導電性高分子アルミ電解コンデンサでは、電解液アルミ電解コンデンサに比べてアルミニウムアノード酸化被膜の絶縁性が劣る1)そこで導電性高分子材料を塗工したアルミニウムアノード酸化皮膜の電気的特性を調べることで、なぜ絶縁性が下がるのか考察することを目的とする。
2. 実験方法
アルカリ脱脂し、アジピン酸アンモニウム水溶液中で5V、10Vに化成処理し、絞込電流が5μA/cm2となったアルミニウム箔に導電性高分子分散液を塗工後、乾燥させアノードとした。カソードに未処理のアルミニウム箔を用いモデル電解コンデンサセルを作成し、サイクリックボルタンメトリーを測定し、リーク抵抗Rを算出した。各皮膜厚みdには、化成電圧を1.4V/nmで除して推定した。
3. 結果
Fig.3から、算出した各皮膜厚みdにおけるリーク抵抗RをFig.1に示す。リーク抵抗Rは、皮膜厚みdに依存しなかった。
このことはリーク抵抗Rが表面抵抗Rsで支配されていることを示唆し、導電性高分子の接触状態が、アルミニウムアノード酸化皮膜の絶縁性に寄与しているためと考えられる。
4. 結論
アルミニウムアノード酸化皮膜の電気的特性は導電性高分子材料の接触状態に左右される。