EAGLEを用いた電子回路の修正及び、
メカニカルリレーを用いた簡易的な諸実験

2017/06/08(木) 高橋宏義

1.EAGLEを用いた電子回路の修正


概要

孫の手メンディプロジェクト(M.M.P. Magonote Mendy Project)とは、
Arduinoを用いた複数のモジュールを連携して運用することで様々な機能を持たせた
一つのモジュール(通称 猫の手)を作成すべく、基となる諸モジュールを設計・開発するための
いわば第一段階となるプロジェクトである。
週前半、小林晃太氏のEAGLEを用いた設計によって、ON/OFF動作部分の電子回路の
概観が完成した。
今回は、その概観を伊藤先生、立花先生の助言をもとにEAGLEを用いて修正、ブラッシュアップを
かけていく。
以下の画像は、小林晃太氏が作成した回路の概観である。

今回、この画像をEAGLEを用いて加工した。



方法

今回用いた回路図作成ツールは、EAGLEというソフトウェアを用いて設計されている。
EAGLEは Autodesk Inc.が2016年に発表した製品であり、回路図のほか、パターン図の作成も
可能となっている。また、ファイル出力形式が多様であり、直接画像ファイルに出力できる他、
.schファイルとして保管することで、ソフトウェアとライセンスを持つ者であれば誰でも編集できるように
ローカルフォルダ内や電子メールなどで共有することができる。
以下に、使用時の概観を示す。

結果

EAGLEによって取りあえずの回路図が完成した。 以下にその概観を示す。

結論

EAGLEは、ドイツ製ソフトウェアであり、製品内のすべての説明及びメニュー等は
すべて英語で記述されている。
日本語化パッチが存在し、適応させることである程度日本語化することが可能であるが、
十分とは言い難い。
しかし、それらを差し置いても有志が作成した多種多様なMODが充実しているほか、
扱うことのできるファイル種類の多様性、操作性などを考慮すれば、非常に有用なソフトウェアである。
大学内であれば無料でアカウントを作成し、自由に利用できるソフトウェアであるので
貴重な大学設備を有効活用する意味合いも込めて、意欲的に活用してくことをお勧めする。

2.メカニカルリレーを用いた簡易的な諸実験

概要

パナソニック株式会社によるリレーの定義では、
「リレーとは
継電器ともいい、@電磁石 A接点機構 で構成され「電磁石に、ある値以上の電流を流した時に生ずる電磁吸引力を利用して、
接点機構を作動させるもので、コイルに与えられる電圧、電流(入力信号)により、接点の開閉を行なうもの」と定義しています。」

とある。
また、二種類に大別されるリレーのうち、メカニカルリレーについては、接点が機械的に開閉されるものと定義されている。
(株式会社パナソニック(2016年05月26日)「リレー入門 - リレーとは」, [online]https://ac-blog.panasonic.co.jp/nyumon_relay)
今回、M.M.Pで使用するリレーはセットコイルとリセットコイルから成る2巻線ラッチング型であり、
電源スイッチがOFF状態であっても回路の状態を保持でき、2つから成る別々の回路でリレーを制御することが可能である。
ただし、今回の実験では基礎的なリレーの学習に主軸を置いているため、M.M.Pで実装する予定である、
2巻線ラッチング型のリレーは使わず、もっとも汎用的・一般的なシングルスティブル型のリレーを用いていることに留意しなくてはならない。
以下に、実装予定の2巻線ラッチングリレーの回路図を掲載する。

図1 2巻線ラッチングリレー回路図

実験方法

ブレッドボードを用いて、きわめて簡易的な回路を作成する。
その様子の一例を以下に示す。

図2 実験の様子

この様な具合で以下の回路図を作成した。

図3 試行した回路

左図は、コイルに電流が流れなくいので回路が閉じている。
コイルに電流を流すと電磁誘導によりスイッチがコイル側に引き寄せられ、
右図のように回路が遮断される。
また、コイルに電流が流れなくなると、スイッチが元の位置に戻り、
回路が閉じる。
では、このような回路を実際に作成し、通電させるとどのような挙動を示すだろうか。
予想が難しかったので、試行した。

結果

結果は、「素早い速度で連続的にスイッチが動作する」である。
作動機序としては、以下の通りとなる。

状態1 回路が閉じている
↓
動作1 電流が流れる。
↓
動作2 コイルに電流が流れたことで、スイッチが切り替わり回路が遮断される。
↓
状態2 回路が開いている。
↓
動作3 電流が流れなくなる。
↓
動作4 コイルに電流が流れていないので、スイッチが戻り回路が閉じる。
↓
状態1 回路が閉じている。
↓
...................以下に続く。

これらがきわめて高速で行われるため、我々人間の眼と耳では、
細かく振動するリレーと「ジーッ」という虫の鳴き声のようなものしか
捉えることができない。

結論

ブレッドボードを直に触れたことがなかったので、
今回の試行は基本的な電子工作のよい学習機会となった。
徐々に複雑な回路の工作に挑戦していき、最終的に
M.M.Pや卒業研究に活用できるレベルまで到達したい。