リチウムイオン二次電池の接触抵抗に及ぼす同一組成のカーボンナノチューブを含む正極の分散度の影響

2020/10/12
郡山仁孝

キーワード:接触抵抗、電気感受率、カーボンナノチューブ、分散剤

リチウム二次電池のアルミニウム(Al)集電体と正極複合材料の間の接触抵抗Rcを表す式は、次のように導き出される。
(1)Rcは、Al酸化膜の厚さと複合材料の見かけの電気感受率χeに比例する。
(2)活物質をカーボンナノチューブ(CNT)でコーティングすると、χeが減少するため、Rcが低下する。
(3)χeは、複合材料の成分iの寄与率Ciによって定式化でき、Ciは複合材料の分散条件によって決定される。

リチウム二次電池の内部抵抗は、正極複合材料とアルミニウム(Al)集電体の間の接触抵抗Rc、溶液抵抗、および反応抵抗で構成される。 Rcは、集電体上の酸化アルミニウム(Al2O3)膜の厚さ、複合材料の構成要素、および複合材料の分散状態によって大きく異なる。 活物質がAl2O3膜と接触するとRcが増加する。 集電体にカーボンアンダーコーティングを施すと、Rcが低下する。 下塗り剤としてのアセチレンブラック(AB)とカーボンナノチューブ(CNT)の性能はほぼ同じである。 活物質を含む複合材料に特定のCNTを添加すると、Rcが低下する。

複合材料とAl集電体の間の接触抵抗Rcは、膜抵抗率ρ、材料の電気感受率Xe,iおよび複合材料の分散条件によって決定される寄与率Ciを使用して定式化できる。
Rc = (ρ0 ∑ ci χei + ρ0) (d + d0)
分散が困難なCNTなどの一部の炭素の接触抵抗Rcは、複合スラリーの状態に強く影響された。

参考文献

・Onodera, S., Kato, N., Ito, T., Ito, T., Tachibana, K. and Nishina, T. (2015). The Effect of Dispersion Degree of Positive Electrodes Containing Carbon Nanotubes with Identical Composition on Contact Resistance in Lithium Ion Secondary Batteries. Electrochemistry, 83(5), 386-388(2015), (submitted).
https://www.jstage.jst.go.jp/article/electrochemistry/83/5/83_14-E00137/_pdf/-char/ja