表面処理を施したアルミニウム集電体と電極合材との接触抵抗の発現要因

2020/10/05
郡山仁孝

小野寺らはアルミニウム集電体をアノード酸化して酸化皮膜Al2O3の厚さd と、合材とアルミニウム集電体間の接触抵抗Rcの関係を調べた。その結果、接触抵抗Rcは酸化皮膜の厚さdに対して直線的に増加し、式(1)で表されると述べている。
Rc = ρ (d + d0) (1)
ここでρは電気抵抗率(Ω•m)である。さらに合材成分i の電気感受率をχei、寄与率をciとしたとき接触抵抗は式(2)で表されると述べている。
Rc = (ρ0 i∑ ci χei + ρ0) (d + d0) (2)
つまり、アルミニウム集電体と電極合材の接触抵抗は、電極合材に含まれる活物質の電気感受率とともに増加する。
ここで電気感受率χeiは物性値であり、比誘電率εから1を減じて求められるが、寄与率ciは、電極合材の組成、合材に含まれる材料の分散状態ばかりでなくアルミニウム集電体の表面状態によっても大きく変化する。
また、活物質表面電荷の影響を減少させるため、アルミニウム集電体の表面処理として粗面化による物理的アプローチと相互拡散層の形成による化学的アプローチを試みた。その結果、いずれも接触抵抗低減に効果が認められる。特に相互拡散層の形成による静電遮蔽が接触抵抗低減に著しい効果を見出した。

参考文献

加藤 直貴, 小野寺 伸也, 伊藤 知之, 伊藤 智博, 立花 和宏, 仁科 辰夫 (2014), "表面処理を施したアルミニウム集電体と電極合材との接触抵抗の発現要因" , 科学・技術研究 第3巻2号 
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sst/3/2/3_157/_pdf