無機工業化学

無機工業化学

工業化学は、資源変換による基礎素材の製造およびそれらに付加価値を与えた工業化学製品の製造を含む化学工業である。また,エネルギー資源の変換化学も工業化学の範疇に入れられている。無機工業化学として分類されているのは、酸・アルカリ工業、無機薬品製造、金属工業、セラミックス、電気化学工業などである。多様な最終製品の生産には、無機工業化学であっても、有機化学反応が応用されていることが多くある。そのため、本講義では工業化学全般を解説しているテキストを採用し、有機化学工業との関連を理解できるようにする。 本講義では,化学工業の基幹原料の製造および無機工業薬品やファインセラミックス製造の基礎原料となる金属工業や電気化学工業を中心として解説する。また材料、素材、素形材、部材、部品、製品の流れをエネルギー、資源、環境の視点から追いながら、工業化学全体を見通し、無機化学、物理化学などの応用分野を俯瞰する。無機化学に関連した科目を基礎として化学の応用力や工業化学的センスを身につけ、自分にあった社会貢献できる技術者の姿勢を見出すことをねらいとする。


1. 工業の歴史

工業化学は産業革命に始まり、日本の産業革命は明治期に始まった。

  1. 野村正勝・鈴鹿輝男, 最新工業化学―持続的社会に向けて― , 講談社サイエンティフィク , p.1 (2004).
  2. 中村 収三 編著, 技術者による実践的工学倫理第2版 , p.137 (2013).

2. 酸・アルカリ、火薬、肥料

アンモニアは、鉄触媒を使って窒素と水素を直接反応させて製造します(ハーバー・ボッシュ法)。 水素と空気を混ぜたって何も起こらないだろうとおもいきや高温・高圧の釜に放り込む発想がすごい。 しかもちょこっと錆びた鉄の釜を使って反応効率が向上するところを発見するなんざ、ハーバーもボッシュもはんぱないアブナイおっさんではないでしょうか。


3. 電気化学工業

水酸化ナトリウムはアノードに炭素、カソードに鉄を使って塩化ナトリウム溶液を電気分解することで製造します(イオン交換膜法)。 混ぜたり、煮たり、焼いたりという化学の世界に電気を流すという発想がすごい。 思い切り水をはじくポリテトラフルオロエチレンに手を加えてイオン交換膜に仕上げる技術もすばらしかった。 ポリテトラフルオロエチレンはフライパンの焦げ付き防止に使われています。 導電率計は塩分取り過ぎないように塩分のチェックに使われています。





4. 鉄鋼

金も銅も1000度くらいで溶けるのに、鉄ときたらそう簡単には溶けない。 炭素を溶解させてモル凝固点降下を使って融点を下げるヒッタイトの知恵。 近代製鉄は産業革命後の歴史にも大きく影響を与えた。 鉄と石炭。 現代のコークス炉は廃プラスチックの処理にも一役買っていてさながら石油コンビナートのようだ。 海外の生産量が増す中、日本の製鉄の将来はいかに?

4.1 鉄鋼

人名
三鬼隆
大島高任

4.2 材料としての鉄と合金

元素としての鉄と材料としての鉄は違う。 例えていうなら、水を凍らせるとき、ちょっと混ぜ物をするだけでシャーベットになったりソフトクリームになったりするようなものだ。 ものすごい強度を持つスチール材料はどこに使われているか? はたまた磁力を持つという鉄の特性はどんな風に応用されるか? 錆びるという鉄の宿命を大きく変えたステンレスとはどんな材料か?

4.3 近代製鉄と石炭

応力 融点 石炭

4.4 コークス炉とリサイクル

  1. 野村正勝・鈴鹿輝男, 最新工業化学―持続的社会に向けて― , 講談社サイエンティフィク , p.70 (2004).
  2. 小沢昭弥, 現代の電気化学,新星社, p.105 (1990).
  3. 松林光男、渡辺弘, イラスト図解工場のしくみ , 日本実業出版社 , p.23 (2004).

5. 非鉄金属

狭義の非鉄金属(銅・鉛・亜鉛・スズ)

耐食性に優れ、電気伝導度が大きい銅は古くから製造されてきました。

軽金属(アルミニウム・マグネシウム・チタン)

密度が小さく電気伝導度が大きいアルミニウムは電線や航空機に使われますが、製造には多量の電気を使います。

貴金属(金・銀・白金)

都市鉱山から回収できるか?

レアメタル


6. 窯業

セラミックス



ガラス

セメント


7. 原料から製品へ

サプライチェーン


8. エネルギープラント

発電

送電・変電・配電


9. パルプ、紙、繊維

衣服・染色


10. 自動車、自動車部品

自動車

自動車

めっき


11. 情報とメディア、家電


12. 半導体とフォトリソグラフィー

印刷技術

活版(フレキソ)・凹版(グラビア)・平版(オフセット)・孔版(スクリーン)・インクジェット

エッチング


13. 食品とバイオ


14. 環境、持続可能な社会に向けて