輪講課題

現代の電気化学p.3 ℓ10~p.4 ℓ13

この間、Svante A. Arthenius(1859-1927)のイオン解離説が提唱され(1883)、Ostwald によって支持された。水電解に関連して、Paul Erman(1764-1851)は電界質の濃度を増やすと電流が増加することからモル導電率の濃度依存性を予測した(1801)。これはFriedrich Wilhelm Kohlrausch(1840-1910)により実証され、Kohlrausch のイオン独立移動則(1876)および強電解質系でのコールラウシュの平方根町(1900)として確立された。その後Peter J. W. Debye(1884-1966)および彼の教え子の Erich Hückel(1896-1980)によるイオン活量係数に関するデバイ・ヒュッケルの理論(1923)、非平衡熱力学で有名な Lars Onsager(1903-1976)によるオンサーガーの式(1927/1932)などが導入されると共に、N. Bjerrum のイオン会合の概念(1926)、M. Wienの導電率に対する高電場の効果(1927)、P.Debye および H.Falkenhagen の導電率に対する高周波電場の効果(1928)などが見い出された。   すでに、電極との界面における電荷に対する関心が、Hermann LudwigFerdinand von Helmholtz(1821-1894)によって示され、いわゆるヘルムホルツの固定二重層モデルが提案されていた(1879).この分野の研究は前述のアレニウスのイオン解離説(1887)の出現により、Louis Georges Gouy(1854-1926)およびDavicLeonald Chapman(1869-1958)による拡散電気二重層モデル(1909/1913)、OttoStern(1888-1969)によるいわゆるシュテルンの固定・拡散二重層モデル(1924)へと発展していった。さらに、David Caldwell Grahame(1912-1958)による電気二重層での特異吸着現象(1947)と、その電気二重層モデルが M. A.V.Devanathan、」O'M. Bockris、Klaus Mullerによって提案された(1963)。  一方、Julius Tafel(1862-1918)は水素過電圧と電流密度との関係を速度論的過程として捉えたターフェル式を提唱した(1905)。また、Boltzman統計および速度論平衡条件に基づく John A. V. Butler(1899-1977)による可逆電極電位の理論(19231924)、ついで、Nernst の教え子であるMax Volmer(1885-1965)の実証により電通一過電圧曲線の一般式である Butler-Volmer 式が確立した(1930) その後、Aleksands N. Frumkin (1895-1976)は電極反応速度論の立場から、電荷移動過程(または活性化過程)に及ぼす電気二重層の影響を論じた(1933)。さらに、混成電位の速度論的な考え方が A. N. Frumkin、Carl Wagner(1901-1977)らによって提唱(1932/1938)されるに及んで、いわゆる、"The great Nernstian hiatus" を克服した。  その間、志方益三(1895-1964)と一緒にポーラログラフィーを発明(1924)したJaroslav Heyrovsky(1890-1967)は、彼の教え子である Dionyz Ilković(1907-1980)と共に拡散電流についてのヘイロウスキーイルコヴィッチ式を誘導した(1935)。  その後、国際的にも電気化学の見直しが盛んに行われ、エネルギー変換・貯蔵、環境浄化・検知、腐食・防食、新素材開発、など境界領域の分野の研究にも関心が向けられるようになってきた。