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赤外線吸収スペクトル法

 分子はそれぞれ固有の振動をしている。その分子に波長を変化させた赤外線(infrared;IR)を連続的に照射していくと、
主として分子固有の振動エネルギーに対応した赤外線が吸収され、分子構造に応じた特有のスペクトルが得られる。
この赤外線吸収スペクトルから分子の構造などを解析する方法を赤外線吸収スペクトル法(infrared absorption spectrascopy)
という。

IRスペクトルで何がわかるのか?

1) 同定ができる
 試料物質があらかじめ予想しているときには、既知物質のスペクトルと比較して同定や確認ができる。

2) 構造の特徴がわかる
 IRスペクトルから得られる分子の主な情報は多重結合や官能基の種類であり、さらにシス-トランス異性、
環の置換位置、水素結合およびキレーションなども解明できる。これらの情報から分子構造を推定することも
可能であるが、IRのみで未知試料の構造を決定することは困難で、一般には元素分析値、質量分析法、紫外線吸収
およびNMRスペクトルなどの情報を併用して分析する。

3) 定量分析ができる
 純度の検定や混合物の分析ができ、またこれらによって反応速度が測定できる。一般にIRによる定量分析には
熟練が必要なため、他の分析法が適用できない場合に行われる。