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IoTによる稲の水耕栽培用自動水やり装置の開発

著者:伊藤智博

現在の状況

ライブ映像

図.研究室での稲の栽培のライブ映像

ステータス

時刻: 2017/5/26 4:00 , 温度T=27.6 ℃ , 照度E=742.0lx , 電流I=1.8 uA

はじめに

日本の農業者人口は減少,高齢化が進んでいる.特に,米の買取価格の下落によって後継者不足になっている. 食糧統計年報によると,米の買取価格と高等学校卒業後の初任給の比は,1976年では5.1だったのが,2014年には14.6となっている(図1-1)1

図1-1.高等学校卒業生の初任給と政府買取米の価格の比の推移

植物にはケイ酸を吸収する機構があり,稲も同様に計算を吸収する2. 特に稲ではケイ素が少ないと収穫量が減ることが知られており2,水耕栽培で与える肥料にはケイ素が必要である.

2015年5月に撮影した田圃写真には,左側に荒地になって現在耕作不可能な田圃が,右側に現在も耕作可能な田圃が写っている. 1970年から開始された米の生産調整により,米から麦や豆への転作がなされた. しかし,転作奨励金の減少などにより,耕地整理がなさえていない生産性の悪い田圃は,休耕田・耕作放棄が増え,現在はこのような荒地になった耕作不可能な田圃が増えつつある.

図1-2.耕作可能な田圃(右)と荒地になった田圃(左)

著者らは,イネの水やりをフロートスイッチによって実現した(引用文献(2016)). しかし,フロートスイッチは,接触不良により正常に動作しないことが多かった.

導電率計を使って水量を図ろう.水が無くなり,導電率計に水が降れていなければ,導電率σが0になる. 水道水の導電率σ10〜20 mS/mである.セル定数a=100 m-1の導電率計では,7 mVrms(20mVp-p)の電圧を印加したとき,0.7〜1.4 µAの電流が流れる. 水耕栽培用の肥料水の導電率σは,水道水の数倍程度の導電率を有すると予測される.

本研究では,導電率計を水量プローブとして使用した自動水やり装置の開発を試みる.

実験

準備するもの

自動水やり装置主回路部品

下の表に自動水やり装置主回路の電子部品リストを示す.

記号 名前 規格
C1 フィルムコンデンサ 10nF; 100Vdc
C2 フィルムコンデンサ 10nF; 100Vdc
C3 積層セラミックスコンデンサ 0.1uF; 50Vdc
C4 積層セラミックスコンデンサ 1uF; 50Vdc
C5 積層セラミックスコンデンサ 0.1uF; 50Vdc
C6 積層セラミックスコンデンサ 0.1uF; 50Vdc
C7 積層セラミックスコンデンサ 0.1uF; 50Vdc
C8 タンタルコンデンサ 10uF; 25Vdc
C9 タンタルコンデンサ 10uF; 25Vdc
C10 積層セラミックスコンデンサ 0.1uF; 50Vdc
C11 積層セラミックスコンデンサ 1000pF; 50Vdc
D1 ダイオード 1SS1588
D2 ダイオード 1SS1588
D3 ダイオード 1SS1588
D4 ダイオード 1SS1588
PL1 コネクター MOLEX 5045-02A
PL2 コネクター MOLEX 5045-03A
R1 抵抗 16k;1/8W; 金属皮膜
R2 抵抗 16k;1/8W; 金属皮膜
R3 抵抗 20k; 1/8W; 金属皮膜
R4 抵抗 10k; 1/8W; 金属皮膜
R5 抵抗 100; 1/8W; 金属皮膜
R6 可変抵抗 100k; 10回転
R7 抵抗 100; 1/8W; 金属皮膜
R8 抵抗 10k; 1/8W; 金属皮膜
R9 抵抗 10k; 1/8W; 金属皮膜
R10 抵抗 10k; 1/8W; 金属皮膜
R11 抵抗 10k; 1/8W; 金属皮膜
R12 抵抗 10k; 1/8W; 金属皮膜
R13 抵抗 10; 1/8W; 金属皮膜
R14 抵抗 10k; 1/8W; 金属皮膜
R15 抵抗 100; 1/8W; 金属皮膜
R16 抵抗 100; 1/8W; 金属皮膜
R17 抵抗 5.1k; 1/8W; 金属皮膜
R18 抵抗 10k; 1/8W; 金属皮膜
R19 抵抗 10k; 1/8W; 金属皮膜
R20 抵抗 10k; 1/8W; 金属皮膜
R21 抵抗 10k; 1/8W; 金属皮膜
R22 抵抗 100; 1/8W; 金属皮膜
R23 抵抗 100; 1/8W; 金属皮膜
TP1 テストポイント マックエイト; LC-2-G 橙
TP2 テストポイント マックエイト; LC-2-G 橙
TP3 テストポイント マックエイト; LC-2-G 橙
TP4 テストポイント マックエイト; LC-2-G 橙
TP5 テストポイント マックエイト; LC-2-G 橙
TP6 テストポイント マックエイト; LC-2-G 橙
U1 4回路入オペアンプ TI; TL074; DIP14
U2 2回路入オペアンプ AD; OP270FZ; DIP8

電磁弁(ソレノイドバルブ)駆動制御回路の部品

下の表に電磁弁(ソレノイドバルブ)駆動制御回路の電子部品リストを示す.

電磁弁(ソレノイドバルブ)駆動制御回路の部品
記号 名前 規格
D201 ダイオード 1SS1588
D202 ダイオード UF5402
PL3P コネクターピン HIROSE DF1E-2P-2.5DS
PL4P コネクターピン HIROSE DF1E-2P-2.5DS
R201 抵抗 100; 1/8W; 金属皮膜
R202 抵抗 1k; 1/8W;金属皮膜
Q201 n-チャネル MOS-FET 2SK2410

主回路制御用電源回路の部品

下の表に主回路制御用電源回路の電子部品リストを示す.

主回路制御用電源回路の部品
記号 名前 規格
C301 電解コンデンサ 100uF; 25Vdc
C302 積層セラミックスコンデンサ 0.1uF; 50Vdc
C303 電解コンデンサ 100uF; 25Vdc
C304 積層セラミックスコンデンサ 0.1uF; 50Vdc
C305 電解コンデンサ 100uF; 25Vdc
C306 電解コンデンサ 100uF; 25Vdc
C307 電解コンデンサ 100uF; 25Vdc
DC301 DC-DCコンバータ NMH0515S
L301 インダクター 100uH
L302 インダクター 100uH
PL5 コネクターピン HIROSE DF1E-2P-2.5DS

セルおよび電磁弁の接続回路の部品

下の表にセルおよび電磁弁の接続回路の電子部品リストを示す.

セルおよび電磁弁の接続回路の部品
記号 名前 規格
PL1H コネクターハウジング Molex 51191-0200
PL3S コネクターソケット HIROSE DF1E-2S-2.5C
SV1 電磁弁 12V駆動; LV440

12V ACアダプターおよび鉛蓄電池受電回路の部品

12V ACアダプターおよび鉛蓄電池受電回路の電子部品リストを示す.

12V ACアダプターおよび鉛蓄電池受電回路の部品
記号 名前 規格
F401 ヒューズ 1.0A;250V
J401 DCジャック MJ-10
J402P 丸型コネクタピン HIROSE HS12P-2
J402R 丸型コネクタレセピタブル HIROSE HS12R-2

種もみの入手

実家からコユキモチの種もみを入手した.種もみは,塩取(塩水による比重処理)および消毒処理が完了したものあった.

水量検出回路のブロックダイヤグラム

下図に水量検出回路のブロックダイヤグラムを示す. 図に左側の発信器(オシレータ)は1 kHzの正弦波を発生した. 発生された正弦波は,アッテネータによって7 mVrms(20mVp-p)まで減衰した. 7 mVrmsがプローブに印加され,1 kΩの電流検出抵抗を介して,グラウンドに流れた. 電流検出抵抗の電圧をボルテージフォロワーで検出し,前段の加算回路に入力するフィードバック回路を取り付けた. このフィードバック回路によって,プローブに印加される電圧を一定に保った. 電流検出抵抗の電圧は,52倍のアンプによって増幅され,検波回路によって整流した. 整流した信号は10倍のアンプで増幅され,ローパスフィルター(fc=15.6 Hzによって平滑した. 平滑化された信号は,IoTデバイスであるキノマクリエイトに入力し,インターネットを介して本学のデータベースに送信される.

データベースでは送信したデータを記録とIoTデバイスへの制御命令を送信した.

図.水量検出回路のブロックダイヤグラム

水量検出回路の設計

PDF
図.水量検出回路の主回路図(途中まで清書)
図.電磁弁(ソレノイドバルブ)駆動制御回路図
図.主回路制御用電源回路図
図.セルおよび電磁弁の接続回路
図.12V ACアダプターおよび鉛蓄電池受電回路

結果

自動水やり装置

下図に自動水やり装置の写真を示す. 水量センサーである導電率計を外したとき,電流I=1 uAの電流が流れた.

ラックに積み込んだら,照度が10分の1に減った. 稲の生長に合わせて高さを変えるように,水耕栽培キットのLED部分を40cm程度高くした.照度が13000lxから1000lxまで減少した. このままでは照度不足で生育に悪影響を及ぼす可能性が高い.急ぎ,窓際に移設した.窓際に移設したら,照度が10000lxになった.

図.稲の自動水やり装置の写真

自動計測記録

自動水やり装置の水量計測

下図に苗を稲の自動水やり装置に搭載した導電率計に流れた電流の記録を示す.

図.稲の自動水やり装置に搭載した導電率計に流れた電流の記録(5/19〜)→最新

自動水やり装置の照度計測

下図に苗を稲の自動水やり装置の照度記録を示す.

図.稲の自動水やり装置の照度の記録(5/23〜)→最新

自動水やり装置の温度計測

下図に苗を稲の自動水やり装置の温度の記録を示す.

図.稲の自動水やり装置の温度の記録(5/19〜)最新

結論

参考文献


2017年 上野直哉のイネの土耕栽培記録
IoTを用いた自動車の電池の運転時のモニタリング
でら キノマクリエイト
デラさんのM2MとIoT
菅野の電卓
菅野の電卓2
菅野のクラウドポテンショスタット
ハマツのグラフ
旧米沢高等工業学校の設立
リチウム電池とLEDによるイネの室内水耕栽培
伊藤のIoTによる子育て支援

学会発表

エコ研究のすすめ


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https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/54299/c1/IoT/Ine/2017_AutoWatering/Default.asp