評価用電気二重層キャパシターにおけるバインダーとしてのCMCについて
山形大学 工学部 物質化学工学科 3年 黒澤大輝
実験目的
各種CMC(カルボキシメチルセルロース)について塗布性を評価するとともに、電気化学的測定を行い、
電気性能を劣化させないCMCを増粘剤とする理想のスラリー設計を模索する。
電池式
Al|CMC1190,CNT,SBR|5wt%AA|SuS
Al|CMC2200,CNT,SBR|5wt%AA|SuS
実験方法
CNT,SBR,CMCを混ぜて作成したスラリーをアルミニウム箔に塗布し、正電極を作成した。
その後、二つの正電極のCV測定を行った。
○スラリーの調整
CMC2200、CMC1190をそれぞれ0.007g、0.005g量りとり、それぞれに水10滴、CNT、SBRを加えて撹拌した。
このとき CMC1190よりもCMC2200の方が粘度が高いことがわかった。
○正電極の作成
作成したスラリーを二つのアルミニウム箔にそれぞれ塗布した。
CMC1190を塗布したとき、塗りやすくむらが出来づらかった。
CMC2200を塗布したとき、塗りづらくむらが出来やすかった。
○CV測定
まず、0.3MのAAaqを調整した。その後上記の電池式になるよう二重層キャパシターを作成し、CVを測定した。
・CMC1190
キャパシタの容量はカソード側の最小値51.0mV、−135μA、アノード側の最大値996mV、134μAであった。
・CMC2200
キャパシタの容量はカソード側の最小値46.1mV、−156μA、アノード側の最大値231mV、954μAであった。
結果
測定値から求めた各CMCの静電容量とCNT塗布量の関係を以下に示す。
この結果から、単純に見ればCMC2200の方がCNT塗布量当たりの静電容量が高いことが分かるのでCMC2200の方がバインダーとして
性能が高いと考えられる。しかし、CMC2200を用いた電極から実験中気泡が発生が確認された。この場合、気泡がアノード酸化反応を
阻害している可能性が高いと推測できる。また、もしバッテリー等でCMC2200を使用した場合、気泡が発生することにより内部に気体が溜まり
爆発する恐れがある。もう一つ、スラリー調整をする際にCMC2200は水を加えて撹拌するとき非常に混ざりにくかった。
以上のことから、この二つのCMCを比較したとき、CMC1190の方がバインダーとして用いやすいと考える。
実験記録
10/6,10/20,
10/27,
11/10,11/17
,11/25
,12/1,
12/8,
12/15,
1月19日