000.  O2−イオン伝導体とその応用


無機固体化学 の単元です。

小単元

概要

 O2イオン伝導体は自動車エンジン供給する燃料空気混合ガス比率など検知する酸素濃度センサー高効率次世代発電システムして期待されている固体電解質燃料電池発電素子など様々な応用があるO2イオン伝導体には様々な物質があるが本講義では中でも代表的な安定化ジルコニア取り上げる
 安定化ジルコニア(組成酸化ジルコニウム(ZrO2)
   CaOまたはY2O3数%固溶したもの)
   構造螢石型構造右図から部分的にO2イオン
      抜けた構造
  O2イオン伝導するしくみ
   純粋なZrO2O2イオン伝導体ではないしかし
   これにCaO固溶させると下記のようは反応式に
   したがってO2イオン空孔できる
   これに電圧かけると正極方向O2イオン
   移動する空孔反対側に動く
        VOはO2-空孔
   確認陽イオン陰イオン空孔数はいくらかまた電荷中性保たれているか?
  注意ZrとCaはそれぞれ+4+2価の酸化状態しか取ろうとしないので先週まで話した「原子価制
     御」が起こらない従って単に陽イオン対する不足分だけO2イオン空孔できる







   O2イオン伝導作る目的ではCa/(Zr+Ca)0.150.20程度までCaO固溶させる
   室温ではほどんどO2−は動けないが温度上昇伴って導電率が上がり1000℃では1Sm-1程度
    導電率示す


   安定化ジルコニア発見の経緯補足
  純粋なZrO2融点2670℃と高く化学的にも安定なので耐火レンガなどの用途には最適であるしかしZrO2結晶構造理想的な螢石型構造ではなく室温では(Zr4イオン0.98Åと小さすぎるために)やや歪んでいる単斜晶これは1100℃以上では正方晶になり2400℃以上ではじめて立方晶の理想的な螢石型構造になる従って純粋なZrO2加熱冷却すると単斜晶⇔正方晶⇔立方晶の移り変わりの時に体積が急激に変化するためにやがて自分自身でぼろぼろに壊れてしまうという欠点があった

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