材中の水分は乾燥時に集電体の皮膜生成にかかわるため電池性能に影響及ぼすがこの点についての研究は少ない結着材は集電体炭素導電助材電池活物資結着させるものであるがそれぞれの表面物性はまったく異なるためそれぞれに対する接着性もまったく異なるものと考えられるまたPVDFのような結着材は電子伝導性がないので混合比が多すぎると活物質炭素導電助材集電体炭素導電助材間に必要以上に入りすぎて電子伝導性阻害してしまう恐れがある

ゆきひで2)

(1R接触抵抗オーム平方メートル, (物理量).
(2電気二重層キャパシタ集電体における表面接触抵抗の極性と非直線性
西川 幸秀, 修士論文, (2009).

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