物質のかすかな足跡を探し求めて〜毒入りカレーの分析から遺跡の発掘調査まで〜
会員増強のための講演会
の単元です。
小単元
概要
物質のかすかな足跡を探し求めて〜毒入りカレーの分析から遺跡の発掘調査まで〜
蛍光X線分析
我が国の陶磁器史上、いわゆる古九谷伝世品の産地の決定は最大の問題のひとつであるといわれているからである。焼き物は、良い土(陶石や粘土の総称)の産地でつくられる。土の微量元素組成は、その土地に特徴的であることから、焼き物の胎土を分析すればどこの土を使ったかがわかる。そこで、放射光を使った高エネルギー蛍光X線分析により胎土の微量重元素組成を調べることで九谷焼と有田焼の産地を識別できるかどうかを試みた2)。分析には素性の明らかな資料として九谷、肥前(有田)、広島県福山の姫谷の古窯出土磁器片を用い、伝世品を調べた。分析は、非破壊で微量重元素を高感度に多元素同時分析できる、高エネルギー放射光蛍光X線分析をもちいた。測定は、世界最大の放射光施設SPring-8で行い、磁器片試料はアルミニウム製試料ホルダーにセロテープで固定し、その断面に116keVの放射光X線を照射した。貴重な伝世品も図2のように非破壊で分析でき、釉薬の影響の少ない糸底を利用して分析した。
プログラム&アウトライン1)