不均一混合物である電池合材の物性を推定する方法について考えてみよう

高校の化学では、 不均一混合物 については、あまり触れない。 しかし、電池をはじめ、産業分野で使われる材料の多くは、不均一混合物 である。

不均一混合物である 電池合材物性を推定する方法について考えてみよう

電池の正極合材は、電池反応のための正極活物質だ。コバルト酸リチウムに代表される活物質の多くは、酸化物のため電気はほとんど流さない。そこで、導電助剤として5wt%程度の炭素材料が添加される。アセチレンブラックに代表される炭素材料は、 粉体のため、かさ密度が大きくなる。それでもある閾値以下では、導電ネットワークが途切れてしまうため、合材層はまったく電気を流さなくなってしまう (パーコレーション理論)。

ここでは、コバルト酸リチウムを正極活物質とし、5wt%のアセチレンブラックとし、バインダーなどのほかの添加材はないと仮定し、合材層の導電率がアセチレンブラックの体積分率に比例すると仮定して、 自分の身長をもとに、体重から体積を求め、円筒に近似して、その円筒に正極合材を詰め込んだときの電気抵抗を計算してみよう。


身長 167.7cmで、BMIが22の人を、円筒形として近似すると、その断面積は、 369cm2です。

コバルト酸リチウムのかさ密度を2.6g/mlとする *。 アセチレンブラックのかさ密度を0.04g/ml *とする。 5wt%は、重量比でコバルト酸リチウム:アセチレンブラックが0.95:0.05である。 体積比にすると0.365384615384615:1.25であり、アセチレンブラックの体積分率は、0.773809523809524である。アセチレンブラックの粉体抵抗は、 0.21Ω·cmであるから、正極合材を詰め込んだ円筒の電気抵抗は、

1.677〔m〕÷0.037〔m2〕×0.0021〔Ω·m〕×0.77=73.15×10-3〔Ω〕

である。


物質の分類

  1 物質の分類
大分類 小分類 物質の例
純物質 単体 塩素、 🏞 🜠 銅、 🏞 アルミニウム酸素 🏞 グラファイトダイヤモンド、硫黄 など
化合物 アンモニア メタン、水、塩化ナトリウム、 二酸化炭素、 酸化銅(Ⅱ) 🏞 酸化チタン(Ⅳ) 、 一酸化二窒素など
混合物 均一混合物 空気🏞 海水など) 高分子化合物 粘土
不均一混合物 合金鉄合金、 岩石、 エマルション(牛乳)、 サスペンション塗料)、 エアロゾルスラリー、 など

物質は、 温度や圧力 によって、様々な状態をとります。 物質が固体、液体、気体、 超臨界流体のいずれの 状態を示した図を 状態図と言います。 分子結晶は、昇華しやすく、 イオン結晶は、融点や沸点が高いです。

単体の中で、同じ 元素からなる単体同士を同素体と言います。炭素はもっとも同素体が多い元素と言えるでしょう。 化合物でも、結晶構造が違う場合は、相が違うと言います。酸化チタンは、ルチル型とアナターゼ型では、アナターゼ型しか光半導体になりません。

混合物では、 濃度や組成で表現します。 高分子化合物は、重合度の異なる分子化合物や式量の異なるイオン化合物のの混合物です。 不均一混合物では、 界面が存在します。

工業製品 には、 物体(object)として形や構造が役に立つものと、形や構造に関係なく 物質 (substance,material,matter)として役に立つものがあります。資源から廃棄物までの サプライチェーンの流れで、物質が変わってゆきます。

235 不均一混合物である電池合材の物性を推定する方法について考えてみよう 🧪 🏞 海水 🧪 🏞 空気

合材電極の模式図

  1 合材電極の模式図
©2024 K.Tachibana * , C1 Lab.

合材層は、活物質導電助剤、 バインダーなどの 材料の不均一混合物であり、 電解液が浸透する空隙が存在します。 コバルト酸リチウムに代表される多くの正極活物質は、酸化物です。酸化物は イオン結合しており、導電性に乏しいです。

235 不均一混合物である電池合材の物性を推定する方法について考えてみよう 182 活物質と導電助剤の接触状態を3D表示してみましょう

参考文献


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