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格子エネルギーとは
無機固体化学
の単元です。
小単元
概要
<準備1> 次のみっつの状態のうち、最も安定な状態はどれか?
@室温で、真空中にNa+イオンとCl−イオンがバラバラに浮遊している。
A室温で、塩化ナトリウム結晶ができている。
B室温で、金属ナトリウムと塩素ガスが出会おうとしている。
<準備2> 水素分子(H2)がある。これを2個の水素原子にばらばらにするために要するエネルギーを何というか?
<準備3> 2個の水素原子が反応して水素分子になるときに放出するエネルギーは、準備2のエネル
ギーより大きいかそれとも小さいか?
<準備4> 炭素が燃えたときの系全体のエンタルピー変化(僣)の符号は正か負か?
☆ 格子エネルギーとは、結晶を構成イオン(原子)にばらばらに分解するために要するエネルギーである。これが大きいほど、結晶が安定だということになる。
金属Naと塩素ガスを接触させると、激しく発熱してNaClができる。NaClはNa+とCl−イオンからで
きている。それなら、それぞれの構成イオンを作るところだけを考えると
Na → Na+ + e− 僣 = 495.4kJ/mol(吸熱)…イオン化エネルギー
Cl + e− → Cl− 僣 = -348.8kJ/mol(発熱)…電子親和力の逆過程
差し引き「吸熱」ということになってしまって、NaClが発熱的に生成しないことになってしまう。しか
し、実際にはNa+とCl−はばらばらのイオンではなく「結晶」に組み上げられる。このときに安定化の
ためのエネルギーを発熱する(格子エネルギー)。