000.  X線回折の実際


無機固体化学 の単元です。

小単元

概要

原理
 試料粉末してホルダー詰め下図左のような装置にする
 試料対して入射角θでX線当て反射角θの位置の検出器反射光来たかどうか検出するX線通常λ=1.5406ÅのCuから出る単色光用いるX線管検出器自動的に計測円上移動するようになっている
 もし(100)面で回折起こるような角度θ1X線管検出器来たときには試料粉末中には(100)面がホルダー面と平行になっているような粒が必ず存在する粒の数がたくさんあるので偶然そのように向いている粒子あるはずそのときには検出器反射光入る
 また(111)面で回折起こるような角度θ2おいても(111)面がホルダー面と平行になっているような粒が存在するはずだから検出器反射光入るこのようにしてθ変化させて行けば結晶すべての面からの回折観測されるそのようにして測定した結果の例下図右に示す
 下図右の横軸は反射光検出された角度2θである縦軸の反射光強度現段階では意味持たない2θの組合せは面間隔の組合せと同じ意味なので物質特有である

物質同定しかた
 非常に多くの物質についてその結晶面間隔のデータJCPDS (Joint Committee on Powder Diffraction Standards)カード収録されている宿題に示す例えばKClについては(100)面が6.293(110)面は4.450(111)面は3.633Å…というように
 Braggの式使えばX線波長装置よって異なっていてもその都度2θが計算できる

  JCPDSカードn=1して計算して良いようにデータ記載されているλ=1.5406Åなら
  2θはそれぞれ14.06°19.94°24.48°…であることがわかる測定された2θがそのようになっていれば物質KClであることがわかる
 JCPDSカード本学図書館にも所蔵収録されていない物質は同定できないことになるが実際に
  非常に沢山の物質のデータ入っているのでそのようなことは事実上ない全く未知の物質の結晶構造もX線回折で解析することができるがそれについては講義の範囲越える

X線回折使用目的
 目的物が合成できたかどうかの確認
   CaOとTiO2反応させて混合物長時間加熱してCaTiO3いう化合物作るCaOTiO2CaTiO3結晶構造違うのでもしまだCaOやTiO2回折ピーク観測されれば反応完結していないわかる化学分析ではそのようなことは知り得ない
 不明な物質の同定
   化学分析しようにもどんな元素入っているのかわからない→X線回折ピークから同定する  
   (JCPDSカード検索インデクスもついている

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