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🌡️ 📆 令和6年4月21日

09.サイクリックボルタンメトリーと交流インピーダンス法-

山形大学  工学部  化学・バイオ工学科  🔋 C1 📛 立花和宏

🔚 エネルギー化学 Web Class syllabus 53209 📆 時間割 🕥10:30- 🕛12:00 仮想教室中示範B C1 zero zoom English korea 簡体 繁体

分極曲線とポテンショガルバノスタット

ポテンショスタットは、 参照電極に対する作用電極の電位を一定に保つ装置です。そのときの電流を測定することで分極曲線を測定します。 3極式セルでは、 作用極、対極、参照電極の電極があります。


ポテンショスタット

ポテンショスタットシミュレータ2020(工事中)

ポテンショスタット

  1 ボテンショスタットの回路図 1 )

ポテンショスタットは、定電圧電源ではありません。


ポテンショスタットの参照電極につなぐ端子を対極につなぎ、 二極式セルとして、分極曲線を測定すると、分解電圧を求めることができます。

-0.50.00.51.01.52.02.52.52.01.51.00.50.0-0.5 電圧 V /V 電流 I /A
  2 電流電圧曲線(分解電圧と過電圧)

分解電圧を調べるときは、電圧を掃引して、電流を測定します。 これを LSVリニアスイープボルタンメトリー)ということもあります。 電流電圧曲線から、溶液抵抗の傾きを外挿して、分解電圧を求めます。 理論分解電圧から分解電圧を引いて、 過電圧を求めます。 過電圧を電流密度の対数の関係をターフェルプロットと言います。

電池では、電流を掃引して、電圧を測定します。 求めた電流電圧曲線は、電池の放電の 内部抵抗 を求めるのに使われます。


  3 46
分解電圧
©K.Tachibana

平衡電位から電位をずらす(分極)すると、活性化過電圧のみの場合は、ある電位から指数関数的に電流が増加します。電流は反応速度を表します。 実際には溶液抵抗が存在するので、電流はあるところから直線的に増加するようになります。 分解電圧は、その直線を外挿して求めます。

溶液抵抗と分解電圧曲線

  4 103
🖱 電流と電圧と電気抵抗の関係
©K.Tachibana

電池から電流を取り出すと 過電圧による電圧降下が生じます。 電流に比例する電圧降下を、電池の内部抵抗と言います。

ポテンショスタットについて調べ、どのような場面で活用されるのかを書きなさい。


サイクリックボルタンメトリーと電位掃引速度

拡散支配のサイクリックボルタンメトリー

ボルタンメトリーは電位を変化させてそのときの電流を観察する測定法です。 電流は反応速度を表します。 したがってボルタンメトリーを測定するときには、 どの電位でどんな反応が起きるかをイメージすることが大切です。

サイクリックボルタンメトリーは反応の可逆性を調べる測定法です。



RC直列のサイクリックボルタンメトリー

  5 127 🖱 RC直列のサイクリックボルタンメトリー
©K.Tachibana
13 14 エネルギー変換化学特論 09 エネルギー化学 10 情報処理概論 1217

キャパシタCVシミュレーション
Potential E / V vs.Ag/AgClCurrent I / mA-1.000.001.001.00.50.0-0.5-1.0 L 467.77539341917 72.5000602858321 L 82.2248034310222 217.4999999999 L 467.775196568978 72.5000000001003 L 467.77539341917 72.5000602858321 L 82.2248034310222 217.4999999999 L 467.775196568978 72.5000000001003
  6 キャパシタCVシミュレーション
シミュレーション条件は、E0=0V, Ehigh=0.7V, Elow=-0.7V, v=10V/s, Cd=0.05mF, Rs=100Ωである。
粘土分散液の電気化学 10.情報処理概論 9.エネルギー化学
サイクリックボルタンメトリー
等価回路
コールコールプロットの例

なんとかメトリーは、測定法、なんとかグラムは、結果を表します。 「サイクリックボルタンメトリーで酸化電流を評価した。」は、用例的に正しいですが、「サイクリックボルタモグラムで酸化電流を評価した。」は用例的に誤りです。おなじように「サイクリックボルタモグラムを図に示す。」は、用例的に正しいですが、「サイクリックボルタモグラムを図に示す。」は用例的に誤りです。ちなみに、文法的にはぜんぶ正しいです。文法的に正しくて、用例的に誤りだと、言語明瞭意味不明となってしまいます。

サイクリックボルタモグラム https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/54299/Common/Chart/borutamo.asp
化学実験Ⅰ 鉄のボルタンメトリー 電気化学特論 ボルタンメトリー 抵抗のサイクリックボルタモグラム
  1 主な電気化学測定法
名称 概略 制御 測定 装置
クロノポテンショメトリー (CP 電圧電気量曲線 電池充放電曲線 過渡応答 など 電流 電圧 ( 電位 )、時刻 🚂 ガルバノスタット、データロガー
クロノアンペロメトリー 電流絞り込み曲線など 電圧 電流、時刻 🚂 ポテンショスタット 2 ) データロガー
リニアスイープボルタンメトリー (LSV) 分解電圧の測定など 電圧、掃引速度 電流 🚂 ファンクションジェネレータ、 🚂 ポテンショスタット、データロガー
サイクリックボルタンメトリー ( CV) 3 ) 電圧、掃引速度 電流 反応種の特定など
電圧電流曲線 電流 電圧 電池の内部抵抗
コンダクトメトリー 導電率 誘電率 の測定など 電圧 電流 🚂 ファンクションジェネレータ 4 ) 🚂 ポテンショスタット、データロガー
交流インピーダンス法 導電率 の測定など 電圧 周波数 電流 ファンクションジェネレータ、ポテンショスタット、データロガー、 オシロスコープ、LCRメータ * *

サイクリックボルタンメトリーについて調べ、何に応用されるのかを書きなさい。


体組成計と塩分計

水は極性があるため脂肪より電気をよく溜めます。だから電気の溜まり具合から脂肪と水分の比率が推定できます。たまっている電気を測るのに、たまっている電気を全部絞り出すより、入れ物を揺さぶって調べる方が簡単です。これが交流を印加する交流インピーダンス測定です。

インピーダンスの測定がもっとも効を奏するのは電解液の導電率測定であろう。導電率を測定する方法をコンダクトメトリーと言う。導電率計として身近な市販品として塩分計などがある。インピーダンスを測定しているという感覚は薄れているかもしれない。また体脂肪計のように誘電率を測定する方法もある。導電率や誘電率のように界面ではなくバルクをターゲットにして測定する方法をバルクメトリーと言う。

導電率計の原理について調べ、どのような場面で活用されるのかを書きなさい。


◇交流インピーダンス法

交流を印加してインピーダンスを測定する方法です。

  2 デジタルフーリエ変換(DFT)の応用の歴史
**
年代方法
1811 フーリエ変換
1957 二重積分ADC 数値計算へ
1965 FFT *1 *2
1970~ フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)
1970~X線CTスキャン
1970~FRA *
1972 デジタル録音 (13bit・47.25kHz)
1981 ビデオ用ADC (8bit,30MHz)
1995~jpeg画像 *
1995~mp3音声 *
1999 ADSL(50.5Mbps) *
1999 2004gメール(15Gbyte) *
2006~第三次AIブーム *
交流インピーダンス法
電気化学特論 交流インピーダンス法 RC並列 インピーダンス

インピーダンスの歴史

  3 インピーダンス測定の歴史
年代方法
1882 遠距離送電 *
1887 電流戦争 5 ) 6 )
1930 同軸ケーブル *
1937 スミスチャート *
1965 FFT *1 *2
1960~ロックインアンプ FRA *
1970~LCRメーター *
2030 HVDC
09 エネルギー化学 14 エネルギー変換化学 1210 🖱

インピーダンスの具体的な値

  4 インピーダンスの具体例
機器値/Ω
スピーカー入力インピーダンス 8
プリアンプ入力インピーダンス 1500 7 )
JFET入力の汎用オペアンプ 1012 8 )
マイク出力インピーダンス 150
乾電池 0.4
リチウム電池 (25.6V 24Ah (614Wh)) 30×10-3
ポテンショスタット測定下限 HZ-ProS12 9 ) 10×10-3

  5   インピーダンスに出てくる諸元
物理量 数式 備考
周期 Ts 🖱山のてっぺんからてっぺんまでの時間です。
周波数 fHz f = 1/T 周波数と振幅で交流を表現します。
角周波数 ω( オメガ ) ω=2πf
電圧 振幅Ep0 交流の大きさの表現には、振幅のほかにピークトゥピークや実効値があります ()。
電流 振幅Ip0 I= Q t
インピーダンス Z〔Ω〕 Z = R + j X *
絶対値 |Z| Z = R 2 + X 2
位相角 φ( ファイ ) tan φ=X/R
アドミタンス Y〔S〕 Y = G + j B *
インダクタンス L L= V I t
静電容量C C= Q V
電気抵抗 R R= V I インピーダンス Z の実部
抵抗率× セル定数 R= ρ d S
リアクタンス X インピーダンス Z の虚部、 X=ωL-1/ωC
コンダクタンスG アドミタンス Y の実部
サセプタンス B アドミタンス Y の虚部

コールコールプロットとボードプロット

インピーダンスは複素数なので、実部と虚部があります。 実部をリアクタンスと言い、虚部をレジスタンスと言います。 各周波数でのインピーダンスを複素平面上にプロットしたものを コールコールプロットあるいはナイキストプロットと言います。


パイソンで描いたコールコールプロット

  8 コールコールプロット(ナイキストプロット)
©K. Tachibana

python では、複素数が使えるので、短いプログラムでコールコールプロットのシミュレーションができます。

# ■■■ コールコールプロット
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
import matplotlib.patches as patches
import cmath
import math
from google.colab import files

R= 2000
C = 0.1e-6
Rs = 500

t = np.arange(start = 0, stop = 5, step = 0.05)
f = [pow(10,p) for p in t]
z = [1/(1/R+1j*2*np.pi*p*C) + Rs for p in f]
x = [ p.conjugate().real for p in z]
y = [ p.conjugate().imag for p in z]
r = [ abs(p.conjugate()) for p in z]
ph = [ cmath.phase(p.conjugate())/math.pi*180 for p in z]
#ph = [ math.atan2(p.imag, p.real) for p in z]

ax = plt.subplot2grid((2, 2), (0, 0), rowspan=2)
ax.set_aspect('equal')
ax.set_xlabel("$Z^{\prime}$ / $\Omega$")
ax.set_ylabel("$-Z^{\prime \prime}$ / $\Omega$")
plt.scatter(x, y,alpha=0)
x_min, x_max = ax.get_xlim()
y_min, y_max = ax.get_ylim()
ax.set_xlim(0, x_max)
ax.set_ylim(0, y_max)

for t in np.arange(start = 500, stop = 2000, step = 500):
  ax.add_patch(patches.Circle(xy=(0, 0), radius=t, fc='none', ec='#B0FFFF'))

for t in np.arange(start = 1, stop = 12, step = 1):
  ax.axline((0, 0), slope=math.tan(math.pi*t/24), color='#B0FFFF')

plt.plot(x, y)

ax = plt.subplot2grid((2, 2), (0, 1))
ax.set_xlabel("$f$ / Hz")
ax.set_ylabel("$|Z|$ / $\Omega$")
plt.xscale('log')
plt.plot(f, r)

ax=plt.subplot2grid((2, 2), (1, 1))
ax.set_xlabel("$f$ / Hz")
ax.set_ylabel("$\u03b8$ / deg") # \theta では表示できない
plt.xscale('log')
plt.plot(f, ph)

plt.savefig('fig_cole_cole_python.SVG');files.download("fig_cole_cole_python.SVG")
plt.savefig('fig_cole_cole_python.PNG');files.download("fig_cole_cole_python.PNG")

# ■■■ コールコールプロット
ランドルス型等価回路

電気化学での交流インピーダンス法ついて調べ、何に応用されるのかを書きなさい。

交流インピーダンス法による電池やキャパシタの評価 RC並列回路のボードプロット
✍ 平常演習

参考文献

©2024 Kazuhiro Tachibana

このマークは本説明資料に掲載している引用箇所以外の著作物について付けられたものです。

エネルギー化学
✍ 平常演習
💯 課外報告書 Web Class


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