ユーチューブという動画サイトがある。このチューブというのはカソード・レイ・チューブのチューブである。ここでチューブとは管、真空管の意味である。ここの画期的な真空管は発明者の名前をとってブラウン管とよばれ、まさに昭和のテレビの主役であった。
1926年(大正15)浜松6)で高柳健次郎が世界で初めてブラウン管による電子式受像に成功してから30年、戦争中はレーダーのディスプレイに使われたブラウン管であったが、戦後は東京オリンピックを見るために一気に家庭に普及した。
1973年はまさにカラーブラウン管が花形であった。にシャープが実用化した液晶ディスプレイは、その可能性が謳われるだけでまたまだブラウン管にとってかわる代物ではなかった。しかしオイルショックによる太陽電池開発ための技術はガラス基板上へのTFTの形成を可能にし、1983年にはセイコーエプソンから液晶カラーテレビが発売された。1995年にはシャープは自社でブラウン管を作れなかっただけに独自のアクオスを作り出した。逆にトリニトロンという優れたブラウン管技術を持っていたがために液晶に出遅れた。2000年ごろからテレビ事業から撤退する国内メーカーが相次ぎ、一部の測定器に細々と残る程度でテレビ用途のブラウン管はほぼ姿を消した。そして2012年ごろにはシャープも液晶ディスプレイから事実上の撤退を余儀なくされることになる。過ぎたるは及ばざるが如し、である。
【関連講義】
昭和時代1)
1950s2)