000.  p型半導体


無機固体化学 の単元です。

小単元

概要

酸化ケル(NiO)  NaCl型構造抹茶のような緑色の固体
   Niの電子配置は[Ar]4s23d8
   これがイオンなるときには4s電子から先に失われて
   Ni2[Ar]4s03d8なる(通常3d軌道に5個以上電子持つ
   元素Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Znは同じ理由で2+イオンなりやすい)
   理想的な組成のNiOは電子動けないので絶縁体である

   Niは2状態ほかに3状態もいくぶん安定にとりうる
   現実の酸化ケル中ではすべてのNiが2価なのではなく1000個に1個程度の割合で3価になっているものがあるすなわちただしくはNi1-xO (x≒0.001)表わされる
☆このように陽イオン陰イオン比が単純な整数比にならない化合物非化学量論化合物または不定比化合物(non-stoichiometric compound)いう
   たとえ不定比化合物であっても電荷総和必ずゼロでなくてはならないこれは物共通
  酸化ケル構造不定比強調して描くと右図のようになる
     
    すなわちNi3個できるごとにNi空孔1個できる
    そのようになれば電荷総和ゼロ保たれる
    現実の酸化ケル組成イオン電荷空孔まで考慮して
    表現するとNi2+1-3xNi3+2x□xO2- なる←重要

  ころでNi3イオンつねに3+状態留まっている必要はないNi2Ni3混在すると



いうようにイオンそのものの位置は変わらないままで電子Ni2からNi3移動できるようになる
上の図で電子が左から右に移動するとNi3状態右から左に移動するこれによって電気が流れる
 このような電子の移動はp型半導体それと同じである従って酸化ケルp型半導体である

☆酸化ケル電気的性質
 Ni2イオン半径0.83Ni3イオン半径0.74ÅであるNi3イオン小さいので周囲の酸素がNi3方向位置ずらしている右図
  右図のNi3イオンよそから電子が移ってくるときには
 周囲の酸素酸化物イオンまたもとの場所に戻らなくては
 ならないすなわち電子移動起こるたびに酸化物イオン
 わざわざ位置ずらしたり戻ったりする必要がある
  1)そのためNi2⇔Ni3間の電子移動はそれほど容易では
 なく酸化ケル導電率極めて低い室温10-6Sm-1程度
  ただし温度高くなると原子の熱振動が活発になるので酸化物イオン位置移動容易になり
 導電率大きく上昇する関連の内容は後述
(1キーワード.

関連の展示品

参考文献書籍論文 ・URL)